▲クリンチャーの3歳時を任された藤岡佑介騎手が今の思いを語ってくれました
日本時間の10月7日(日)23時05分に発走を迎える、今年の凱旋門賞(仏GI、パリロンシャン競馬場、芝2400m)。クリンチャー(牡4)が、日本代表として挑みます。鞍上はJRA通算4000勝の金字塔を打ち立てた武豊騎手。前田幸治オーナー率いるノースヒルズの主戦でもあります。クリンチャーの3歳時を任され、菊花賞2着の結果を残した藤岡佑介騎手が、主戦騎手へバトンを託したときの気持ちやクリンチャーへの思いを語ってくれました。
(取材・文=不破由妃子)
僕の人生で凱旋門賞に一番近づいた瞬間だった
──いよいよクリンチャーが凱旋門賞に挑みます。京都記念(1着)を最後に武豊騎手に乗り替わりとなりましたが、クリンチャーのことを一番知っているのは佑介騎手だと思いますので、その可能性について、佑介騎手ならではの見解を伺いたいです。
佑介 はい。僕が話せることなら何でも。
──そもそも乗り替わりについても、「自然なこと」だと受け止めていらっしゃいましたね。
佑介 そうですね。前田オーナーの主戦は豊さんですから、所有馬が海外の大きなレースに挑戦するとなれば、豊さんに替わるのは自然なことだと思います。それに、僕としては、本来ならダービーを最後に乗り替わりになってもおかしくなかったと思っているので。それが継続して乗せていただいて、菊花賞で惜しい競馬もできて。しかも、新シーズン初戦の京都記念でもチャンスをもらって、そこを勝っての乗り替わりでしたから、引きずることもなかったです。
▲新シーズン初戦の京都記念を勝利、クリンチャーにとっては初の重賞タイトルに
──もともと「明け4歳からは武豊騎手で」と決まっていたそうですね。
佑介 そうみたいです。でも、豊さんが京都記念には乗れないとなって(京都記念当日は共同通信杯のグレイルに騎乗)、僕を選んでくださった。それがすべてだと思っています。
──そうですよね。文字通りのクビだったら、そこに佑介騎手という選択肢はないはずですから。
佑介 僕はそう思っています。キズナが凱旋門賞に出走(2013年4着)したとき、帯同馬のステラウインドも凱旋門賞に登録する可能性があったんですけど、オーナーが「もしどちらも使うとなったら、ステラにはお前が乗れ」と言ってくださって(ステラウインドは、凱旋門賞前日のドラール賞に武豊騎手騎乗で出走)。