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変身ブルーワレンダー

  • 2005年09月12日(月) 19時29分
 9月7日、川崎「戸塚記念」は、何とも意外すぎる結果だった。いや、勝ったブルーワレンダーは3番人気。あくまで記者の中の“意外”ということだが、それにしても7馬身差の逃げ切りは、まったく想像できなかった。絶好の1番枠から一人旅になったこと。極端な道悪が味方したこと。そして2着には、11番人気コスモメンツェルが飛び込んだ。とうてい長距離得意と思えない馬同士のワンツーだから、正直お手上げ。ただし、ブルーワレンダー=2100m・2分14秒2は、馬場状態を考慮してもきわめて速い(昨年モエレトレジャー=重2分16秒3)。馬自身の充実は無条件で賞賛できる。

戸塚記念(サラ3歳 別定 南関東G3 2100m不良)

 (1)ブルーワレンダー  (54・的場文) 2分14秒2
 (2)コスモメンツェル  (55・左海)  7
○(3)ダンシングスキー  (54・内田博) 1.1/2
▲(4)ルパン       (53・市村)  2.1/2
△(5)レッドバイオリン  (53・酒井)  クビ
……………………………
◎(6)ダイナマイトリジイ (53・石崎隆)
 (8)スプリームシュガー (54・山田信)
△(10)イチブパワー    (53・張田)

単490円 馬複11,290円 馬単17,980円
3連複10,970円 3連単139,650円

 ブルーワレンダーは、デビュー通算[6-2-2-3]。数字こそまとまっているものの、単調なスピード馬として、すっかりイメージが固まっていた。「ふだん1500mあたりでもグイグイ掛かってしまう馬。それが今日はスタートからずっとスムーズ。状態が上がっているし、成長したということでしょう」(的場文騎手)。同騎手はこの日、49歳の誕生日を迎えている。結果的に大きなプレゼントを馬が贈った。ブルーワレンダーは半兄にイシノファミリー(重賞3勝)。脚質、気性、外からみる雰囲気は大きく違うが、自分の形に持ち込んでめっぽう強い。少なくとも能力は血筋通りというべきだろう。今後どうステップアップしていくかに興味がある。

 コスモメンツェルは、4コーナー独走を決めたワレンダーにただ1頭迫っていった。それまで4勝すべて短〜マイル戦、東京湾C(1800m)殿り負けなどからは考えにくい好走だが、勝ち馬同様、デキのよさ、道悪の利を生かしたものか。3着ダンシングスキー。モッサリしたスタートで二の脚もつかず、結局直線だけの競馬になった。佐賀時代は前々でレースができたデュラブ産駒。相変わらず好馬体は目立っていたが、まだ試行錯誤というしかない。ルパンは道中離れた3番手で位置取りとすると文句なし。追って案外の4着は結果的に父ヤマニンゼファーゆえかもしれない。レッドバイオリンは、「なぜか今日は馬に走る気が出なかった」(酒井騎手)。切れ味勝負の個性派だが、現状は気分優先、展開優先の段階だろう。◎ダイナマイトリジイ。こちらはダンシングスキー以上に反応が鈍く、前半おっつけ通しで早くも圏外。「前走(芙蓉賞1着)のようにすんなり行ければいいんだけどね。もまれると若さが出る」(石崎隆騎手)。良血の期待馬ながら、課題山積みという6着だった。

      ☆       ☆       ☆

トゥインクルレディー賞(9月14日 大井 サラ3歳上牝馬 ハンデ 南関東G2 1600m)

◎ベルモントパティ  (56.5・御神本)
○アイチャンルック  (55・内田博)
▲エトワールフルーヴ (51・酒井)
△マイキャンディー  (53.5・山田信)
△カネマサヴィーナス (52・左海)
△ジーエスレインボー (51・今野)
△ラヴァリーフリッグ (57・石崎隆)
 セイエイシェーン  (52・的場文)

 ベルモントパティは、前走川崎GIII「スパーキングレディーC」5着。いかにも急仕上げを思わせながら、直線これはという伸びをみせた。JRAダート5勝、うち2つが1000万。しかも牡馬相手の東京GIII「武蔵野S」3着で、クーリンガー、ブルーコンコルド、エコルプレイスらを下している。南関牝馬同士なら突き抜けて当然の力関係といえるだろう。デビュー戦を含め、叩き2戦目[2-1-0-1]。中間意欲的な追い切りをこなし、型通り変わってきた。馬券的にも半信半疑のここが狙い目。

 アイチャンルックは前走4か月ぶりを叩いてここ照準。ロジータ記念勝ちはもちろん、アジュディミツオーを外から差した黒潮盃2着が何より光る。内田博Jに手が戻り、力通りの結果を出すか。エトワールフルーヴ、マイキャンディー、カネマサヴィーナスは、いずれも牝馬らしい切れ者で、能力自体も大差がない。51kg、最軽量エトワールを上にみたが、あとはオッズと相談になる。古豪ラヴァリーフリッグに△をつけた関係で、的場文セイエイシェーンまで結局シルシが回らなかった。怖い…が本音。ベルモントパティの気配がよければ、ここから手広く流したい。

       ☆       ☆       ☆

ダービーグランプリ(9月19日 盛岡 サラ3歳 定量 交流GI 2000m)

◎カネヒキリ     (56・武豊)
○メイプルエイト   (56・張田)
▲サンライズバッカス (56・佐藤哲)
△ドンクール     (56・後藤)
△アグネスジェダイ  (56・菅原勲)
△マツリダパレス   (56・小林俊)
△コスモジェントル  (56・村松学)
 コンゴウリキシオー (56・藤田)
(出走馬・騎手とも想定)

 カネヒキリには脱帽するしかないだろう。ダート5戦負け知らず。ユニコーンS、ジャパンダートダービーとも、ひとこと別次元の圧勝だった。流れるような加速力。スピード、瞬発力、競馬センス、すべてバランスよく備え、レースぶりに無理とか無駄がいっさいない。盛岡2000mは、その時点の能力差が如実に出るタフなコース。レギュラーメンバー(大差)、ゴールドアリュール(10馬身)、パーソナルラッシュ(9馬身)…。今回カネヒキリも勝ちっぷり、そして着差、時計が焦点になってくる。

 メイプルエイトのJDダービー2着は、単に地の利と思えない。道中好位でじっくり構え、直線馬群の真ん中から力強く脚を伸ばした。パワー身上。器の違いで逆転は疑問だが、こと盛岡2000mの適性に限ればカネヒキリ以上ともイメージできる。ドンクール、アグネスジェダイ(今回・菅原勲J騎乗予定)は展開に注文がつきそうで、むしろダート4戦4勝サンライズバッカスに未知の魅力が出てくるか。地元岩手では、トライアル「不来方賞」1、2着、マツリダパレス、コスモジェントルが掲示板を狙っている。

 蛇足だが、シーチャリオットは、3ヶ月のオーバーホール後、9月9日から馬場入りを再開した。レントゲン検査の結果、すでに不安なしとのこと。以後順調なら、「京成盃グランドマイラーズ」(11月23日・船橋1600m)をステップに、大一番「東京大賞典」(12月29日・大井2000m)挑戦という青写真ができている。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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