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再生・スピニングアロー

  • 2005年08月08日(月) 15時11分
 8月3日、大井「サンタアニタトロフィー」。スピニングアローが、接戦を競り勝ち初重賞をモノにした。ロッキーアピールの逃げは1000m通過60秒3、少し速めの平均ペース。スピニングは道中中団の外めに構え、4コーナー手前から絶妙のタイミングでスパートした。直線中ほど、前を一気にのみ込み、その時点で後続に2〜3馬身ほどのリードをつけた。状態が最高潮に達していたこと。現時点で1600mがベストなこと。張田騎手がこれ以上ないファインプレーをみせたこと。ゴール際インから迫ったベルモントストームと最後鼻差。きわどい勝負だったのは間違いない。

サンタアニタトロフィー(サラ3歳以上 ハンデ 南関東G3 1600m)

▲(1)スピニングアロー  (56・張田)   1分38秒8
○(2)ベルモントストーム (54・石崎隆)  ハナ
 (3)コマノブリザード  (52・早田)   2
△(4)ロッキーアピール  (56・山崎)   2.1/2
△(5)ウエノマルクン    (56・鈴木啓)  3/4
…………………
△(6)ベルモントソレイユ (56・御神本)
◎(9)ケイアイミリオン  (52.5・内田博)

単780円 馬複1,540円 馬単4,480円
3連複23,410円 3連単135,770円
 

 スピニングアローはJRA6勝。中に1600万勝ちもあり潜在能力はもちろん高い。が、トレード後深刻な裂蹄に苦しみ、まともな稽古が積めなかった。道中いい感じで先行しても、終いバッタリの繰り返し。「もともと大きな期待をかけていた馬。爪の伸びがよくなって、今回ようやく自信を持って送り出せた。短いところがいいですね。まだ強くなる可能性はあると思う」(三坂盛雄調教師)。すでに7歳。しかしJRA→南関東移籍の短〜マイラーは、意外なほど再生、成功例が多いのも事実である。例えばサクラハイスピード、ハタノアドニス。スピニングは状態しだいで次走交流GIII「クラスターC」(8月15日・盛岡1200m)を予定。グレードアップの相手に対し、自身さらに上積みがあるかどうかだ。 

 ただし、1600m1分38秒8の時計。1番人気ケイアイミリオンが前走38秒3だから、ごく客観的には凡戦のうらみもある。そのケイアイミリオン、好スタートを切ったものの内からロッキーアピールに突っ張られ、終始ちぐはぐな競馬になった。「外からかぶされて行く気をなくした。重賞はペース自体も違うから…」(内田博騎手)。周囲の見方と裏腹に、鞍上はテンから半信半疑だったか。結果的に短絡、安易な予想だったと反省する。このあたり、競馬はつくづく難しい。ベルモントストームは折り合って直線強襲。勝ち馬に出し抜けを食らった形で、自身いいリズムが戻っている。いずれにせよこぢんまりまとまってほしくない馬。この秋が改めて正念場になるだろう。ロッキーアピールは展開不利、ウエノマルクンは距離不足。3連単13万円台の立役者コマノブリザードは、全体に時計がかかった利が大きい。

     ☆     ☆     ☆
 
 2歳新馬戦もだいぶ駒がそろってきた。とりわけ7月30日川崎、同31日大井のデビュー組はハイレベル。それぞれ“候補”らしい馬が勝ち名乗りをあげた。4頭を紹介する。

▼リニモスター(牡、川崎・池田孝厩舎)
 抜群のスタートと加速力。いかにもデュラブ産駒らしいスピード感あふれる逃げ切りだった。後続に5馬身差、900m54秒4。2歳新馬戦以外ほとんど使われない川崎900mだが、55秒台前半が水準レベルで、54秒台突入ならひとまずエリートの期待がかかる。467キロ。前躯が発達し、回転の速いフットワーク。パレガルニエの挫折以来、ひと息気勢の上がらない池田厩舎だが、久々に大物登場か。一流マイラーが目標。

▼ブルークリクィン(牝、川崎・足立勝久厩舎) 
 人気馬同士、リバーサイドと一騎打ち。直線は併せ馬の形になり、最後首差競り勝った。相手が500キロを超す牡馬だけに中身が濃く、時計もリニモスターと同じ54秒4だった。身のこなしが柔らかく、競馬センスがよさそうなアフリート産駒。母の父マルゼンスキーで、兄姉にも南関東中堅級が並ぶ。距離延長はむしろ楽しみ。流れに応じて走るタイプか。

▼アタゴハヤブサ(牡、大井・蛯名末五郎厩舎)
 不利な外枠から好スタートを決め、直線を待たず独走になった。父ヴィクトリースピーチはデピュティミニスター産駒、 米G1ストラブS(10f)など重賞4勝の新種牡馬。スピード、パワー兼備のタイプとイメージできる。473キロ、ガッシリ骨太の体つき。1000m1分01秒3も、2着に6馬身差、脚いろの余裕を考えると、文句なく合格点以上だろう。おそらく逃げにはこだわらない。

▼カミノヤマレンジャ(牝、大井・渡部則夫厩舎)
 今季大井デビュー馬の中で、最も大物感がある初戦勝ち。モッサリしたスタートで中団追走。しかし4コーナー大外に持ち出すと真一文字に伸び、追い込む、差し切るとかいうより、1頭別次元のエンジンを感じさせた。1000m1分01秒1、牝馬ながら501キロの雄大な馬格。パドックでも悠々とした落ち着きが目立っていた。アジュディケーティング×ナイスダンサー。正直これが牡馬なら…と思わせる。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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