11月9日、川崎「ローレル賞」。ダガーズアラベスクが別格の強さで初重賞をモノにした。道中3番手をスムーズに進み、馬なりのまま4コーナー先頭。最後は後続を7馬身ちぎる独走だった。「気を抜かせないよう、直線だけ気合を入れた。スタートしてすぐトップスピードに乗れる賢い馬。このまま成長してくれるといいね」(内田博騎手)。単勝1.3倍。終わってみれば1頭次元が違っていた。1600m・1分41秒8はレースレコード。同日B1ジルハーが41秒1だから合格点以上がつく。502kg、威風堂々という馬っぷり。いかにも川島正行厩舎らしい期待馬ではある。
ローレル賞(サラ2歳牝馬 別定 南関東G2 1600m 稍重)
○(1)ダガーズアラベスク(54・内田博) 1分41秒8
(2)アーペレーヌ (53・町田) 7
(3)ディライトパール (53・今野) 3/4
△(4)エスプリメガミ (53・左海) クビ
◎(5)セイントハニー (53・張田) 2
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△(7)チャームアスリープ(53・石崎駿)
▲(8)カミノヤマレンジャ(54・石崎隆)
単130円 馬複1,310円 馬単1,800円
3連複9,580円 3連単31,980円
ダガーズアラベスクは、ダーレー第3期生。父ジェイドロバリー、日本で種付けされ、しかしUAEで生まれている。デビュー前から注目度が高く、その風評通り4戦3勝。新馬戦で競り負けたとき(2着)、筆者個人はジリ脚タイプとイメージしたが、結局エンジンが違う、性能が違うということ。逆にいえば、今後1800→2000mと距離が延びても減点が一切ない。牝馬同士はもちろん、2歳馬全体でも屈指のスケールと判断できる。次走は12月30日大井「東京2歳優駿牝馬」。仮に強力転入馬が現われても、主役の座は揺るがない。
2着は中団から伸びたアーペレーヌ。わずかキャリア2戦の馬を、ルーキー町田直希騎手がソツなく乗って好走させた。その町田騎手は今春4月デビューながら早くも25勝をマーク(11月11日現在)。スタートセンス、勝負勘が素晴らしく、しかもベテラン相手に度胸のいい競馬をする。大井、浦和など、すでに他場からも騎乗依頼が届く近況。05年新人王というなら、間違いなく彼だろう。3着ディライトパールも人気薄。2番手を積極的に進み、こちらも好騎乗が大きいか。反して、他の人気馬は何とも低調。ダガーズをマークしながら直線あっさり突き放されたセイントハニー、中団をもがいて終わったカミノヤマレンジャ。素質の差か、成長途上か。いずれにせよ、これでは先につながらない。
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ハイセイコー記念(大井11月16日 サラ2歳 別定 南関東G2 1600m)
◎グッドストーン (54・石崎駿)
○プレミアムサンデー(54・内田博)
▲アタゴハヤブサ (54・的場文)
△カネショウマリノス(54・今野)
△ジャンサークル (54・石崎隆)
△キングトルネード (54・酒井)
△マイジュピター (54・山田信)
いずれどっと押し寄せるだろう転入馬はともかく、現時点、南関東同士ならグッドストーンは、スピード、勝負強さ、完成度、すべてに胸が張れるNo.1だ。デビュー5連勝。当初速い時計がなく評価が揺れたが、前2走ゴールドジュニアー、平和賞は記録的にも水準以上。何よりレースぶりの余裕、競馬センスが光っていた。同じ父(ディアブロ)を持つナイキアディライトの2歳時と較べても、完成度で断然上位。ひとことライバル待ちの状況だろう。ゴールドジュニアーをみる限り、大井右回りがむしろベターか。
川崎・鎌倉記念組では、勝ったカネショウマリノスより、3着プレミアムサンデーを上位にとる。当時初コースを大きな出遅れ。地元2連勝の内容からは相当な瞬発力がありそうだ。アタゴハヤブサは大井4戦全勝だが、前走みせたズブさなど、子供っぽい面が少し心配。右回りに慣れてきたジャンサークル、山田信騎手に手が合うマイジュピターが薄め。
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11月3日、名古屋「JBCスプリント」でラストランを終えた(7着)トーシンブリザードが、11月23日、船橋競馬場で引退式を行う。4歳後半からは万全の体調でレースに望めず、少々寂しいイメージの引退だが、いま改めて振り返ると、その戦歴はやはり名馬と呼ぶにふさわしい。南関東3冠を含む重賞7勝。JDダービー、かしわ記念、全日本2歳優駿と統一Gも3勝し、何より東京GIフェブラリーS、アグネスデジタルの2着など、それこそ震えのくるような末脚だった。南関ファンに感動と元気を与えてくれた馬だと思う。引退式の時間など、現時点で未定だが、その日は「船橋グランドマイラーズ」、シーチャリオットが出走予定。少し先の話だが、いい天気になってほしい。