6月29日、大井「帝王賞」は、ナイキアディライト対JRA5頭という図式になった。どれが勝っても不思議ない微妙な顔ぶれ。アジュディミツオー(9月、日本テレビ盃から復帰予定)が頂点をきわめて以後、地方側に新スターが育たないこと。JRA側も、ポスト・アドマイヤドンがいまだ確定しないこと。ダート王決定戦と呼ぶには、正直やや不満なレベルか。コース適性、展開が大きく明暗を分けそうだ。
帝王賞(4歳上 定量 統一GI 2000m)
◎ナイキアディライト(57・石崎隆)
○スターキングマン (57・デザーモ)
▲タイムパラドックス(57・武豊)
△クーリンガー (57・和田)
△ユートピア (57・安藤勝)
△ストロングブラッド(57・内田博)
△トーシンブリザード(57・石崎駿)
ナイキアディライトは、昨年アドマイヤドンのハナ差2着。道中マイペースにせよ、直線王者を“本気”にさせた。2000m・2分04秒0は過去19年で第4位。それも上がり36秒4、ほぼ極限の数字だから十分な価値がある。今季、マイルグランプリ→かしわ記念の内容から一段パワーアップは間違いない。今回絶好の1番枠も、素直に強運と受け止めるべきだろう。勝つ条件はひとまずそろった。
JRA5頭の順位付け。底力とコース適性、2つ備えたスターキングマンを上位にみる。前走、東海S2着でスランプ脱出。一昨年大賞典を勝ち、JBCクラシックをドンの2着。デザーモ騎乗でいい脚を長く使うイメージだろう。タイムパラドックスは大井の走りにスムーズさを欠き、本質的に不器用な面がある。逆にクーリンガー、ユートピアは大井適性が強みで、折り合いさえつけばまず崩れない。ストロングブラッドは、前走かしわ記念、昨年群馬記念、1500〜1600mでマキシムの能力をみせた印象。2000mは乗り方が難しくなる。
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テレビ埼玉杯(4歳上 別定 南関東G3 1400m良)
◎(1)ブルーローレンス (58的場文) 1分25秒3
○(2)ベルモントストーム(56石崎隆) 4
△(3)ロッキーアピール (58山崎) ハナ
▲(4)ブラウンシャトレー(58張田) ハナ
△(5)ハタノアドニス (58御神本) 4
単160円 馬複330円 馬単500円
3連複1200円 3連単2740円
ブルーローレンスが圧勝した。逃げるロッキーアピールを2番手ですんなりマーク。直線あと1ハロン、軽く仕掛けて先頭に立ち、最後は4馬身差の独走だった。「強い馬の強い勝ち方。(ハナに)行こうと思えば行けたけど折り合いがつくからね。とにかく利口で乗りやすい」(的場文騎手)。同騎手とのコンビ、14戦12勝。馬自身、短〜マイル型としていよいよ円熟期を迎えている。良の1400m・1分25秒3(前走さきたま杯25秒5)も文句なし。今後は11月、JBCスプリント(名古屋1400m)が最終目標になるだろう。自身“アウェー”に対応可能な競馬センスを持っている。
ベルモントストームが接戦の2着を制した。結果56キロも味方したが、久々にスムーズな折り合いでゴールぎわ瞬発力をみせている。これをいいきっかけにできるかどうか。ロッキーアピールはもまれるのを嫌い徹底先行。気分よく走って時計勝負なら納得の結果といえる。ブラウンシャトレーはペースの上がった3〜4コーナーで脚を使い、そのぶん直線の伸びがひと息だった。忙しい浦和1400mは本質的に向いていない。ハタノアドニスは御神本騎手(20日から復帰)騎乗で待機策をとったが、走り自体に覇気がなかった。年齢的にも今後は厳しい情勢だろう。
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東京湾カップ(3歳 別定 南関東G3 1800m不良)
◎(1)ドラゴンシャンハイ(54・石崎隆) 1分52秒1
△(2)ブルーマルゼン (54・山田信) 2.1/2
○(3)ブラウンウォーキー(54・張田) 1.1/2
△(4)ビービープライド (55・金子) 1/2
△(5)ワタリファイター (54・左海) ハナ
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▲(10)キンセイブレイド (54・的場文)
単270円 馬複2750円 馬単3610円
3連複3580円 3連単20030円
ドラゴンシャンハイが無傷の4連勝で重賞突破。“遅れてきた大物”をアピールした。スタートはさしてよくなかったが、二の脚をきかせて難なく先頭。そのまま快調に飛ばしていく。3〜4コーナー、いったん後続を引きつけ、直線GOサインからもう一度加速する。あっという間に後ろがちぎれた。「馬が自分でハナに行った。いいエンジンを持っているし、精神面で芯が強い」(石崎隆之騎手)。今回およそ5か月ぶりで16キロ増。さまざま不利を考えるとその素質は相当高い。1800m・1分52秒1(昨年アジュディミツオー52秒2)。軽い馬場にせよ胸が張れる時計が出た。中1週、大井「JDダービー」出走は微妙だが、故障したシーチャリオット、それに準ずる新星が出てきたのは無条件で心強い。
ブルーマルゼンは山田信Jの好騎乗で、4コーナーいったんドラゴンを捕える勢い。結果相手とはスケールが違ったが、自身のスピード、好調さは十分示した。ブラウンウォーキーは中団でもまれこれまでにない厳しい展開。最後外から伸びて3着は経験という以上の価値がある。1番人気キンセイブレイド。好スタートを切ったものの、テンから逃げる意思はなかったようで、結果的に3コーナーからジリ下がり。何やら的場Jらしからぬレースとみえた。「まだ馬が固まっていない。もっとキャリアを積んでから」(同騎手)。ともあれこれだけ負けると、敗因を左回りだけに特定できない。ワタリファイターは3コーナー早めのまくりを打ったものの直線失速。重賞路線で底が割れた感は否めない。