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上昇馬の秋

  • 2005年10月17日(月) 16時02分
 1週遅れになるが、10月10日川崎「鎌倉記念」の結果から報告する。南関東、2歳馬の初重賞。1着馬に、12月21日「全日本2歳優駿=GI」優先出走権が与えられる。ただ、現時点で?1とされるグッドストーン(4戦4勝)以下、船橋勢は軒並み「平和賞=10月26日」まで待機を決め、7頭立てと質量ともに寂しかった。勝ったのは5番人気カネショウマリノス。逃げるアジュディビルダーの2番手から渾身の差し切り。デビュー6戦目初勝利が、いきなり重賞という快挙だった。

 鎌倉記念(サラ2歳 別定 南関東G3 1500m不良)

▲(1)カネショウマリノス (54・今野)  1分35秒3
◎(2)アジュディビルダー (54・石崎隆) 1/2
△(3)プレミアムサンデー (55・的場文) 3
○(4)キングトルネード  (55・酒井)  1.1/2
△(5)リニモスター    (54・内田博) 4

単1,090円 馬複1,230円 馬単3,390円
3連複1,580円 3連単12,120円

 カネショウマリノスは当日452?、父アジュディケーティングの牡馬。デビューから5戦、5、3、4、2、2着。それでも前走「若武者賞」はキングトルネードと首差の勝負をしていた。「初めて乗ったが、素直でしっかり走ってくれる。位置取りもイメージ通り。まだ成長するでしょう」(今野騎手)。母系にミルジョージ。見た目派手さはなくとも、追って味があり、実戦向きということだろう。ただし1500m・1分35秒3は、同日古馬C2が34秒台を出す馬場だから平凡の域を出ない。現時点で全国レベルに届くか疑問だ。

 アジュディビルダーは1000m通過63.1秒、いいペースに持ち込んだが、直線二の脚が出なかった。首が高くややリキんだ走法。まだキャリア2戦、今後使い込んでどう変わるか。大井2戦2勝で臨んだプレミアムサンデーはネックのゲート難が出て直線だけの競馬になった。全体の感触はまずまずだが、こちらも気性面の成長がテーマになる。3戦3勝、1番人気キングトルネードは、レースを重ねるごとにズブさが出てきた。かつてのナミ、エスプリシーズなど、カコイーシーズ産駒は成長過程でそういう時期があるかもしれない。長い目でみるべき馬と納得する。

       ☆       ☆       ☆

 ロジータ記念(10月12日川崎 サラ3歳牝馬 別定 南関東G2 2100m重)

○(1)グローバルリーダー (52・張田)  2分15秒8
△(2)ナイススマイルワン (52・石崎隆) 2
▲(3)ジュエルシャネル  (52・内田博) 2.1/2
◎(4)テンセイフジ    (56・石崎駿) 1.1/2
△(5)ビービーシグナス  (52・金子)  2.1/2
…………………………
△(6)マルマツキセキ   (52・繁田)
△(7)ビバオグリワンダー (52・的場文)

単530円 馬複7,600円 馬単16,880円
3連複5,860円 3連単78,800円

 上昇馬グローバルリーダーが鮮やかな差し切りで重賞初制覇を飾った。道中中団で流れに乗り、3〜4コーナーいつもより早めのスパート。快調に飛ばすナイススマイルワンを直線中ほどあっさり捕え、最後は余裕のゴールだった。2100m・2分15秒8、距離変更後過去8年?1の好タイム。スロー傾向が強い川崎同距離にしてはペースが緩まず、それを正攻法で抜け出したのだから、戦前のイメージ以上にレベルが高い。グローバルリーダーは、デビューから8戦4勝、着外知らず。父テンビーながらむしろズブいくらいの追い込み馬で、キャリアを積み、距離延長とともに頭角を現わしてきた。軽量52?を割り引いても、本物の評価だろう。次走は「TCKディスタフ=11月3日大井2000m」が有力。順調に育てば、牝馬統一Gでも期待できる。

 ナイススマイルワンが一気の逃げで2着に粘った。こちらも夏の上がり馬、さすがという勢いがある。戦前一本調子を懸念されたが、終わってみれば父ブライアンズタイム。ソコソコ馬力も備えていた。ジュエルシャネルは逆に現時点でスタミナ不足。好位から理想的な運びとみえたが、追って案外味がなかった。アグネスワールド産駒。マイル前後がベターだろう。2冠牝馬テンセイフジ。11?増は4か月ぶりで納得だが、鞍上のGOサインに反応し切れず、直線差を詰めるだけに終わった。それでもただ1頭56?を背負い掲示板に昇ったあたり、能力はやはり高い。次走「TCKディスタフ」での巻き返しに注目する。

       ☆       ☆       ☆

 埼玉新聞杯(10月19日浦和 サラ3歳上 別定 南関東G3 1900m) 

◎ケイアイミリオン  (54・山田信)
○イシノファミリー  (58・的場文)
▲コアレスハンター  (58・早田)
△ティーケーツヨシ  (56・石崎隆)
△ステルステクニック (56・内田博)
△クールアイバー   (58・石崎駿)
△サクラハーン    (56・佐藤隆)
キングセイバー    (58・酒井)
ツインズジョーカー  (56・張田)

 当初ここ出走とされたアジュディミツオーは、結局10月29日「武蔵野S=東京1600m」へ路線変更する。JCダート前に1度府中コースを使いたいこと、来冬フェブラリーSを視野に置く関係上、芝部分(スタート地点)を経験させたいこと。斤量59?、メンバー的にも厳しいが(カネヒキリなど出走予定)、ひとまず先を見据えた戦略だろう。

 ケイアイミリオンを狙った。3走前、準重賞「シーサイドC」を1600m・1分38秒3、圧巻の逃げ切り。続く2戦案外だが、非凡なスピード能力は疑う余地がないだろう。JRA5勝=1600万。7歳馬ながら都合6度の休養があり、キャリアもまだ18戦。精神面に若さが残ると判断したい。内田博→山田信Jへ今回手替わり。どう乗るか読めないが、馬自身は差す競馬で良績があり、新境地を引き出す期待も十分浮かぶ。いずれにせよ正念場。かつて新潟1800mを9馬身差圧勝の記録から、左回り1900mは減点がない。

 G1レベルの実力馬コアレスハンターは8ヶ月ぶり。調教試験、追い切りとも合格点だが、昨年このレース6着で、やはり楽観できないか。これに次ぐ実績(重賞3勝)を持つイシノファミリーを、的場文騎手との相性を含め一つ優位に考えた。以下、ハマって切れるティーケーツヨシ、素質的にもう少し走れそうなステルステクニック。クールアイバーもじっくり乗れると差がない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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