2月8日、浦和競馬。桜花賞トライアル「ユングフラウ賞」が行なわれ、3番人気、モナ(船橋・岡林厩舎)が勝った。逃げたエスプリメガミの3番手をすんなり進み、直線を向いて早めに先頭。時計以上、着差以上にセンスのよさが光っていた。「まだ(デキが)100%とはいえないけれど、いい勝ち方ができました」(張田騎手)。同馬は昨秋11月の新馬戦を5馬身差圧勝、以後、特別戦、3、2着と足踏みしたが、経験を積んでステップアップ。フジキセキ×リアルシャダイ、当日480kgの好馬体。心身とも一戦ごとの充実で、何より学習能力が高いタイプとイメージできる。
ユングフラウ賞(サラ3歳牝馬 別定 準重賞 1400m 稍重)
(1)モナ (53・張田) 1分28秒1
(2)グリーンベイ (53・佐藤隆) 1.1/2
(3)エスプリメガ (53・山田信) クビ
(4)チャームアスリープ (53・森下) クビ
(5)オリビアフォンテン (54・石崎隆) 1/2
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(6)アーペレーヌ (54・町田)
(7)ファッションハート (53・石崎駿)
単410円 馬複510円 馬単1,250円
3連複2,300円 3連単11,980円
とはいえ、本番へ向けまだまだ混沌の勢力図。むしろ今日の結果で混戦に拍車がかかったかもしれない。昨年暮れの「2歳優駿牝馬」を制したダガーズアラベスクが、京浜盃→羽田盃→東京ダービー、牡馬クラシック参戦をすでに明言。
この日2着グリーンベイは、同じダーレー軍団、川島正行厩舎・準エース。こちらに牝馬路線を託そうという陣営の戦略がはっきりみえた。距離1600m、それも良馬場ならパワーの点で間違いなくモナを凌ぐ。そしてアーペレーヌ。今回こそササ針明け、渋った馬場の1400mに苦しんだが、優駿牝馬2着はゴール際ダガーズをヒヤリとさせる、凄み十分の末脚だった。
もう1頭、同日、牡馬混合のオープン「フレッシュフェブラリー特別」が行なわれ、道営3戦3勝、パフィオペディラムが船橋転入で再スタート。結果は4着だが、あえて勝ちに行かず砂をかぶらせ、反応、感触を確かめるような競馬をした。潜在能力からは一変もあるだろう。ともあれ今年は開催日程の関係で、本番(4月26日)へ2か月半の猶予(ブランク)がある。トライアルというならやはり次開催(3月上旬)に組むのが妥当と思う。
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報知グランプリカップ(2月15日船橋 サラ4歳上 別定 南関東G3 1800m)
◎ナイキアディライト (58・石崎隆)
○チョウサンタイガー (56・酒井)
▲ジーナフォンテン (55・佐藤隆)
△ベルモントソレイユ (56・安藤光)
△マクロプロトン (54・内田博)
△マキノヒリュウ (54・町田)
△プリンシパルリバー (56・左海)
ナイキアディライトで負けられないレースになった。思わぬゲート難をみせた昨秋名古屋JBC。しかし今回6F76秒台の追い切りなど、それを引きずった感はなく、走り慣れた地元、しかも単騎逃げが約束されたメンバーなら、一転雪辱が期待できる。帝王賞、JDダービー、かしわ記念、GI実績はやはり別格。船橋1800mは、日本テレビ盃を一昨年、昨年と1、2着。ともにアジュディミツオーを完封している。
チョウサンタイガーは前走川崎記念5着。ただの健闘ではなく、直線インから一瞬あわやの伸びをみせた。一人旅のアディライト逆転までは難しいが、ソコソコ肉薄があってもいい。ジーナフォンテンは久々ながら昨年このレース勝ち馬で、前走TCKディスタフ快勝からも瞬発力に翳りはない。マクロプロトンは内田博騎手で人気になっても、近況の内容など、勢いが戻ったと言い切れまい。距離万能、意外なところでしぶとさを示すベルモントソレイユが穴。
なお、出走予定だったシーチャリオット。最終追い切りまで済ませたものの、直前故障(右前骨りゅう)で回避した。うまくいかない。血の通った競走馬は、一度歯車が狂うと容易に事態が好転しない。軽症であることを願うばかりだ。
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2月19日、東京「フェブラリーステークス」。アジュディミツオーが再び“アウェー”に挑戦する。東京大賞典連覇、明けて川崎記念も制しGI・3勝。ミツオーは好きな馬、そして心底素晴らしい馬と感服するが、記者は昔からの夢を引きずり、やはりアウェーの今度が正念場、ここで好勝負を演じてこそ正真正銘、本物と思ってしまう。例えばトーシンブリザード。引き際が結果遅れ、最後イメージダウンが無念だが、00年フェブラリーS、アグネスデジタルの2着と迫った末脚など、当時府中で観戦した記者の心臓を、しばしバクバク状態にさせた。「地方の競馬だから勝てるんだよ」、JRAファンにそう言わせないパフォーマンス。まあしかしミツオーの場合、ブリザードと較べ脚質的にも悲壮感はないだろう。力いっぱいの先行で後続の追撃をどう凌ぐか。できれば内枠がほしい。とにかく迷いのない、悔いのない競馬を期待する。
◎サンライズバッカス
○ヴァーミリアン
▲アジュディミツオー
△カネヒキリ
△リミットレスビッド
△シーキングザダイヤ
△ブルーコンコルド
テリトリー外ながら予想を書かせていただいた。サンライズバッカスは、前走根岸Sで明らかに脚を余して負けている。距離1600m、厳しい流れのサバイバルに最もイメージが合うと思う。カネヒキリは確かに強いが、近況ゲート難も含め絶対ではないだろう。ともあれ、現在日本ダート界、なぜそれまでにというくらい、顔ぶれが充実している。上にあげなかった馬、タガノゲルニカ、タイキエニグマ、むろんメイショウボーラー、サカラート、タイムパラドックス…。
不穏な仮定で恐縮だが、仮に春の天皇賞、ディープインパクトに不幸な事態が発生すれば(故障回避など)、はたしてGIと胸を張れるだけの呼び物、売り物になるのかどうか。10年前、いや4〜5年前と比べても、この逆転現象は隔世の感がある。