香港と日本はコースコンディションが似ている
先週8日に行われた香港国際競走。4つのG1のうち、ヴァーズ、マイル、カップの3レースを日本馬が制しました。これは2001年以来の“快挙”だそうです。
ジャパンCで外国馬がしばらく優勝から遠ざかっているのと同じように、香港国際競走でも地元香港馬と日本からの遠征馬以外はほとんど勝っていないような気がします。印象だけで言うのは正確さに欠けるので、念のために調べてみました。
まずはスプリント。これはもうみなさんもご存知でしょうが、1999年の創設以来、香港と日本以外の“外国勢”が勝ったのは、00、01年のファルヴェロン(オーストラリア)と10年のジェイジェイザジェットプレーン(南アフリカ)だけです。あとは日本2勝で香港が16勝。これぞまさに地元馬の独壇場となっています。
次にマイル。ここも、05年以降は香港12勝+日本3勝で、“外国勢”が勝ったのは04年のファイアーブレイク(UAE)が最後です。
4レースの中で欧州勢の活躍が最も目立つのはヴァーズですが、それにも変化が見られます。1994年の第1回から2012年の第19回までは、フランス馬が9勝、イギリス馬が7勝していました。しかし、2013年以降の7回では香港馬と日本馬がそれぞれ2勝を挙げています。
そしてカップ。1988年の第1回から、イギリスのスノーフェアリーが勝った2010年の第24回までの間に、日本馬は3勝、香港馬は1勝しかできませんでした。ところが、2011年以降の9年間では香港6勝、日本3勝で、“外国馬”の優勝は途絶えています。
香港+日本の馬がこれだけの好成績を残しているのは、それぞれの馬のレベルアップがあるからこそのことでしょう。それと、日本と香港(シャティン競馬場)のコースコンディションがわりとよく似ていて、“ヨーロッパ的”ではないという事情もあると思います。
ということは、ちょっと乱暴な言い方をすれば、香港国際競走も“ジャパンC化”しているのではありませんか?
話は飛びますが、今年はジャパンC創設以来初めて外国馬が1頭も参戦せず、そのあり方について改めて考えさせられることになりました。JRAでは検疫態勢を見直し、外国馬が来日しやすい環境を整えるとしています。
そのほか、われらが『ウイニング競馬』の大久保洋吉先生のように、「日本の(超高速)馬場が外国馬の参戦を躊躇させているなら、それをグローバルスタンダード化せよ」と提言される方もいらっしゃいます。
そこで私は、逆にとんでもないプランを思いつきました。JRAと香港ジョッキークラブが共同出資して、フランスに東京かシャティンのような芝コースを擁する競馬場を作り、そこでヨーロッパの馬の馬場適性を見極めるレースを開催するんです。既存の競馬場の馬場を作り替えるだけなら、巨額の経費をかけなくてすむかもしれませんよ。