11月3日「JBC」は、現地でライブ観戦した。名古屋競馬場へ出かけたのは本当に久しぶり。「のぞみ」に乗ってしまえばほんの1時間半なのだけれど、主要レースはすべてテレビで見られる昨今、ついつい横着モードに入ってしまう。ともあれ当日、名古屋競馬場は20680人の入場で(通常2000人程度)、予想をはるかに超えた熱気があった。レースもまた、これぞ交流という結果になり、売り上げ目標(第2回盛岡にわずか及ばず)はさておき、さまざま手応えがあったと思う。戦いすんだ夕刻5時、筆者自身、予想も馬券もピント外れでそそくさと競馬場を後にしたが、名古屋駅までのあおなみ線(10分少々できわめて便利)、そして東京までの新幹線。地方勢の健闘を反すうしつつ、何やら心の底が暖かかった。くたびれもうけでは決してない(と思いたい)。
JBCクラシック(サラ3歳上 別定 交流GI 1900m良)
○(1)タイムパラドックス(57・武豊) 2分00秒9
△(2)ユートピア (57・安藤勝) 1
(3)レイナワルツ (55・兒島) 3/4
◎(4)サカラート (57・秋山) 1.1/2
△(5)パーソナルラッシュ(57・藤田) 1.1/2
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△(6)シーキングザダイヤ(57・横山典)
▲(9)ナイキアディライト(57・石崎駿)
単610円 馬複1,810円 馬単3,880円
3連複36,910円 3連単236,450円
タイムパラドックスの勝利は、結局"底力"という以外に言葉がない。小回りを意識して3〜4コーナー早めに動き、息の長い脚でねじ伏せた。今春、帝王賞と勝ちっぷりが似ている。ここ一番で思い切ったレースができる馬と鞍上。全盛時のアドマイヤドンほどの凄み、迫力はないものの、いわく総合点で日本ダートNo.1の評価が妥当だ。しばしば取りこぼし、不覚はあっても、直後にきっちり借りを返す。天性タフな馬だから、順調ならJCダート→東京大賞典の王道だろう。武豊がカネヒキリとどちらを選ぶか。いつもながらモテる男の悩みではある。
ナイキアディライトがゲートを渋り、行き脚ひと息。そのぶん、レースの流れも少々淀んだ。ハナを切りながら一旦下げ、直線インを差し返したユートピア。安藤勝Jの名人芸はもちろんだが、馬自身本質的に小回りが向いている。そのナイキアディライトはゲートを前に座り込む大失態。元より馬運車を嫌うなどデリケートな面があると聞いたが、近況からはそれこそ想定外の出来事だった。競走馬の心理とはつくづく微妙。あとを引かないことをひとまず願う。サカラートは位置取りこそ3〜4番手の絶好位だが、道中ずっとカが入っていた。この敗因は難しい。単にフィーリングの問題か、あるいはピークを過ぎているか。今後のローテーションも含め陣営の判断に興味がある。パーソナルラッシュ、シーキングザダイヤは、注文通りのレース運びで、今日のところは力負けか。とりわけシーキングザダイヤの伸び不発は、手応えからみて不満が大きい。
さてハイライトのレイナワルツ。3コーナー手前、するすると先団接近、直線1Fあわやというシーンがあった。実績、記録では"格下"の一語で片付けられてしまう牝馬5歳。それでも今回はホームの熱気、鞍上の意気に見事応えた。とりわけ4コーナーで観戦した筆者は、地元名古屋ファンの悲鳴にも似た声援が胸に響いた。「よーし兒島、そのまま、そのまま!そのまま行け!」。競馬というもの。やはり挑戦ありきである。逆にいえば、そのアウェーで勝ち切ったタイムパラドックス=武豊にチャンピオンとして重みが出る、そうも思う。
JBCスプリント(サラ3歳上 別定 交流G? 1400m良)
○(1)ブルーコンコルド (57・幸) 1分25秒3
(2)ハタノアドニス (57・御神訓) 5
△(3)ノボトゥルー (57・武豊) ハナ
▲(4)メイショウボーラー(57・福永) 1
△(5)ニホンピロサート (57・安藤勝) クビ
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△(6)ヨシノイチバンボシ(57・吉田稔)
◎(8)アグネスジェダイ (56・小牧太)
単190円 馬複19,130円 馬単25,170円
3連複59,150円 3連単393,070円
ブルーコンコルドは別格の強さだった。1400mながらコーナー4度を回る小回りコース。結果的に幸騎手の自信、それに裏打ちされた好判断が第1の勝因。4コーナー、早々とまくって先頭、あとは後続を問題にしない独走だった。「スピード、切れ味が特徴で、時計のかかる地方ダートはやや疑問」が、レース前筆者の見解。まるで違った。今にして振り返れば、同馬は京都、阪神、東京、中山、さまざまな馬場に良績があり、オールラウンドなスプリンターということ。ともあれ、ここで地方初勝利。陣営の収穫は大きいだろう。息の長い活躍が期待できる。
2着・ハタノアドニスは一言、脱帽。ひいきをしたくてもしきれない9歳馬。しかしこの日は御神訓J、終始うまく流れに乗り大健闘をみせてくれた。春のかきつばた記念3着。馬自身、コース適性もあるのだろう。ただ、そのあとノボトゥルーがハナ差3着、レース自体のレベルは怪しい感がないでもない。◎アグネスジェダイは18kg増で立派過ぎる体つき。好スタート、外3番手をキープしたものの、向正面で早くも行きっぷりが鈍くなった。盛岡ダービーGP→大井東京盃。当時中1週のステップで、体調維持が難しかったか。メイショウボーラーは本来の爆発的なダッシュがみられず、ハナを切るまでに苦労した。ニホンピロサート、ヨシノイチバンボシは交流GIとなるとパンチ力が少し足りない。
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ローレル賞(11月9日川崎 サラ2歳牝馬 別定 1600m)
◎セイントハニー (53・張田)
○ダガーズアラベスク(54・内田博)
▲カミノヤマレンジャ(54・石崎隆)
△キョウエイイーグル(53・増田)
△チャームアスリープ(53・石崎駿)
△スプラッシュビート(53・佐藤隆)
△エスプリメガミ (53・左海)
セイントハニーは、今春ニュージーランドTを制したマイネルハーティーの半妹。さすがにその瞬発力は血統通りで、2戦目大井をひとまくりの圧勝劇(7馬身差)。続く前走・なでしこ賞(ローレル賞TR)も、出遅れを直線一気の3着だった。キャリア3戦、少しずつ馬体が増え、今後追い込みの個性派として成長するか。南関東牝馬同士なら素質上位と考えたい。
ダガーズアラベスクは、そのなでしこ賞を完勝し、3戦2勝。ダーレー3期生のジェイドロバリー産駒でいかにもパワフルな競馬をする。ただ個人的なイメージは現状ジリ脚。内田博J、おそらく一本人気だけに"単"は嫌う手もありそうだ。
大井2勝カミノヤマレンジャが、今回石崎隆騎手(的場文男騎手落馬負傷)で、どう初コースに挑んでくるか。折り合って末脚勝負がベターだろう。
薄目を狙えば、充実中のキョウエイイーグル、チャームアスリープ。前2走JRA挑戦スプラッシュビートも流れひとつで差がない。