1月18日、大井「TCK女王盃」。断然人気グラッブユアハートの完勝だった。同馬はイン(2番枠)から好スタート。押し出されるような逃げになり、1000m通過63.1秒のマイペース。直線もほぼ持ったまま、後続につけいる隙を与えなかった。「成り行きでハナを切ったけど、終始馬まかせで手応え十分。着差はともかく、負ける気がしなかった」(安藤勝己騎手)。単勝1.2倍。パフォーマンスとすると物足りないが、反面ムダな力をいっさい使わず、スマートに勝ったということか。明けて6歳ながら、今の充実はひとこと凄い。
TCK女王盃(サラ4歳上牝 別定 交流GIII 1800m)
◎(1)グラッブユアハート (56・安藤勝) 1分53秒8
△(2)レマーズガール (58・武豊) 3/4
○(3)テンセイフジ (54・酒井) 2.1/2
(4)キャニオンドリーム (53・戸崎) 3/4
▲(5)アイチャンルック (54・真島) 3/4
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△(6)セイエイシェーン (53・的場文)
△(9)スターリーへヴン (55・柴山)
△(10)コスモマーベラス (55・柴田善)
単120円 馬複530円 馬単670円
3連複2,470円 3連単5,490円
当日のパドック。グラッブユアハートを改めてじっくり見た。470kg台ながら、印象は相変わらず細身で華奢。周回中の動き、気配も何やらうるさい。記者に見る目がないのか、あるいはそう見せるタイプなのか。それでもレースの結果を突きつけられれば、内面が変わった、そうとしか言いようがないだろう。いざゲートが開いて、素晴らしい集中力と闘争心。ピーク時のプリエミネンスとイメージは似ている。
交流牝馬重賞3勝目。次走は2月22日川崎「エンプレス杯」と明言され、さらに4月船橋「マリーンC」を勝てば、牝馬5冠達成ということらしい。体調維持を前提とすると軽いハードル。ただ、個人的にはその牝馬5冠、さして意味があるとも思えない。例えばホクトベガの時代には、交流牝馬重賞自体エンプレス杯以外存在せず、いきおい彼女は、牡馬路線に挑戦せざるをえなかった。結果、川崎記念、フェブラリーS、帝王賞までも制して女傑誕生。難しい。番組がそうある以上、さまざまな意味で難しいが、グラッブ自身、そんな“挑戦”があっていいとも思う。「牝馬路線」にこだわる姿勢(というよりこだわらせる番組か)は、ファンの感動をおそらく呼ばない。
レマーズガールは、グラッブに2kg与えて3/4馬身差2着だから悪くない。「気分屋さんの面はあるけど今日はよく走ってくれた。大井コースが雰囲気に合うのかな…」(武豊騎手)。ただ、前走船橋クイーン賞では上位人気に推されながら、何と13秒差のシンガリだった(上がり51.5秒)。同馬の力量はともかく、調整とステップ。揺れ動くファン心理も含め、けっしてほめられた使い方ではないだろう。
テンセイフジは道中スロー、外々回って3着なら合格点がつく。あとは成長力の問題。馬体など、小さくまとまってしまった懸念も正直ある。
キャニオンドリームは昇り馬らしい善戦で、アイチャンルック、セイエイシェーンも展開からは精いっぱいか。
スターリーヘヴンは2番手から自然消滅。コスモマーベラスほど極端ではないとしても、本質的に芝の方が合いそうだ。
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川崎記念(1月25日 サラ4歳上 定量 交流GI 2100m)
◎アジュディミツオー (57・内田博)
○シーキングザダイヤ (57・ペリエ)
▲タイムパラドックス (57・武豊)
△サカラート (57・後藤)
△ウツミジョーダン (57・石崎隆)
△チョウサンタイガー (57・酒井)
ノボトゥルー (57・ルメール)
ニューシーストリー (57・永島)
アジュディミツオーの東京大賞典連覇は、まさしく偉業といっていい。交流に変わって以来11年、初の快挙。2000m2分03秒1、馬場を考えれば一昨年と同等、あるいはそれ以上の価値があり、主導権をとって押し切る、圧倒的なレースぶりも同様だった。2000m前後の中距離で自分の競馬ができれば、やはり“怪物級”の強さがあること。そして今回何より有利なのは、同馬にとり、しばしばうっとうしい存在となっていたナイキアディライト、ユートピアの回避だろう。ごく普通のスタートで自然流の先行策。まず負ける材料はないと思う。川崎は初コースだが、左回りは地元船橋3勝。そもそもドバイWCでも見せ場を作った。
シーキングザダイヤ、タイムパラドックスは、大賞典をみる限り、ほぼ互角の力関係になっている。昨年は前者が優勝した後者とクビ差。勢いでシーキングをとったが、今回横山典Jが乗れないのは、同馬にとってかなり痛い。◎→○→▲の3連単、さてどのくらいのオッズになるか。記者自身は8〜10倍あれば、ひとまず1点で買ってみる。
サカラートは、なるほど日本テレビ盃をミツオーに楽勝だが、続く前2走、正直別馬のように覇気がなかった。
ウツミジョーダンは昨年3着ながら、先着2頭と決定的な4馬身差。今季酷似したステップで昇り目は感じられない。