9月23日、船橋「日本テレビ盃」。本来、JBC→JCダートへ続く秋競馬の序章ながら、その顔ぶれはいきなりビッグカードと呼んでおかしくない。充電完了アジュディミツオー、円熟期ナイキアディライト、地元から二枚看板。対してJRAも、重賞2連覇サカラート、一昨年の覇者スターキングマン、さらに復調カイトヒルウインドと、ハイレベルのメンバーをそろえてきた。次の「JBCクラシック」は名古屋1900m。コース形態など大きく異なり、適性、要求されるものも違ってくる。1着賞金4000万円の交流GII。トライアルではおそらくない。各馬全力投球の勝負だろう。
日本テレビ盃(サラ3歳上 別定 交流GII・1800m)
◎ナイキアディライト (57・石崎隆)
○アジュディミツオー (58・内田博)
▲サカラート (57・秋山)
△スターキングマン (58・武豊)
△カイトヒルウインド (56・横山典)
△ブラウンシャトレー (57・張田)
イシノファミリー (56・的場文)
グラッブユアハート (55・安藤勝)
トーシンブリザード (58・石崎駿)
※出走馬・騎手は想定
ナイキアディライトは、昨年このレースを1800m1分49秒7、歴代2位の好タイムで逃げ切った。アジュディミツオーに1/2馬身差。当時、自身57kg=アジュディ53kgだから、条件はきわめて有利といえるだろう。前2走、かしわ記念3着、帝王賞3着。確かに能力を出し切った完敗だが、同馬にとって1600mはやや忙しく、2000mは微妙に長い。ペース配分、折り合いなど、究極的に1800mベストと判断する。もう一つ上を狙うアジュディミツオー、ここで勝ちたいアディライト。昨年同様の並び(1、2番手)なら、そのままのイメージが最も自然だ。
サカラートは、東海S→ブリーダーズGCと重賞連破。しかも後者はタイムパラドックスを退けている。ただブリーダーズGCのビデオなど改めてみると、あとほんの一二完歩ではっきり勝ちが変わる脚いろ。デキのよさと自在性、さらに好騎乗も勝因だったか。いずれにせよパラドックス以上の逞しさ、底力は疑問がある。スターキングマンは一昨年の覇者、当時恐るべき瞬発力を発揮したが、近走をみる限り緩やかな下り坂。船橋コースの適性を加味しても、バッサリ差し切るイメージは浮かんでこない。むしろ地方ダート向きのパワーはカイトヒルウインド。前走札幌エルムS・3着はパーソナルラッシュ、ジンクライシスに小差だから価値がある。グラッブユアハートは牡馬相手にがっぷり四つでは難しく、思い切った直線勝負に徹した際か。以下、地方側の伏兵は、しぶといブラウンシャトレー、船橋重賞3勝イシノファミリー。
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トゥインクルレディー賞
(9月14日大井 サラ3歳上牝 ハンデ 南関東G2・1600m良)
(1)コウエイソフィア (52・戸崎) 1分39秒8
(2)セイエイシェーン (52・的場文) 1/2
▲(3)エトワールフルーヴ (51・酒井) 1.1/2
◎(4)ベルモントパティ (56.5・御神本) クビ
(5)ドリームサラ (56.5・森下) 1/2
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△(6)マイキャンディー (53.5・山田信)
○(7)アイチャンルック (55・内田博)
△(10)カネマサヴィーナス (52・左海)
△(12)ラヴァリーフリッグ (57・石崎隆)
単2,220円 馬複11,190円 馬単28,730円
3連複20,040円 3連単190,160円
してやったり…とはこういうシーンをいうのだろう。伏兵コウエイソフィアの逃げ切り。テンが抜群に速いこと。ただし追ってからは甘いこと。JRA(2勝)で転入後、4勝はあげたものの、今回ほぼノーマークになっていた。ロケットスタート、手綱を動かすこともなくハナを切り、流れるような一人旅。結局最後までフットワークが乱れなかった。
「2度目の騎乗でダッシュのよさはわかっていた。折り合いだけに気をつけました。長かった(デビュー7年目の重賞初制覇)から、本当に嬉しいです」(戸崎圭太騎手)。同騎手は25歳、現在大井リーディング4位につける成長株。当たりの柔らかい手綱さばきで、とりわけ先行馬に乗って好騎乗が目立っている。「ジョッキーが上手だったね。馬も落ち着きが出てよくなっていたんだよ」(高橋三郎調教師)。父フォーティナイナー。同厩舎らしい見事な再生術も見逃せない。選出されればJBCスプリント(11月・名古屋)へ挑戦予定。いつもながら同スタッフはチャレンジ精神に溢れている。
人気どころの大半が追い込み馬。出遅れながら直線インを巧みに突いたセイエイシェーンが2着に届いた。繰り返し書くが、今季、的場文騎手の勝負勘と集中力は素晴らしい。仮に不利な状況でも、最後は馬の能力を100%引き出してくる。◎ベルモントパティ。道中5番手のインは絶好だったが、いざ追ってから案外だった。状態が今一歩か、あるいは深い砂の適性か。いずれにせよ次走あたりが正念場。アイチャンルックはベルモントの直後に位置し、しかし直線本来の伸びがなかった。心身とも成長ひと息。一度リズムを崩した牝馬は、完全復活が容易でない。マイキャンディー、カネマサヴィーナスは、瞬発力勝負でどのみちムラ。展開が向けば一変の結果もあるだろう。