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前進・グラッブユアハート

  • 2005年12月19日(月) 23時50分
 12月15日、船橋「クイーン賞」。グラッブユアハートがケタ外れの強さをみせた。2着に大差(10馬身)。1800m・1分54秒7、深い馬場にせよ相手がいかにも走らなかったが、逆にいえばグラッブだけが、重苦しい砂を断然のパワーで克服している。良血馬いよいよ旬…が公平な見方だろう。道中外4番手から持ったままのひとまくり。これだけ走られると、現在牝馬G路線にはライバルらしきものが見当たらない。

クイーン賞(サラ3歳上牝馬 別定 交流GIII 1800m 良)

◎(1)グラッブユアハート (55・安藤勝) 1分54秒7
○(2)クインオブクイン  (53・濱口)  大差
▲(3)スルーレート    (53・吉田豊) ハナ
 (4)スターリーヘヴン  (54・K.デザーモ) クビ
△(5)カッサンドーラ   (54・早田)  1.1/2
 ……………………
△(7)アイチャンルック  (54・真島)
△(11)レマーズガール   (56・的場文)

単160円 馬複1,530円 馬単2,240円 
3連複2,180円 3連単9,890円

 グラッブユアハートは、3歳秋からダート牝馬G参入、長くその副将格に甘んじてきた。先駆者レマーズガール、後進トーセンジョウオー、板ばさみのような格好で、どこかパンチ不足のキャラクター。しかし前走金沢・白山大賞典を快勝、一気に突破口を開いている。当時下したハードクリスタル、スターキングマンは、牡馬バリバリのGI級。鞍上の手応え、自信も一転したと推測する。470kg台に落ち着き、完成、円熟を感じさせる好馬体。勢いをかって今後どう昇りつめるか。個人的には牝馬Gにこだわってほしくない。牡馬と渡り合ってはじめて“女傑”だ。

 混戦の2着争い。外強襲クインオブクインが最後の最後、ハナ差届いた。東海ではレイナワルツ(JBCクラシック3着)に次ぐNo.2。400kgを割る3歳馬ながら、勝負根性が売りの実戦派といえるだろう。JRAスルーレートは、初コースに戸惑ったかひと息流れに乗れなかった。本来逃げ、先行タイプ。直線伸びて3着なら地力上位は認めたい。スターリーへヴンは初ダートを自然流の先行策。直線も大バテせず、思惑通り新境地は開けたか。アイチャンルックは道中中団から失速し、依然難しい馬としか表現できない。レマーズガールはパドックから気配が冴えず、好位からジリ下がり。最後大きく遅れて入線した。故障がないか気がかり。使える状態ではなかったようにも正直思う。

       ☆       ☆       ☆

全日本2歳優駿(12月21日川崎 サラ2歳 定量 交流GI 1600m)

◎グレイスティアラ  (54・田中勝)
○モエレソーブラッズ (55・五十嵐冬)
▲エイシンダンベリー (55・福永)
△エイティジャガー  (55・石崎隆)
△タガノエクリプス  (55・武豊)
△キングトルネード  (55・酒井) 
△ジェネスサイレンス (55・左海)
 アテスト      (55・小林俊)
 フィールドカイザー (55・四位)

 JRA対北海道組の戦いになりそうだ。ホスト・南関東は出走馬わずか3頭、それも生え抜きのオープンはキングトルネードだけだから何とも寂しい。ハイセイコー記念ワンツー、アタゴハヤブサ、グッドストーンは来春からの始動を決め、そうなると、2歳馬全体の低レベル、層の薄さが浮き彫りにされてしまう。ただ、レース体系などを総論的にいうなら、「2歳優駿」自体、南関東馬にとって位置づけの難しさがあるかもしれない。例えばアタゴハヤブサ、グッドストーン、ここでJRA相手にはっきり勝算があればともかく、厳しいと判断すれば、視界はやはり明けて来春大井、羽田盃→東京ダービーへと向かっていく。川崎1600mはあくまで単発、2歳チャンピオン決定戦。先につながるものが正直薄く、有力馬の回避も一概には責められない。生え抜き馬の増強とレベルアップ。言うは易く…が、今の南関東、残念ながら現実ではある。

 グレイスティアラは、前々走門別「エーデルワイス賞」の勝ちっぷりが素晴らしかった。道中中団のイン、砂をかぶりながらまったくひるまず、直線余裕十分に抜け出している。フジキセキ×ノーザンテースト、いかにもそれらしいガッツとセンス。初コース、距離延長は気にならない。牡馬の大物不在の今年なら、完成度を含めGI制覇の資格がある。

 北海道モエレソーブラッズは、前走園田・兵庫ジュニアグランプリを一気のまくりで勝ち切った。白老ファーム生産、父サンデーサイレンス。元より期待値が相当高く、キャリアを重ねつつレースぶりにも切れが出ている。川崎へ入厩して意欲的な調整。牡馬の成長力を買えばこちらだろう。エイティジャガーも道営5勝、前走門別・2歳優駿を制したが、当時勝ち馬降着の繰り上がり。かなり使い込まれているだけに、素質、上昇度となるとひと息見劣る。JRAエイシンダンベリー、タガノエクリプスもダート2勝馬で、ここがひとつ試金石。小回り、深い砂にフィーリングが合うかどうかが明暗を分ける。南関キングトルネードはハイセイコー記念3着馬。楽観できない情勢だが、レベルを確かめる意味でも善戦を期待したい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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