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2歳戦線・異常あり

  • 2005年11月21日(月) 23時50分
 11月16日、大井「ハイセイコー記念」。船橋グッドストーン、大井アタゴハヤブサの連勝馬対決は、地元後者に凱歌があがった。インから絶好のスタートを決めたアタゴハヤブサは、それならという自然流の先行策。1000m・通過62.6秒、難なくマイペースに持ち込み、終始スムーズに折り合った。3〜4角、単独2番手に押し上げたグッドストーンが懸命に前を追うが、その差体半分、並べそうで並べない。最後は逆にアタゴハヤブサがもうひと伸び。グイと突き放してゴールだった。

 1600m・タイム1分41秒2。今開催の馬場では古馬B級レベルで、2歳馬とすると水準以上。何より自身、前走の時計(43.5秒)を大きく詰めた上昇度が評価できる。「レース前は(グッドストーンの)2番手をイメージしたが、ポンと出て反応もよかったからね。本来どんな競馬でもできると思う。まだまだ上積みがありますよ」(的場文騎手)。テンよし、中よし、終いよし。完璧、かつ理想的な勝ちっぷり。対グッドストーン、その立場はここで一気に逆転したかもしれない。

ハイセイコー記念(サラ2歳 定量 南関東G2 1600m 良)

▲(1)アタゴハヤブサ   (54・的場文) 1分41秒2
◎(2)グッドストーン   (54・石崎駿) 1.1/2
△(3)キングトルネード  (54・酒井)   4
○(4)プレミアムサンデー (54・内田博)  2
△(5)カネショウマリノス (54・今野)  1.1/2
…………………
△ ジャンサークル   (54・石崎隆) 競走中止

単420円 馬複200円 馬単680円
3連複760円 3連単3870円

 アタゴハヤブサは、7月のデビュー戦を6馬身差圧勝で飾り、以後ノンストップの5戦全勝。前走「はくたか特別」など、道中気難しい面をみせて危なかったが、当時4角10番手からの差し切りが、結果ここへつながった。父ヴィクトリースピーチは米G1勝ちの新種牡馬。アタゴハヤブサ自身、460kg台という以上に大きくみせ、走るフォームもやわらかい。今後どう成長するか。ひとまずGI「全日本2歳優駿」の出走権を確保したが、回避の公算が大きいと聞く。まだ馬が成長途上、そういう陣営の判断だろう。

 戦歴からは死角なしと思えたグッドストーン。スタート直後一瞬つまずくシーンはあったが、すぐ立て直しただけに致命的な不利とも思えない。「今日は返し馬の時点で感触がもうひとつ。この時計なら、勝てるはずの馬ですよ」(石崎駿騎手)。このあたり、当事者と観戦者、見解が分かれるだろう。アタゴハヤブサが強いのか、グッドストーンにポカがあったか。記者は現時点で前者をとる。少なくとも今回のアタゴハヤブサは、完成途上の2歳馬とすると、非の打ちどころがない競馬をした。対して完成度の高いグッドストーンは、1つ負けてしまうと、巻き返しが難しいイメージを抱かせる。ただ同馬はここで1敗、逆にそれならというGI挑戦の意思が生まれた。川崎12月22日「全日本2歳優駿」。南関東トップクラス、その“基準馬”として注目される。3着以下は大きく離され、今後相手が上がると厳しいが、懸念されたイレ込みが少なく終始スムーズに動いたキングトルネード、直線だけの競馬で入着したプレミアムサンデー。いずれにせよ、ここからどう成長するかだ。

 ☆       ☆       ☆

 11月23日、船橋「京成盃グランドマイラーズ」。シーチャリオットが復帰する。東京ダービー直後、故障判明。以後およそ半年に及ぶ長いブランク。しかし、当時川島正行調教師は「これまで休みなく使ってきたし、結果いい充電になるんじゃないか」と気丈に語り、現実にその青写真通り、きっちり馬を仕上げてきた。羽田盃→東京ダービー。まさに圧巻のひとことで、当時連続2着したメイプルエイトが、続くJDダービー、アグネスジェダイ、ドンクールを退けた比較からは、ごく客観的にもレベルが高い。初の古馬相手だが、とりたてて強力とは思えず、しかも走りやすい9頭立てに落ち着いた。地元1600mは昨秋平和賞を勝った実績。ここを好発進なら、次走は「東京大賞典=大井・12月29日」。夢のドラマが再開される。

京成盃グランドマイラーズ(サラ3歳上 別定 南関東G3 1600m)

◎シーチャリオット   (57・内田博)
○ベルモントストーム  (56・石崎隆)
▲イシノファミリー   (56・的場文)
△チョウサンタイガー  (56・酒井)
△インターセフォー   (54・張田)
△ベルモントソレイユ  (56・早田)
 コウエイソフィア   (54・戸崎)

 相変わらずタフに使い込めないベルモントストームだが、前々走テレビ埼玉杯(1400m)、前走サンタアニタT(1600m)と続けて2着。どうやら短〜マイルの切れ者として守備範囲が固まった。今回ササ針明けでも気性的に仕上がり早。意欲的な追い切りをこなし、完全燃焼がイメージできる。イシノファミリーも重賞3勝、すべて船橋1600〜1800mでマークし、ここは好条件がすべてそろった。この2頭を勢いで凌げば、決め脚に鋭さを増したチョウサンタイガー、1600mで8戦連対10割インターセフォー。「見ること」に徹したいレースだが、あえて馬券というなら、◎→○→▲の3連単か。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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