スマートフォン版へ

【エリザベス女王杯予想】切れよりパワーが問われる舞台設定か

  • 2021年11月13日(土) 19時00分
毎週欠かさず馬場に関する情報を収集し、自身の予想に反映させるというスポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者が、“予想に役立つ馬場情報”をコンセプトに、重賞が開催されるコースについて、当週の降水量・前日のレース結果等を踏まえた主観的意見から、よりライブな馬場状態を解説する。


 京都競馬場の改築のため、エリザベス女王杯は昨年に続き、阪神競馬場で行われる。Aコースの芝で行われるのも昨年と一緒。ただ今年は10月から阪神開催が続き、同じAコースでも芝状況は大きく異なる状況。昨年の女王杯はAコース2週目。今年はAコース使用6週目。その違いは、土曜の傾向にはっきり出ていた。

 振り返ると、昨年土曜に行われたデイリー杯2歳Sは内ラチ沿いを抜けた勝ち馬レッドベルオーブが1分32秒4の2歳コースレコード。2番手から粘った2着ホウオウアマゾンも内を通った組。内寄りの芝の傷みはほとんどなく、かなりの高速決着だった。

 対して、今年の阪神芝は内ラチ沿いの傷みが進んでいる。JRA公式ホームページでも「コース全周に亘り、内側に傷みがあります。特に内回り3コーナーから4コーナーの傷みが顕著です」とのこと。

 土曜の11Rデイリー杯2歳Sを走った各馬の進路取りにも、内が傷んできた影響は出ていた。逃げたプルパレイ(4着)は直線では内に行かず、4頭分ほど空けて走る形。優勝した1番人気セリフォスは4コーナーでは一番外に進路を取り、最後は伸び切った。2着ソネットフレーズのルメール騎手は直線半ばで一瞬、デムーロ騎手(プルパレイ)の外を狙うアクションもあったが、出さずに内3頭分ほどを空けて、2着に食い込んだ。

 ただ、このレースで3着に入ったカワキタレブリー(7番人気)は荒れている内ラチ沿いギリギリを狙って伸びた。そう考えると、明らかに傷んでいる内寄りが全く伸びないわけではないが、ただこれは人気薄だからできた芸当? 上位2頭に迫るシーンはなく、勝ちに行くのに内を通るのは相当覚悟がいる印象。中盤ペースが落ちたこともあるが、セリフォスの勝ち時計は1分35秒1。昨年より2秒7遅く、それだけ時計が掛かり、切れよりパワーが問われる舞台設定といえそう。

 9R・岸和田S(内回り2000m)は後方8番手を進んだ9番人気スカーフェイス(8枠11番)が直線で一番外に出して、大外から一気差し。レース前半5F61秒8〜後半5F59秒3のSペース。普通なら先行馬が残るペースなのに、差し馬が上位を独占したのは「中〜外伸び傾向」になっている証かもしれない。

 昨年のエリザベス女王杯はノームコアの大逃げが誘発したのと、時計が出る馬場も影響して高速決着。最終4コーナーで3番手に押し上げたラッキーライラックが「2分10秒3」の好時計で優勝したが、今年は序盤のペースに関係なく、昨年ほど速い決着にはならないと見ている。先行馬が傷んだ内を走らされると、かなり厳しいのでは? 逃げ、先行勢が勝負所の4コーナーから内を避けるシーンもあるかも。

 個人的には「差し馬優位」の見立て。内が傷んでいる分、中〜外枠の馬たちの不利は軽減されそう。先行候補のレイパパレのルメール騎手がどんなコース取りをするのか? 馬場状況的には、冬場の中山や、夏の北海道の洋芝を得意にするパワー型の馬に注目したい設定だと思う。

スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。04年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、09年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。15年は宝塚記念で3連単52万馬券がヒット。馬券相性は京都、阪神が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング