スマートフォン版へ

確かな前進・ヴァーミリアン

  • 2006年03月20日(月) 23時49分
 3月15日、船橋「ダイオライト記念」。ヴァーミリアンが圧倒的な強さで勝った。1000m通過64秒2の超スロー。カカったタイムパラドックスが1周目スタンド前で先頭をうかがうなど一種不穏な流れだったが、ヴァーミリアンはただ1頭終始スムーズ。パーソナルラッシュ、アルファフォーレス、めまぐるしく位置取りが変わる中、その3番手を堂々悠々と進んでいく。パーソナルに並んだのは直線入口。手応えも勢いもまるで違った。1、2、3…、鞍上は深呼吸しながら追い出した感じにみえる。あっという間の6馬身差。「道中我慢がきくし、GOサインからの反応も期待通り。素晴らしい馬に乗せてもらった。まだまだ強くなりますよ」(内田博幸騎手)。アジュディミツオー(かしわ記念を予定)と差し合っては難しいが、できればこのコンビも続行させたい。「前走が(ハイペースの)フェブラリーSだから折り合いを心配したが、とにかく馬にセンスがある。カネヒキリとは暮れに勝負ということでしょう」(石坂正調教師)。ライバルはすでにドバイWC遠征が決定。だから石坂師のいう“暮れ”とは、はっきりJCダート→東京大賞典を指している。中〜長距離なら互角以上の潜在能力。何よりGII完勝、アドバンテージ(帝王賞などの出走権)を得た点で、今回大きな前進といえるだろう。

ダイオライト記念(サラ4歳上 定量 交流GII 2400m 良)

◎(1)ヴァーミリアン   (55・内田博) 2分34秒9
▲(2)パーソナルラッシュ (56・藤田)  6
△(3)アルファフォーレス (56・岩田)  3/4
○(4)タイムパラドックス (56・武豊)  1
△(5)ルースリンド    (56・佐藤隆) 8

単170円 馬複520円 馬単770円
3連複1,520円 3連単3,730円

 パーソナルラッシュは久々ながら仕上がっていた。混みあう展開を避け、2コーナーから敢然と行ったのも藤田Jの好判断。結果的に相手のレベルが違ったというしかない。それでも昨年ダイオライトしかり、3歳時盛岡ダービーグランプリしかり、左回り中〜長距離は最もフィーリングが合うようだ。タイムパラドックスはピークを過ぎた…云々よりも、船橋コースの走りがよくない。昨年はエンジンが容易にかからず、逆に今年は強烈にカカってしまった。GI・4勝だからもちろん底力はある。ただここまで昇った馬としては意外なほどポカが多い。一見素直な力走派、しかし実は精神面で難しい部分も抱えているか。

 アルファフォーレスは、パーソナルが仕掛けた時点でいったん下げ、直線インから差し返した。岩田Jの好騎乗、馬自身収穫にもなっただろうが、現時点では一線級と能力の壁がある。JRA・4頭に、8馬身離されたルースリンド。抵抗したのは3コーナー手前まで。残念ながら今の実力は、あくまで南関レベルと納得した。経験を積みどう変わるか。いずれにせよ今日は着差が何とも大きい。

       ☆       ☆       ☆

京浜盃(3月21日大井 サラ3歳 別定 南関東G2 1700m)

◎キングトルネード   (55・酒井)
○アタゴハヤブサ    (55・的場文)
▲グッドストーン    (55・石崎駿)
△カネショウアトラス  (55・石崎隆)
△ソリッドマーカー   (55・鈴木啓)
△サワライチバン    (55・内田博)
△マイジュピター    (55・安藤光)

 例年クラシックの登竜門となるべき一戦。過去20年、勝ち馬は、羽田盃12勝、東京ダービー8勝。昨年シーチャリオット、3年前ナイキアディライトと並べても、その重要度がイメージできる。低レベル…が常識的な見方という今季だが、何か1頭、ここで大きく抜け出せないか。JRAフラムドパシオンはドバイダービー挑戦。そこまでのレベルはともかく、1頭、2頭、地方ダート強者らしいパフォーマンスを期待する。

 キングトルネードは、前走雲取賞を4馬身差の圧勝劇。再び軌道に乗ってきた。デビューから実質4連勝(新馬戦・失格)。イレ込み癖、折り合い難、少々足踏みはしたものの、現実に900m・54秒3の時計など、かつてのエスプリシーズとほぼ互角に評価できる。当日輸送(川崎→大井)で、むしろイレ込みが抑えられたという不思議な現実。本来逃げにはこだわらず、好位から差しもきく。父カコイーシーズだから、外コース1700mはむろん減点なしだろう。現時点では同馬にクラシック最有力の想いがある。

 アタゴハヤブサは前走の負け方が腑に落ちず、結局、気性面で完成度が低いと判断した。そうなるとグッドストーンが互角。前走JRA挑戦(ヒヤシンスS、10着)を、いい経験にできるかどうか。平和賞まで5戦5勝はそれなりの内容で、とりわけ大井「ゴールドJ」の勝ちっぷりに右回り適性が感じとれる。カネショウアトラス、ソリッドマーカーもまだ底が割れておらず、1700mをどう走るか興味が大きい。前走しらさぎ賞(浦和)勝ちサワライチバンは、舞台が変わって試金石。それでも内田博Jを配した以上、さらに新味を出す可能性がある。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング