▲「2年半近く開催がないのはかなり寂しい」京都競馬場の思い出を語る松山騎手 (撮影:桂伸也)
京都競馬場開設100周年を迎える2025年の記念事業の一環として、今開催を最後に2024年3月までの大規模改修に入る京都競馬場。そこで、現在の京都競馬場の思い出を3名のジョッキーたちにお聞きします。
最初に登場するのは、今週末の秋華賞で牝馬三冠に挑む松山弘平騎手。松山騎手にとって京都競馬場は、「一番好きといってもいいくらいの競馬場」だそう。松山騎手が京都競馬場の魅力と、秋華賞への強い思いを語ります。
(取材・文=不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で行いました。
京都では文句なしのNo.1穴男!
──今年は京都金杯(サウンドキアラ)を皮切りに、東海S(エアアルマス)、きさらぎ賞(コルテジア)、京都牝馬S(サウンドキアラ)と、立て続けに京都の重賞を4勝。最内からも大外からも、見事な立ち回りでパートナーを勝利に導いた印象ですが、松山騎手ご自身は、京都競馬場にどんなイメージを持っていますか?
松山 京都競馬場は、一番好きといってもいいくらいの競馬場です。内回りと外回りがあること、コースの途中に坂があることなど、特殊な感じで面白いですよね。紛れのあるコースだと僕は思っているので、ライバルたちの意表を突くような戦略を立てるのも面白いです。
──その戦略がハマっている証拠といいますか、過去10年の京都開催で、松山騎手は10番人気以下の穴馬で14勝もされていて、この勝利数は全ジョッキーのなかでトップ。京都では文句なしのNo.1穴男です。
松山 そうなんですか(笑)。確かに、人気がない馬であっても、紛れを生かして好走させることができるコースという印象はあります。逆に、強い馬が絶対に勝てるコースではないとも言えますが。そのあたりが京都の面白さだと僕は思いますし、僕は好きですね。
──コースレイアウトのどのあたりが戦略のポイントとなりますか?
松山 外回りでいうと、4コーナーは膨れやすいので、内を突くという選択ができますよね。
あとは、3〜4コーナーの下りでスピードに乗れて、直線は平坦なので、大逃げが決まりやすいというイメージがあります。エリザベス女王杯のクィーンスプマンテ(2009年)や、天皇賞・春のイングランディーレ(2004年)とかビートブラック(2012年・7着ゴールデンハインドと2頭で大逃げ)もそうですよね。
──そういえば、松山騎手が京都で初めて特別を勝ったレースも、大逃げからの逃げ切りでしたね(2010年11月13日・比叡S・シゲルタック・10番人気1着)。
松山 あ、そうでしたね。
▲比叡Sを大逃げで勝ったシゲルタック (C)netkeiba.com
──松山騎手が面白いと感じるポイントは、言い換えれば京都ならではの難しさでもありますか?
松山 ん〜、どう答えたらいいのか……。僕、京都コースを難しいと思ったことがあまりないんです。