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120%の勝利

  • 2005年09月05日(月) 16時06分
 8月31日、大井「アフター5スター賞」。ロッキーアピールが2番手から抜け出して快勝した。内枠を引いたハタノアドニスが気合いをつけてハナを奪う。すんなり位置取りが決まり、1200m戦としては淡々とした展開。ロッキーはあえて馬体を併せにいかず、きっちり1馬身後ろで付かず離れずの競馬をした。直線中ほど、にわかに失速したアドニスの横をスリ抜けるように先頭。そのまま後続をいっぱいに振り切った。

 「道中もまれないことだけを考えた。よく我慢してくれました」(今野騎手)。昨秋、同コンビで交流GIII「さきたま杯」を酷似したレースぶりで制している。当時競り勝った相手がストロングブラッド。「馬自身、絶好調かとなると微妙だった(前走サンタアニタT4着)。それでも気分よく走れれば120%の力を出してくれる」(山崎師)。100%ではなく120%だから、スピニングアロー級では届かなかったのかもしれない。6番人気。一種不思議な馬ではある。1分11秒6も、今開催、時計のかかる馬場だけに悪くない数字だろう。タイトル2つ目。順調なら当然「JBCスプリント=11月3日名古屋1400m」が視野に入る。

アフター5スター賞(サラ3歳上 別定 南関東G3 1200m稍重)

△(1)ロッキーアピール  (57・今野)  1分11秒6
△(2)スピニングアロー  (57・御神本) 1/2
△(3)ハタノアドニス   (57・石崎隆) 1
▲(4)ブラウンシャトレー (57・張田)  1/2
△(5)ベルモントソレイユ (57・酒井)  1/2
…………………………………
◎(14)エコルプレイス   (57・内田博)
○  イシノファミリー  (57・的場文) 落馬

単1,250円 馬複2,260円 馬単6,960円
3連複5,120円 3連単43,960円

 スピニングアローは能力通りの競馬と思う。先行争いに加わらず、直線勝負と出た御神本J。ゴール際の勢いははっきりロッキーを圧していた。「イメージに近いレースができた。今日は展開ということでしょう」。パドックから躍動感あふれる馬体と動きで、自身完全に軌道に乗った。勝ち馬と同タイム。南関東、短〜マイル路線なら、常に好勝負の期待が持てる。ハタノアドニスは、敗れてなお存在感をアピールした。9歳馬、総合的な能力に少し翳りはあっても、ダッシュ力、反応のよさなど、さすがG?級のスプリンターだ。ブラウンシャトレー、ベルモントソレイユは、前者に距離不足、後者に外枠の不利があった。掲示板確保なら、ひとまず納得のいく結果だろう。

 難しいのはエコルプレイス。好スタート。しかし内田博Jにテンからハナを切る意思はなかったようで、いったん中団、3コーナーからインを追い上げる形になった。直線入口で戦意喪失。「まだ太かったし、1200mの適性もわからない」(内田博J)。なるほどJRA時1200mを2戦、3、9着。ビュッと行く二の脚、加速力には甘さがある。今後の展望がつかみづらい。叩いて上積みは必至だが、小回りの地方競馬が本質的に合うのかどうか。いずれにせよ記者◎は悔いが残る予想だった。東京1400mレコードを持っていること。働き盛りのトレード、しかも川島正行厩舎であること。いかにも安易、短絡に流れてしまった。次走・東京盃。現時点でいうなら、のびのび走れる外枠が理想になるか。競馬とは、能力=結果で終わることがむしろ珍しい。改めて痛感した。

     ☆     ☆     ☆

戸塚記念(川崎 9月7日 サラ3歳別定 南関東G3 2100m)

◎ダイナマイトリジイ (53・石崎隆)
○ダンシングスキー  (54・内田博)
▲ルパン       (53・市村)
△レッドバイオリン  (53・酒井)
△ラックラン     (53・今野)
△パラダイスホーク  (53・森下)
△イチブパワー    (53・張田)

 シーチャリオット、メイプルエイト、さらにボンネビルレコードらを追う、第2〜第3勢力の争い。中でダイナマイトリジイは、トライアル「芙蓉賞=2000m」を、激烈な叩き合いの末制している。昨秋デビュー2連勝を飾ったフレンチデピュティ産駒。当時船橋1000m59秒8、川崎1500m1分35秒3で駆け抜け、続く交流G?「全日本2歳優駿」でも、5番人気の評価を受けた(8着)。以後足踏みは、骨折、ザ石などアクシデントが重なったため。その芙蓉賞をみる限り、石崎隆騎手とのコンビで一挙に差す競馬をマスターしている。474キロ、柔らかで幅のある好馬体。シーチャリオットはともかく、メイプル、ボンネビル級なら、むしろスケールで一枚上か。あっさり勝てれば再び交流重賞ロードに夢が浮かぶ。

 ダンシングスキーは黒潮盃3着。九州ダービー(佐賀・荒尾)を制し大井転入。低レベル地区にせよ、やはりタイトルはダテでなかった。パワフルな先行力が売り。内田博Jを配した以上、初コースでも好勝負の計算が立つ。ルパンは道営1勝→大井2勝。こちらも馬力の先行型で、今回2100m歓迎のイメージがある。切れ味でレッドバイオリン、JRA挑戦の経験でパラダイスホーク。昇り馬ラックラン、イチブパワーも混戦なら差がない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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