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シンデレラガール誕生

  • 2006年02月27日(月) 23時49分
 2月22日、川崎「エンプレス杯」。8番人気ローレルアンジュが大金星をあげた。内からライラプス(1番枠)が先手を主張、以下ジェダイト、レイナワルツと続き、グラッブユアハート、レマーズガールは中団やや後ろという微妙な展開。的場文・ローレルは3コーナー手前、外から一気にまくって出た。「(有力馬と)ヨーイドンの競馬では分が悪い。いいタイミングで動けました。仕上がりもよかったし、何より思った以上に力がある」(的場文騎手)。ローレルアンジュはJRA時ダート5勝ながら準オープンで底を打ち、しかし転じた南関東2連勝。いずれにせよいきなり交流GII制覇だから、やはりシンデレラガールというしかない。「牝馬戦は格より調子――」。ゴールの瞬間、古い競馬格言がそのまま浮かんだ。言い換えれば、馬の持つ潜在能力、上昇度、それを100%引き出した、スタッフと鞍上の勝利だろう。

エンプレス杯(サラ4歳上牝 別定 交流GII 2100m 重)

 (1)ローレルアンジュ  (55・的場文) 2分15秒0
△(2)レマーズガール   (56・武豊)  1/2
△(3)レイナワルツ    (55・兒島) アタマ
◎(4)グラッブユアハート (55・安藤勝) 1.1/2
▲(5)ジーナフォンテン  (56・佐藤隆) 2
 ………………………
○(6)テンセイフジ    (54・酒井)
△(11)ジェダイト     (54・内田博)
 (12)ライラプス     (54・松永幹)

単8,310円 馬複13,240円 馬単40,680円
3連複40,120円 3連単387,660円

 ローレルアンジュは、パドックで馬が少し硬くみえた。筋肉質の馬体、ルックス自体はいいのだが、歩様がどこか窮屈で、のびやかさ、しなやかさが感じられない。短〜マイラーのイメージ。まあしかし結果が出てしまえば、筆者の素人目というしかない。「鞍上の判断が一番の勝因。ただ心肺機能がいい馬で、楽しみにはしていました」(新井調教師)。実績、外見はともかく、馬の中身が変わった、そういう結果。パイオニア・川島正行厩舎だけではない。船橋競馬スタッフは、相当の腕と情熱をもって馬にあたる。

 グラッブユアハートの完敗。中団追走は流れに応じた策としても、3コーナー始動から直線さっぱり伸びなかった。「わからない。いい脚一瞬という昔のグラッブに戻ってしまった」(安藤勝騎手)。交流GIII連勝、その反動ということか。ただ筆者などの立場からすると、こういうコメントは、正直であり救いになる。「馬に聞いてみたい…」が、結局は競馬の常か。逆に彼女の凡走ゆえ、シンデレラガールも出るわけだから。次走は4月「マリーンカップ(船橋)」になりそうだが、その評価は今から頭を抱えてしまう。

 2分15秒0。極端に軽い馬場でレコードに遠く及ばない(川崎記念・アジュディミツオー2分12秒8)とすれば、それが牝馬レベルだろう。毎回繰り返すが、レマーズガールはあくまで限定路線の強者でしかない。今回56kgで道中特に不利もなく、実力通りの2着とみる。むしろレイナワルツが惜しかった。勝ち馬より一歩早めに仕掛けて先頭。しかしJBC同様、外2頭に一気にこられた。このレベルまで上がると、善戦、健闘ではなく、最終的に結果を出したい。「これが地元(名古屋)なら勝てていたか…」(兒島騎手)。交流Gで勝機を探せば、「浦和記念」などが候補にあがる。馬自身そこまでピークを維持できるか。総合的な能力は先着2頭に見劣らない。

 テンセイフジはスローを動けず、最後差を詰めるだけの6着だった。酒井Jが同馬をどうつかんでいるのか難しい。関東オークスはまくって圧勝(当時・石崎駿J)。筆者としてはペースが緩んだ向正面あたりから積極的に動いてほしかった。ジーナフォンテンは逆にスタートからカカリ気味で持ち味半減。牝馬特有の気性難を抱え、依然常識にかからない。ライラプス、ジェダイトは、ダート疑問でいいだろう。ライラプス・松永幹Jは、周知の通りこの3月から調教師へ転進する。「(川崎では)もう乗れませんが、いい思い出がいっぱいあります…」。レギュラーメンバー、カネツフルーヴで「川崎記念」を勝っている。後者はローレルアンジュと同じ父・パラダイスクリークだから、不思議な因縁、巡り合わせがあるかもしれない。

       ☆       ☆       ☆

東京シティ盃(3月1日大井 サラ4歳上 別定 南関東G3 1400m)

◎ベルモントストーム (58・石崎駿)
○メイプルエイト   (58・左海)
▲インターセフォー  (56・石崎隆)
△ブラウンシャトレー (58・水野)
△ロッキーアピール  (58・今野)
△イブキオネスト   (56・内田博)
△ベルモントファラオ (56・御神本)
 ベルモントソレイユ (58・安藤光)
 クールアイバー   (58・森下)
 コウエイソフィア  (56・戸崎)
 カセギガシラ    (58・鈴木啓)

 ベルモントストームにチャンスが回った。昨秋「京成盃GM」で1年半ぶりの重賞制覇。以後、気持ち長いと思えた2000m「オールスターC」→「金盃」を2、3着に踏ん張っている。ササ針効果もあって体質強化。本来ビュッと切れる短〜マイラーとイメージでき、今回あらゆる角度から好条件がそろった。サバイバルの時計勝負に強く展開不問。コンビ2度目石崎駿騎手が自在に捌くシーンが浮かぶ。

 メイプルエイトは手脚が長く、大跳びの走法。絶対能力は認めても短距離向きと思えない。大井1400m、その適性重視ならインターセフォー、ロッキーアピール。一昨年の覇者ブラウンシャトレーも仕上がりしだいで可能性がある。上昇度でイブキオネスト、一気に逃げてベルモントファラオ。いずれにせよ目移りする顔ぶれで、ここはベルモントストームから流し馬券を推奨する。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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