豪快に突き抜ける脚いろで父ダイワメジャーと親仔制覇
先週の血統ピックアップ
・11/20 マイルCS(GI・阪神・芝1600m)
後方に控えたセリフォスが直線で大外に持ち出すと、他馬とは違う脚いろで豪快に突き抜けました。重賞4勝目、GIは初制覇です。父ダイワメジャーは06、07年に当レースを連覇しており、親仔制覇となりました。
ダイワメジャー産駒は完成が早いという定評があり、じっさい、これまでに勝ったGI(JpnI)11勝のうち、8勝は2歳暮れから3歳春にかけてのものです。3歳秋以降に勝ったGIは、今回のセリフォスを含めてわずか3勝(他の2勝はコパノリチャードの高松宮記念、アドマイヤマーズの香港マイル)。
セリフォスの母シーフロントは晩成タイプで、仏G1ジャンロマネ賞で4着となったのは5歳時でした。このあたりが成長力の鍵となっていると思われます。
母方にブラッシンググルームを持つダイワメジャー産駒はニックスで、メジャーエンブレム(阪神ジュベナイルフィリーズ、NHKマイルC)、コパノリチャード(高松宮記念)、ロジチャリス(ダービー卿チャレンジトロフィー)をはじめ多くの活躍馬が出ています。本馬はこのニックス配合から誕生しています。
・11/19 東京スポーツ杯2歳S(GII・東京・芝1800m)
後方に控えたガストリックが直線で馬群を割って伸び、ダノンザタイガーとの追い比べをクビ差制しました。ジャスタウェイ産駒は土曜日の当レースをガストリックが5番人気で勝ち、日曜日のマイルCSではダノンザキッドが8番人気で2着。連日穴をあけたことになります。
後者は一昨年のJRA賞最優秀2歳牡馬で、当時、東京スポーツ杯2歳SとホープフルSを連勝しました。したがって、当レースは過去3年間でジャスタウェイ産駒が2勝したことになります。昨年はテンダンスが3着。産駒が3年連続で馬券圏内に食い込んでいるので、レース適性の高さが目立ちます。
ガストリックの母エーシンエポナは現役時代、芝1勝、ダート2勝という芝・ダート兼用タイプ。「カーリン×フォレストワイルドキャット×クワイエットアメリカン」というパワフルなアメリカ血統です。
ジャスタウェイ産駒は芝とダートの勝ち星の比率が約6:4で、母方にパワー型の血を入れるとマスターフェンサーやテオレーマのようなダートホースが生まれることも珍しくありません。本馬は芝向きの血が強く伝わったのでしょう。
今週の血統注目馬は?
・11/27 ベゴニア賞(2歳1勝クラス・阪神・芝1400m)
東京芝1600mと相性のいい種牡馬はキタサンブラック。連対率34.6%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した112頭の種牡馬のなかでナンバーワン。当レースにはヒップホップソウルとロードスパイラルの2頭が登録しています。どちらも勝機ありです。
今週の血統Tips
2006年の3着馬ウィジャボードを最後に、外国招待馬は馬券圏内に一頭も入っていません。近年は日本馬同士の決着が続いており、外国招待馬が来日しない年もあったほど。1981年のレース創設から1990年の第10回まで、優勝した日本馬はカツラギエースとシンボリルドルフだけ。残り8回はすべて外国招待馬が1着賞金をさらって行きました。
当時のジャパンCの予想は、外国馬をどう評価するか、というのが最大のポイントでした。時計の速い日本の芝に適性があるのか、シーズン最終盤だけに疲れが残っていないか、ビッグネームはやる気があるかどうか、などなど。意欲のある当時の若い競馬ファンは、ジャパンCを通して海外の競馬に憧れを抱き、さまざまなことを学んだものです。わたしもそのひとりです。
今年のジャパンCは、日本勢がやや手薄、という評もあります。外国招待馬が勝てるかどうかはともかく、馬券圏内に入ってくる可能性はあるでしょう。最近のジャパンCの予想は、日本馬だけで馬券を組み立てる人も少なくないと思いますが、今年は外国招待馬についても少し考えたほうがいいような気がします。
ちなみにウィジャボードは、カルティエ賞年度代表馬に二度選ばれた女傑で、繁殖牝馬としても名馬オーストラリア(英ダービー、愛ダービー、英インターナショナルS)を出しました。今年登録があったブルームの父です。残念ながら同馬は回避。現時点で外国招待馬は、オネスト、グランドグローリー、シムカミル、テュネスの4頭です。