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フルメンバー

  • 2005年10月03日(月) 19時44分
 秋競馬も佳境に入った。今週の大井は「東京盃」、「東京記念」のダブル重賞。南関東サイドからJBCをめざす馬には、最終予選の形となる。前者は1200m、後者は2400m。水曜→木曜の連日で行なわれるから、バラエティーの妙が楽しめるか。接戦、熱戦を期待したい。

 ともあれ、ダートGI(選手権距離)ロード。今年は、JBCクラシック(名古屋1900m)→ジャパンCダート(東京2100m)→東京大賞典(大井2000m)。条件がかなり異なる3戦で、スターホースを抱える各陣営ともローテーションが難しい。コース適性、相手関係をにらみつつ微妙な選択。現時点で明言された主力級の次走報を整理する。

 カネヒキリは、武蔵野S(東京1600m)→JCダート。武蔵野Sは、3歳有利の別定で57kgだから負担が少ない。逆にアジュディミツオーは同レース選択だと59kg。別定58kgで出走できる埼玉新聞杯(浦和1900m)→JCダートとステップを変更した。繰り返すが微妙な選択。軽い相手で勢いをつけたい意味も正直あるか。

 ナイキアディライトはJBC直行。前走の日本テレビ盃で完敗したサカラートに、小回りでリベンジを狙っている。シーキングザダイヤ、パーソナルラッシュは南部杯(10月10日・盛岡1600m)。この2頭はステップというより、南部杯自体が大きなターゲットになるだろう。タイムパラドックスも同レースから再始動。大目標JCダート2連覇に向かって進む。

 フルメンバー。手前勝手を承知で書けば、最終的に12月29日大井「東京大賞典」が、そうであることをひたすら願う。諸行無常、先のことはわからない競馬のこと。しかし、ダート版グランプリがいざ出馬発表、拍子抜けの顔ぶれでは“暮れの総決算”に値しない。JRAに希望する。5頭枠の縛り、それは根本問題として、現実にその5頭、競馬会“選定”がタテマエなら、そのとき旬のフルメンバーにできないものか。ルール改正が早急課題。古びた戦歴と、今ある勢い。ファンが見たい、馬券を買いたいレースとは、もちろん後者が出てきたときだ。

       ☆       ☆       ☆

東京盃(10月5日大井 サラ3歳上別定 交流GII 1200m)

◎スピニングアロー  (56・張田)
○ロッキーアピール  (56・今野)
▲エンゲルグレーセ  (56・中舘)
△ニホンピロサート  (56・横山典)
△ノボトゥルー    (58・武豊)
△アグネスジェダイ  (54・小牧太)
△ハタノアドニス   (57・石崎隆)
 ディバインシルバー (56・後藤)

 地元勢に期待した。ネックの裂蹄が完治したスピニングアローは7歳馬ながらピークを迎え、一昨年ハタノアドニスの位置にある。JRA時1200m・6勝。少しズブさが出た近況だが、今年はガンガン飛ばし時計勝負で乗り切れる、逃げ、先行馬が見当たらない。ロッキーアピールに惜敗の前走アフター5賞は、印象とすると展開のアヤ。何が行ってもゴール際もつれるイメージ。デキのよさで混戦を捌くとみる。

 重賞4勝ニホンピロサートが総合点で上位だが、過去鉄砲に良績が乏しく、スタート難も考慮すると今回食指が動かない。エンゲルグレーセも4年ぶりの重賞勝利。ズバ抜けた能力は疑問で、大井コースにフィーリングが合った際か。ノボトゥルーは健在といえても平行線。ただ1頭58kgは数字通りのハンデだろう。ホームの利を含め、スピニングアローから流し馬券と割り切った。

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東京記念(10月6日大井 サラ3歳上別定 南関東G2 2400m)

◎ボンネビルレコード (56・的場文)
○ウエノマルクン   (56・鈴木啓)
▲シャコーオープン  (58・石崎駿)
△トウケイファイヤー (54・有年)
△マクロプロトン   (57・内田博)
△スプリングエトナ  (56・石崎隆)
△ケージーチカラ   (58・御神本)
 ヤスミダブリン   (56・今野)
 ホクトアサティス  (56・坂井)
 クールアイバー   (56・戸崎)

 3歳馬の挑戦が焦点になる。ボンネビルレコードは、前走黒潮盃が初タイトル。しかし、4コーナー8番手から豪快な逆転劇。1800m・1分52秒7の時計も古馬オープンレベルに十分届く。馬体に幅が出てきたこと。末脚勝負で勝ちパターンが固まったこと。父アサティス。元よりステイヤーの匂いがあり、的場文騎手がこだわって乗る以上、いきなり好勝負が期待できる。

 同じく3歳トウケイファイヤーは、黒潮盃ボンネビルに3/4馬身差だが、こちらは掛かる気性で長丁場がまだ未知数。2400m向きがはっきりしているウエノマルクン、久々でも昨年このレース大差勝ちシャコーオープンを上にみた。春の大井記念を快勝したケージーチカラは、当時的場文J好騎乗で、今回御神本騎手がどう乗るか。スプリングエトナ、マクロプロトンもまだ底が割れず、2頭とも血統、レースぶりからは長距離で減点がない。

       ☆       ☆       

南部杯(10月10日盛岡 サラ3歳上定量 交流GI 1600m)

◎パーソナルラッシュ (57・藤田)
○タイムパラドックス (57・武豊)
▲プリサイスマシーン (57・後藤)
△シーキングザダイヤ (57・横山典)
△ユートピア     (57・安藤勝)
 レジェンドハンター (57・安藤光)
 エアウィード    (57・菅原勲)
※出走馬・騎手は推定

 4歳秋を迎えたパーソナルラッシュだが、いまだ評価は未完の大器。それでもこと潜在能力は相当高く、ひとつハマれば、全国レベル、いや世界レベルを思わせるほどのレースをする。心底強さを感じたのが、ウインデュエルを子供扱いしたエルムS(04年)、そして大差レコード勝ちのダービーGP。出遅れて無抵抗に終わった東京大賞典など、気性面の甘さは残るが、絶対能力がストレートに出る盛岡コース。ひとまず真価発揮の舞台であることは間違いない。前走接戦を制して本調子。サバイバルの1600mも本来ベストか。

 仮に目標は先でも、タイムパラドックスは実戦に行って逞しく崩れがない。プリサイスマシーンは川崎出身。ずっと応援している馬だが、中日新聞杯2連覇(芝1800m)など、ダート1600mがベストではないだろう。シーキングザダイヤはマイル適性で、前記馬を凌ぐものの、遠征後の仕上がりが大きな問題。100%でないと突き抜けるまでは疑問がある。昨年の覇者ユートピアは小さくまとまってしまった印象で、すんなり逃げが打てた際か。東海レジェンドハンターはかつての大物感が薄れ、地元オープンでも勝ったり負けたり。地元岩手からは好調エアウィードだが、戦歴をみる限りここで通用の根拠がない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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