4月12日、大井「マイルグランプリ」。アジュディミツオーがまさしく王者という強さをみせた。一瞬腰が沈むようなスタートで、1コーナーは予想外の6番手。しかし向正面に出るや自らグイとハミをとり、みるみるうちにポジションを上げていく。3コーナー手前では逃げるナイキアディライトと早くも並走。鞍上が懸命になだめつつ、最後の直線を向いている。「馬に勢いがついてしまった。もう少し(自分が)スムーズに折り合えれば、もっと強い勝ち方ができたでしょう」(内田博騎手)。独走の5馬身差、27年ぶりのコースレコード。内田Jのいう“もっと強い勝ち方”とは、「鮮やか」、「余裕」、おそらくそこを指すのだろう。ただし観戦子の印象をいえば、いかにもミツオーらしい力まかせの勝ちっぷりに、この夜改めて惚れ直した。驚異的なエネルギー、そして闘志。父アジュディケーティング、一見早熟なイメージを持たせながら、この王者は、一戦ごとにまだまだ進化をとげている。
マイルグランプリ(サラ4歳以上 定量 南関東G2 1600m不良)
◎(1)アジュディミツオー (57・内田博) 1分37秒2
(2)コアレスタイム (57・佐藤隆) 5
○(3)ナイキアディライト (57・石崎隆) 1
(4)コアレスハンター (57・戸崎) 1.1/2
▲(5)イブキオネスト (57・石崎駿) 3/4
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△(7)ブルーローレンス (57・的場文)
△(10)チョウサンタイガー (57・酒井)
△ トキノコジロー (57・山田信) 中止
単140円 馬複13,400円 馬単16,630円
3連複8,080円 3連単59,660円
数字上でみると、スタートから2F目、11秒2ときわめて速く、さらに11秒台が5Fまで続く猛ラップ。とうてい先行馬向きの流れではなかった。結局ただ1頭、次元の違う怪物がいたということ。中団から追い上げた2着コアレスタイムは、デキのよさと展開の利が、ものの見事に噛み合った。ただそう考えると、今回レコードは、ナイキアディライトがミツオーの能力を100%引き出した、闘志に火をつけた、その立役者という見方もできる。自身は3着に沈んだが、敗れて悔いなしの完全燃焼。レースが濃密になり、ギュッと締まった。むろんミツオーにとっても、かしわ記念、帝王賞へ向け、収穫と自信が大きいだろう。レコード、力走の反動?元よりそういうヤワな馬とは思えない。
イブキオネストは、色気があったぶん、テンに脚を使いハイペースの好位で息切れした。ブルーローレンスも根が短距離馬ということか、久々も手伝い、道中折り合いに苦労している。ただし結局大外を強襲したコアレスハンターが4着。これに先着を許したあたり、成長株がイメージ通り育たない、南関東の悩み、ジレンマということかもしれない。チョウサンタイガーの大敗は意外だが、道中の行きっぷりが、川崎、船橋の左回りと大きく違う。馬自身のフィーリングというしかないか。堅実、安定株にみえて、この落差はやはり大きなネックになる。
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クラウンカップ(川崎 4月19日 サラ3歳 別定 南関東G3 1600m)
◎アイウィルウイン (55・町田)
○ゲームメーカー (55・的場文)
▲エスプリジャパン (55・戸崎)
△トキノシャンハイ (55・佐藤隆)
△オウシュウクラウン (55・山田信)
△キョウエイジェイド (55・真島)
△クラチェゲラ (55・石崎隆)
カネショウメロディ (53・鈴木啓)
カネショウマリノス (55・今野)
形式上は「羽田盃トライアル(1着馬に優先出走権)」。しかし今年から2000m→1600mに距離変更。京浜盃1、2着、サワライチバン、グッドストーン、さらにアタゴハヤブサ、キングトルネードらも予定通り本番へ直行し、前哨戦の意味合いは例年以上に薄くなった。馬の勢いとマイル適性――。予想のスタンスはそこに絞っていいだろう。
アイウィルウインは道営1勝の転入馬。当初さして目立たなかったが、4走前ブリンカー着用で大きく変身。乗り替わったホープ・町田Jとも呼吸が合い、条件と特別を2勝した。父スターオブコジーン、小柄(420kg台)でも、こと切れ味と勝負根性には胸が張れる。道中中団でじっくりタメ、混戦を一気に割るとイメージした。
ゲームメーカーはしらさぎ賞をサワライチバンの3着で、このメンバーなら実績上位。アイウィルウイン同様、マイルでビュッと切れるタイプか。唯一大物感を求めればエスプリジャパン。デビューこそ遅れたが、前走JRA交流を圧勝して4戦2勝、連対10割。父デュラブの大型馬で南関クラシック向きのパワーを感じる。前残りでオウシュウクラウン、逆に先行馬が崩れてトキノシャンハイ。大穴は、近況不振ながら川崎2戦2勝、抜群の相性を誇るクラチェゲラ。