2月1日、大井「金盃」。明け4歳メイプルエイトが好位から力強く抜け出し、念願の初タイトルを獲得した。道中外めの4番手をスムーズに進み、直線追い出すタイミングもドンピシャリ。終わってみれば昨春クラシックすべて2着、底力が一枚違うという結果になった。盛岡「ダービーグランプリ」を直前取り消し(左腕関節炎)。復帰2戦、いかにもリズムが悪いかに見えたが、故障を引きずることもなく、3戦目で見事な復活。心身ともきわめてタフで逞しい。
金盃(サラ4歳上 ハンデ 南関東G2 2000m 不良)
△(1)メイプルエイト (55.5・張田) 2分04秒8
◎(2)ルースリンド (53・佐藤隆) 3/4
▲(3)ベルモントストーム (55.5・石崎駿) 1.1/2
△(4)トウケイファイヤー (55・内田博) 2
(5)コアレスハンター (57・安藤光) クビ
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(7)インターセフォー (53・石崎隆)
△(8)クールアイバー (55・森下)
○(9)ボンネビルレコード (55.5・的場文)
単620円 馬複2,420円 馬単4,700円
3連複5,100円 3連単29,550円
「まだ100%とはいえなかったが、頑張りのきく馬ですね。それと右回りの大井は走りが違う(岡林調教師)」。父カコイーシーズの大型馬。手脚が長く大跳びで、タイプはエスプリシーズに近いだろう。2000m・2分04秒8。交流重賞レベルにもそう遠くない時計で、今後は帝王賞を最終目標に、大井中心のローテーションか。ただ明言された次走「東京シティ盃(3月1日・1400m)」は、やや忙しいようにも思う。
ルースリンドは、道中中団のインで理想的なレースぶり。結果3/4馬身届かなかったが、重賞初挑戦を考えれば完全燃焼でいいだろう。「メドは立った。ただ小差だったから、よけい落鉄(スタート直後か)が悔しいね(佐藤隆騎手)」。それでもJRA未勝利馬が、トレード後およそ1年半でここまで出世を果たした事実。スタッフ(船橋・矢野厩舎)の努力と手腕。“レベル差”だけの話には、やはりしてほしくない。
ベルモントストームの3着は、初コンビ石崎駿騎手が経済コースをソツなく乗り、力通りの結果とみえる。大きな成長はないにせよ、順調さを取り戻しようやく体質がしっかりしてきた。1番人気ボンネビルレコードはよもやの9着。スタートで内外に接触したダメージが大きかったか、最後まで闘志に火がつかなかった。いったん追いつき追い越しかかったメイプルエイトとの力関係も、これであえなく再逆転。力走続きの反動か、あるいは道悪が響いたか。父アサティス。多分に気ムラな面もあるのだろう。逃げて目いっぱいの競馬をしたトウケイファイヤーは、どうやらマイラーの評価が妥当。同様に2番手から失速インターセフォーも距離が合わない。
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翌2日、サラ3歳準重賞「雲取賞」が行なわれ、3番人気キングトルネード(川崎・八木仁厩舎)が一気の逃げで圧勝した。中団から直線伸びたソリッドマーカーが2着。3着にカネショウアトラス。ハイセイコー記念を含む5戦5勝、単オッズ1.4倍のアタゴハヤブサは、6着と大きく崩れた。
雲取賞(サラ3歳 別定 準重賞 1600m 重)
○(1)キングトルネード (56・酒井) 1分41秒1
△(2)ソリッドマーカー (54・内田博) 4
▲(3)カネショウアトラス (54・坂井) 1
△(4)カネショウマリノス (55・今野) 3
(5)キャプテンシーオー (54・石崎駿) アタマ
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◎(6)アタゴハヤブサ (57・的場文)
単640円 馬複2,890円 馬単6,870円
3連複3,250円 3連単29,280円
キングトルネードは、デビューから実質4連勝(新馬戦1着降着)をあげた後、鎌倉記念4着、ハイセイコー記念3着、全日本2歳優駿4着と、ひと息足踏みが続いていた。イレ込みがきついこと、砂をかぶってひるむこと。しかしこの日はパドックから落ち着きがあり、スタートもぴたり決まった。「メンバーと枠順(3番)をみて、思い切って行ってみた。もともと能力はありますからね(酒井忍騎手)」。馬自身の成長、鞍上の転機、見事に噛み合った結果といえる。1600m・1分41秒1も悪くない。この走りができれば、次走「京浜盃」(3月21日・1700m)、続くクラシックでももちろん有力。それにしても父カコイーシーズは、地方ダート、とりわけ南関東競馬の適性が驚異的だ。
ソリッドマーカーは北海道3勝、南関転入の前走も完勝だからここで2着は驚けない。グランドオペラ産駒。今後距離延長でさらによさが出てくるだろう。カネショウアトラスはデビューから2戦2勝、今回初めて厳しい競馬。積極策で3着なら文句なく次につながる。問題のアタゴハヤブサ。スタートから終始モタモタした行きっぷり、3〜4コーナー、的場文騎手の“檄”にも、まったく反応をみせなかった。グッドストーンを横綱相撲で退けたハイセイコー記念など、けっして買いかぶりとは思わないが、気持ちの面でまだまだ子供ということか。今開催、5日間6勝、いつものペースで勝ち星を重ねた的場文騎手。しかし、肝心のところで馬が動いてくれなかった。まあこんな日もある。