スマートフォン版へ

復活の秋もある

  • 2005年10月24日(月) 10時47分
 10月19日、浦和「埼玉新聞杯」。ケイアイミリオンが、まさしく真価発揮の強さをみせた。スタートひと息。内ステルステクニックに行かれたものの、ペースが緩んだスタンド前、そこでグイとハミが掛かる。向正面中ほど、素晴らしい手応えでステルスを交わすと、そのまま後続を一気にちぎった。余裕残しの4馬身差。1900m・1分58秒1は、軽い馬場にせよ過去14年のレースレコード。能力のある馬が能力を出し切った――ひとまずその見方が妥当だろう。

埼玉新聞杯(サラ3歳上 別定 南関東G3 1900m重)

◎(1)ケイアイミリオン(54・山田信) 1分58秒1
△(2)サクラハーン  (56・佐藤隆) 4
△(3)ティーケーツヨシ(56・石崎隆) 1.1/2
▲(4)コアレスハンター(58・早田)  クビ
△(5)クールアイバー (56・石崎駿) 3/4
…………………………
 (6)ツインズジョーカー(56・張田)
○(7)イシノファミリー (58・的場文)
△(8)ステルステクニック(56・内田博)

単390円 馬複3,550円 馬単5,390円
3連複4,910円 3連単27,500円

 ケイアイミリオンは、JRA・5勝、1600万からの転入馬。2戦目(大井)を1600m・1分38秒3、破格の時計で圧勝したが、以後1番人気を2度裏切り、今回評価が揺れていた。「初コースも問題なかった。いい馬に乗せてもらいました」(山田信騎手)。テン乗りながらいっさい無駄のない見事な騎乗で、このあたりジョッキーにも昇る勢いを感じさせる。馬自身は都合6度の休養があり、アフリート×ヌレイエフという血統背景。7歳馬でも心身両面まだまだ若く、いい意味で粗っぽい。現南関東の顔ぶれなら短〜中距離のスターホース、その候補には十分あがる。

 2着サクラハーン以下は、展開が明暗を分けた結果だろう。逃げたステルステクニックの脚いろが頼りなく(川島厩舎2頭出し)、早めに動いた佐藤隆騎手の判断が正解だった。ティーケーツヨシも鞍上がスローを見つつ競馬をしたが(向正面3番手)、そうなると逆に持ち味の瞬発力が生きてこない。イシノファミリーも敗因は同様とみえる。道中先頭に立とうかというほどの手応えで行ききれず、何ともちぐはぐな競馬だった。馬自身、浦和コースは現状フィーリングが合っていない。コアレスハンターがインから差を詰めて入着確保。何とか形は作ったが、年齢も含めかなりズブくなっている。もうひと花があるかどうか。厳しい状況は否めない。

      ☆       ☆       ☆

 18日、園田競馬場。今年のWSJシリーズ(阪神、12月3〜4日)、地方代表騎手を決定する2レースがポイント制で行われ、地元兵庫・岩田康成騎手が優勝した。同騎手は1戦目スカイハーバー2着、2戦目ワフーコメット1着。ともに人気馬を力通り好走させ、隙のなさ、勝負勘など、いかにも油が乗り切ったところをみせた。今さらながら、岩田騎手はすでにJRA・2年連続20勝、一次試験免除の特典で、来春兵庫→JRA移籍が決定的だ。

(1)岩田康成   兵庫  35点
(2)田中学    兵庫  33点
(3)五十嵐冬樹 北海道 20点
(4)的場文男   大井  18点
(5)安部幸夫   愛知  18点
(6)小林俊彦   岩手  17点
(7)内田博幸   大井  13点
(8)東川公則   笠松  8点
(9)石崎隆之   船橋  8点
(10)中越豊光   高知  8点
(11)鮫島克也   佐賀  4点
(12)吉田隆二   荒尾  3点

 例年、地方競馬からただ1人が参戦できるWSJシリーズ。過去、石崎隆之、川原正一、鮫島克也と大舞台で優勝し、個々の腕はもちろん、地方競馬全体のイメージアップにも貢献してきた。ともあれ、今年この企画は画期的といえるだろう。各地のリーディングJ(04年)を集結させ、そこで代表を決めようというもの。従来その選考は、不明朗かつ不明瞭、多分に恣意的な部分を感じさせた。この方法なら公明正大。引き当てた騎乗馬、クジ運やら何やらは、競馬だから仕方ない。何より、勝ち鞍数、獲得賞金、マイナー地区のジョッキーに、これまで不利が多すぎた。

 ただ、せっかくならとはやはり思う。決定戦2レースだけでは厳しいこと。今年兵庫Jワンツーの結果はともかく、公平を期すなら各競馬場持ち回りとすべきこと。さらにいえば、例年10月をシーズンとして、3競馬場くらいを回るNo.1決定シリーズとしてもおかしくない。ごく個人的なイメージなら、船橋→盛岡→佐賀などどうか。いずれも一流が腕をふるえそうな本格コース。少し寂しいけれど、いま地方競馬が胸を張れるのは、正直なところ馬より人だ。

      ☆       ☆       ☆

平和賞(10月26日 船橋 サラ2歳 定量 南関東G3 1600m)

◎グッドストーン   (54・石崎駿)
○ラッキートゥモロウ (54・宮崎光)
▲ハートフルドリーム (53・張田)
△コーラスマスター  (54・内田博)
△スペースシップ   (54・左海)
△ヒロヤスキングオー (54・佐藤博)
△トネノキング    (54・鷹見)

 グッドストーンはきわめて完成度の高い2歳馬だ。デビューから4戦全勝。相手なりの競馬をすること、深い馬場(船橋)に当たったこと、3連勝までいかにも時計平凡だったが、前走大井「ゴールドジュニアー」を1400m・1分27秒8。過去10年中NO.2の好記録で、その絶対能力を示している。スムーズな折り合い、GOサインからの鋭い反応。ディアブロ産駒、同時期のナイキアディライトと較べても、よほどレースが大人びている。今回北海道競馬から遠征4頭。キャリア豊富な相手にどう勝つか。ひとまずグッドストーン自身、スケールが問われるだろう。

 一昨年、その道営組からランノホシが勝っている。昨年はルパンが4着。ズバ抜けた戦歴はなくとも、使い込まれ鍛え込まれた強みがやはり大きい。今年はラッキートゥモロウ、ハートフルドリーム2頭に1500m勝ちがあり、とりわけ牡馬はラッキー(父サニーブライアン)は一戦ごとの充実が目立っている。以下、コーラスマスターはダーレー第3期生のシングスピール産駒。デビュー戦の勝ちっぷりに大物感があった。あえて薄目を狙えば、前走大井圧勝ヒロヤスキングオー、初コースでも1600m向きトネノキング。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング