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腕と闘魂・的場文男

  • 2006年01月16日(月) 23時50分
 1月11日「船橋記念」。6番人気の伏兵コアレスタイムが接戦をモノにした。今年から1800→1000mに条件変更。スプリント戦らしく激しい先行争いとなったが、同馬は好枠(1番)を利し、自然流の4番手。道中まったくロスのないレース運びで、しかも直線あと1ハロン、1頭分ぽっかり開いた内ラチ沿いを見逃さない。渾身の右ステッキ。中グローリーウイナー、外カセギガシラ、きわどく抜け出したところがゴールだった。

 100%完全燃焼。乾燥しきった重い馬場としても59秒8(レコード=58秒6)だから、レベルは正直低いだろう。デキの良さ、鞍上の腕とガッツ。勝因はこの2つにほぼ尽きる。

船橋記念(サラ4歳以上 別定 南関東G3 1000m)

○(1)コアレスタイム    (54・的場文)   59秒8
▲(2)カセギガシラ     (58・鈴木啓)    ハナ
△(3)グローリーウイナー  (54・石崎隆)    アタマ
 (4)ノーススポット    (52・左海)      3
 (5)メンタルシャウト   (54・内田利)     2
 ………………………
◎(6)ベルモントファラオ  (56・石崎駿)
△(9)プリンシパルリバー  (58・張田)
 エコルプレイス      (58・内田博)  出走取消

単1,040円  馬複4,040円  馬単12,530円  
3連複3,140円  3連単35,590円

 コアレスタイムは、JRA・3勝の転入馬。船橋トレード後8戦目、初勝利がいきなり重賞という結果になった。ただしそのJRA・3勝、うち2勝が1200m。快速馬のイメージは乏しいものの、さすがに父ワカオライデン、短距離で切れる、サバイバルに強い、そういうタイプと推測できる。

 「道中は馬なりで進み、最後開いたところを突くイメージ」(的場文騎手)。見事にハマった。いいリズムをつかみ、次走は東京シティ盃(大井=3月1日)と明言されたが、自身8歳がやはり現実。相手強化、ハードルが高くなると苦しいかもしれない。

 カセギガシラは、逆に千載一遇のチャンスを逃がした。中団追走から直線外めを一気の伸び。脚いろは、はっきり勝ち馬をしのいでいる。依然重賞未勝利。馬自身はスピードがあり競馬センスも非凡だが、勝負強さと運がない。引き揚げてきたカンカン場、じっと掲示板を見つめていた鈴木啓之騎手(長い写真判定)。58kgをうまく乗っただけに、この悔しさはよくわかる。

 グローリーウイナーは、バテたベルモントファラオをかわし直線先頭。理想的な流れとみえたが、結局追って伸びる馬でもないのだろう。筋肉の盛り上がった短距離体形。こちらも今日は運がなかった。

 ◎ベルモントファラオ。実は前走(勝島賞オープン5着)後、軽い脚部不安が出て、稽古を2〜3日休ませたというインサイド情報があった。前回それに触れていれば…と反省する。

 エコルプレイス取り消し(左前挫石)、繰り上がり予想は幸い“タテ目”で的中したが、もちろんこういうケース、胸を張れることでもない。現実にベルモントファラオは、パドックから馬体、気配とも何やら冴えず、いかにも急仕上げというムードだった。同馬が完全燃焼なら、勝ちタイムもレコードに近かったか。新生「船橋記念」。記者予想も含め、ほろ苦いスタートが実感である。

       ☆       ☆       ☆

TCK女王盃(1月18日大井 サラ4歳上牝馬 別定 交流GIII 1800m)

◎グラッブユアハート    (56・安藤勝)    
○テンセイフジ       (54・酒井)
▲アイチャンルック     (54・真島)
△コスモマーベラス     (54・柴田善)
△セイエイシェーン     (53・的場文)
△レマーズガール      (58・武豊)
△スターリーヘヴン     (55・柴山)
 サウンドザビーチ     (54・勝浦)  (出走取消)

 今季のグラッブユアハートは、どうやら“女傑”の域まで昇りつめている。クイーン賞大差勝ち。3〜4コーナー持ったままマクりきり、直線余裕残しの独走劇。時計と相手関係、ひとまず無視していうのなら、かつてのファストフレンドとほぼ互角か。

 結果的に、前々走金沢・牡馬相手の完勝が大きなきっかけ。本格化を再認識した鞍上が、自信たっぷりに乗っている。レマーズガールに追いつけず、逆にトーセンジョウオーに迫られていた半年前。競走馬の成長とは、やはり不思議というしかない。元より大井コースも不安なく、力通りの圧勝が期待できる。

 レマーズガールは、今回大きく評価を下げた。クイーン賞、勝ち馬グラッブに何と13秒も遅れた入線。直後はむしろ“故障”の方を心配した。レースを見た方、どなたも同じ印象を持ったと推測する。中1カ月、ガラリ一変があるのかどうか。当時的場文騎手を乗せている。今回再び武豊J鞍上だが、こういう使い方、ステップは、さまざまな意味で感心できない。

 テンセイフジを相手にとった。近況不振だが、関東オークス(交流GIII)、地方馬初の優勝馬で、その前プリンセス賞も圧勝だから、能力の裏付け、コース適性とも十分だろう。休み明け3戦して、そろそろ完調。前走中山芝1800m「ターコイズS」シンガリ負けだが、自身上がりは34秒6。ここで真価発揮をイメージする。

 サウンドザビーチが確定後に出走取り消し(感冒)。関東オークス10着コスモマーベラスは、地方ダートで、やはり割り引きが必要か。それなら、ホームの利でアイチャンルック、鞍上の腕でセイエイシェーン。スターリーヘヴンは、すんなり先行してぎりぎり連下。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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