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種牡馬展示会―イーストスタッド・社台スタリオン編―

  • 2021年02月11日(木) 18時00分

根強い社台ブランドへの信頼 既に11頭が満口に


 2月8日(月)より4日間連続での開催となった今年の種牡馬展示会。まず8日(月)は、浦河のイーストスタッドであった。今年のイーストスタッドは、新種牡馬が5頭、さらに新入厩馬3頭の計8頭が新たに加わり、全26頭の陣容でスタートである。

 新種牡馬はオーヴァルエース、キタノコマンドール、サングラス、スマートオーディン、ハッピースプリントの5頭。さらにエイシンヒカリ、スピルバーグ、リッチーリッチーがそれぞれここに移動してきた。
生産地便り

3戦3勝で引退となったオーヴァルエース


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ディープインパクト産駒のキタノコマンドール


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スタチューオブリバティの後継種牡馬サングラス


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京都新聞杯など重賞4勝の実績を持つスマートオーディン


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2013年・2015年と2度NAR年度代表馬に輝いたハッピースプリント


 後で改めて触れるつもりだが、生産地では、平成になってから急速に種馬場の整理統合が進み、現在、日高では、ここイーストスタッドの他、新ひだか町静内にJBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッドの3か所、さらに新冠に優駿スタリオン、ビッグレッドファーム、日高町にブリーダーズスタリオン、ダーレー、そして安平町の社台スタリオンと、主要種馬場がこの9か所に集約されているため、新たに種牡馬入りする馬にとっては繋養先を確保することが徐々に難しくなっている、とも言われる。

 イーストスタッドの展示会が開催された8日は、曇り空の肌寒い日であったが、上記5頭の新種牡馬を始め、3頭の新入厩馬、さらにダンカーク、マジェスティックウォリアーなども元気な姿を披露した。トリを飾ったのは、前日の東京新聞杯を制したカラテの父トゥザグローリー。数少ない産駒の中から重賞馬を輩出したこと、しかも種付け料も安く(出生後30万円)、配合さえ合えばこうして活躍する産駒を生み出せることを改めて証明した好例と言えるだろう。

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先日、産駒のカラテが重賞制覇を飾ったトゥザグローリー


 翌9日(火)は、社台スタリオン展示会であった。新型コロナ感染拡大に伴い、今年は、午前午後と二部に分割しての展示会で、マスク着用、検温を実施し、さらに毎年恒例の飲食サービスを取り止めて、入場者のチェックを一段と厳しくして(毎年少なくない数の一般ファンが紛れ込んでいた)生産者や取材陣、関係者のみに限定する厳戒態勢であった。

 社台スタリオンの新種牡馬は、シスキン、ナダル、アドマイヤマーズ、ルヴァンスレーヴ、サートゥルナーリアの5頭。これらを含む全28頭がお披露目され、最後に登場したのはロードカナロアであった。

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愛2000ギニーを無傷5連勝で制したシスキン


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アーカンソーダービーを無敗で制したナダル


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香港マイルを含む重賞4勝のアドマイヤマーズ


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2018年度JRA賞最優秀ダートホースのルヴァンスレーヴ


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GI・2勝の超良血馬サートゥルナーリア


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錚々たる種牡馬たちのなか最後に登場したのはロードカナロア


 新種牡馬のうち展示会を待たずして既にルヴァンスレーヴ、サートゥルナーリアの2頭は「満口」になっている。サートゥルナーリアは2018年ホープフルステークス、2019年皐月賞を制したGI・2勝馬で種付料は受胎確認後600万円ながら、母シーザリオ、半兄エピファネイアという血統の良さも評価され、早々に満口になった。

 さらにルヴァンスレーヴは、中央地方を通じて10戦7勝の実力馬で、ダート路線で無類の強さを見せつけたのは記憶に新しい。そして、近年ダートに強い種牡馬が高く評価される傾向にあること、受胎確認後150万円という手ごろな価格も幸いし、こちらも満口となった。

 社台スタリオン繋養種牡馬28頭のうち、既に11頭が満口となっているあたりに、根強い社台ブランドへの信頼を感じる。この日は、前日よりもいくぶん寒さが緩み、風もなく、この時期としてはひじょうに恵まれた気候であった。といっても、日中は気温がプラスにはならない「真冬日」ではあったのだが。

 ここまでで4日間連続開催のうち、半分が終了したことになる。次回は後半の静内地区3場と新冠地区2場について触れたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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