5月5日、船橋「かしわ記念」は、今年から統一G1に昇格。さすがにJRA出走4頭、文句なしの精鋭が顔をそろえた。直前、マイネルセレクト回避、すべてG1馬とはならなかったが、繰り上がったストロングブラッドにしても、昨春の群馬記念レコード勝ちの星がある。
当日何が1番人気か、そのこと自体が難問になるだろう。貫禄のアドマイヤドン、勢いのメイショウボーラー。JCダートで世界に勝った、その観点からはタイムパラドックスにも1番人気の資格がある。ムードはJRA断然。予想、馬券は4頭の序列をどうつけるか。ただ地方びいきとすると、これではどうにも欲求不満で興が乗らない。現実に昨年の覇者・ナイキアディライト。一気に逃げて完全燃焼。ホームの利を生かし切れば十分勝負になるとイメージした。
かしわ記念(5月5日船橋 サラ4歳上 定量 統一G1 1600m)
◎ナイキアディライト (57・石崎隆)
○タイムパラドックス (57・武豊)
▲メイショウボーラー (57・福永祐)
△アドマイヤドン (57・安藤勝)
△ストロングブラッド (57・内田博)
ナイキアディライトは、前走大井「マイルグランプリ」を、およそ半年ぶりながら完璧に逃げ切った。その時点を8〜9分として、ここへ状態ピークがひとつ前提。昨年は1600mを1分39秒7、2着トーシンブリザードだから正直凡戦。今年は相手のレベルが大きく違う。ただアディライト自身、快速馬として磨かれたのは確かで、加えて勝ちパターンもいよいよ明確になっている。デビューから[9-1-3-7]。ハナを切って負けたのは、ジャパンダートダービー、JBCスプリント、帝王賞の3戦だけ。それも帝王賞はアドマイヤドンにきわどい鼻差、名勝負といえる内容だった。
強力同型メイショウボーラー。あくまで仮定(希望的)だが、中間の高松宮記念出走がひとつ余計ではなかったか。同馬に破綻ありと決め込めば、アディライトの競馬が浮かぶ。フェブラリーS力走後、人気を裏切っているシーキングザダイヤ、ヒシアトラス。疲れ、反動が出ても不思議ではない。
タイムパラドックスは、前走ダイオライト記念で断然人気ながら離された2着だった。ただ道中の位置取り、行き脚をみる限り絶体絶命。そこから連対はまさしく底力と言うしかない。船橋コース2度目。忙しい1600mでも展開ひとつでチャンスがある。
アドマイヤドンは勝たれて納得、不発も納得。フェブラリーS、出遅れて5着をどう評価するかが鍵だろう。昇り目は期待薄、だが実績は無視できない。元よりダートの名馬は、ここ一番で驚異的な生命力、持続力を示してきた。
内田博騎手(当初マイネルセレクトに騎乗予定)に手綱が回ったストロングブラッドも、1600mの時計勝負なら条件は悪くない。何かオーラさえ感じる今の同騎手。いいタイミングで動き、少なくとも見せ場は作る。
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クラウンC(5月3日川崎 サラ3歳 別定 南関東G3 2000m)
◎ブラウンコマンダー (55・張田)
○ビービープライド (55・内田博)
▲エフケータイガー (55・石崎隆)
△ワタリファイター (55・左海)
△キンセイブレイド (55・鈴木啓)
△ジルハー (55・金子)
△トーホウヒエン (55・山田信)
ナイトスクールが、追い切り後、歩様の乱れで出走回避。一転、傑出馬不在、難解なレースになった。上昇馬の比較がポイントだろう。本命に狙ったブラウンコマンダーは、デビューから7戦2勝。存在とするとまだまだ地味だが、その2勝、いずれも水の浮く道悪を豪快な大外一気。レースぶりに個性と勢いがあふれている。父コマンダーインチーフ。430キロ台と小柄でも、全身を使ったのびやかなフットワーク。じっくり乗れる2000mなら大きなプラスがありそうだ。
戦歴が派手なのは、大井3戦3勝キンセイブレイドで、これは競輪トップレーサー・山田裕仁氏の持ち馬。ただレースぶりの印象はまだ粗く、初の左回りも含め人気だけ走れるかどうか。前走の山桜特別(川崎1500m)の勝ちっぷりが圧巻だったビービープライド本線。同レース2着・エフケータイガーの末脚も長丁場で魅力がある。重賞でソコソコ実績を作っているワタリファイター、ジルハーはともに不器用さが問題。もっと穴なら前走JRA交流を制し、波に乗っているトーホウヒエン。