約30年前からのファンという方から、「ボーブランメル、タマビッグホープとの思い出を教えてください」というメッセージが届きました。タマビッグホープでの勝利といえば、ワールドスーパージョッキーズシリーズが舞台でしたが、その舞台裏では、JRAのある若手騎手が懇切丁寧にアドバイスをくれたり、表彰式では小牧騎手らしいハプニングがあったり…。当時に思いを馳せながら、貴重なエピソードを明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
タマビッグホープでの勝利、表彰式で号泣して…
──先週は、サワーホマレーと同じ馬主さん(伊藤永二郎氏)のドゥラメンテ産駒、バイラプリンセッサがデビューしましたね(2月19日・阪神5R・3歳新馬・ダ1800m・13番人気14着)。
小牧 うん。まだちょっと厳しかったねぇ。
──ゲートが開いた瞬間、固まっていたような…。
小牧 そうねぇ。ずーっと追い通しで、最後は人間が苦しくなったわ(苦笑)。いったん放牧に出るやろうから、まぁ帰ってきてからやな。体もまだまだやし、実が入っていない感じやから。
──ダートでのデビューとなりましたが、そのあたりの判断は?
小牧 まだなんともいえんね。スピードに乗れていないから。追い切りの時計も詰まってこないし、やっぱり終い13秒を切らんことには。そのあたりがひとつの目安かな。今週はね、ニホンピロマリブで小倉に行きますわ。日曜日は阪神で、前走で3着にきたグレアミラージュに乗ります。どっちも前走で3着にきてくれたからね。楽しみです。とにかく早く1勝したいね。
──今回は懐かしいエピソードにまつわるメッセージがきています。「YJWC(ヤングジョッキーズワールドチャンピオンシップ)のボーブランメルの騎乗を見て(単勝買って)、太さんは少し年下だけど大ファンになりました。同年のWSJS(ワールドスーパージョッキーズシリーズ)ではタマビッグホープの単勝に思いっ切り突っ込んで快勝、ホントにありがとうございました。園田にお礼の応援にも何度か行きましたが、上の2つは競馬に関するとくにいい思い出です。あの馬たちの思い出があれば、お聞きしたいものです」。
小牧 タマビッグホープは人気してたからね(3番人気)。で、その前に藤田(伸二)くんが乗っていた馬で、細かいことまでいろいろと一生懸命に教えてくれて。それはすごくよく覚えてるわ。
──それは貴重なエピソード。
小牧 うん。ゴールに入った瞬間はうれしかったねぇ。確かガッツポーズしたんちゃうかな。表彰式では泣いたしね(笑)。
──泣き虫エピソード、きましたね(笑)。
小牧 今思い出しても号泣やったで。阪神競馬場やったから、園田のファンがたくさんきてくれて、それがうれしくてうれしくて。感極まって、思わずボロ泣きしたわ。それを競馬雑誌かなんかで、ちょっと叩かれたけど。
──叩かれた!?
小牧 うん。「あれくらいの特別を勝っただけで、なんで泣くんだろう」って。
──あら、なんか腹立つ。そういえば小牧さん、1993年はYJWCとWSJS、どちらも出場されていたんですね。
小牧 そうやで。それも珍しいケースやったはず。よう稼いでたんやね(笑)。
──続いての質問です。「小牧騎手、こんにちは。いつも楽しく読ませていただいています。以前のコラムで『サウナでしっかり準備運動をする』とありましたが、もしかして全裸でストレッチなどを行っているのでしょうか。また、ほかにもそういう騎手の方がいて、湯気のなかあちこちで全裸の準備運動が行われている…などという風景もあるのでしょうか。想像すると、かなりおもしろいのですが」。
小牧 真っ裸やで。当たり前やん。ぜーんぶ丸見えや(笑)。ただ、サウナといっても広いからね。
── 一般の方が想像するいわゆるサウナではなく、お風呂場全体がミストサウナみたいになっているんですものね。
小牧 そう、サウナというよりお風呂場や。僕たちはもう当たり前になっているけど、確かに想像するとすごい光景やな(笑)。そういえば、以前に質問がきていた『ドライブ・マイ・カー』観てきたで。
──あ、どうでした?
小牧 淡々と3時間! 長かったわ(苦笑)。いつも行く散髪屋に“映画評論家”がいて、その人が「いいよ」って言っていて。その人がオススメしてくれた映画はハズレがないから観に行ったんやけど、正直、僕の好みではなかったな。あのね、『コーダ あいのうた』っていう映画がいいよ。むちゃくちゃよかった。4人家族のなかで、両親とお兄ちゃんは耳が聴こえなくて、高校生の妹だけが健聴者やねん。その妹には、すごい歌の才能があって……っていう話なんやけど、その子がかわいそうで、ものすごく泣いてしまったわ。
──最後も泣き虫エピソード(笑)。
小牧 うん。ずーっと泣いてた(笑)。でも、あの映画はホントにオススメやで。