羽田盃(5月10日 大井 サラ3歳 定量 南関東G1 1800m 良)
△(1)サンキューウィン 1分53秒1
○(2)グッドストーン 1.1/2
◎(3)トキノシャンハイ 2.1/2
(4)バンクレイド クビ
△(5)キングトルネード 2
…………………
△(6)カネショウアトラス
▲(7)サワライチバン
△(9)アタゴハヤブサ
単 680円 馬複 1390円 馬単 3340円 3連複 7440円 3連単 34380円
サンキューウィンが先手必勝で南関東クラシック第1冠目をモノにした。同馬は外枠(11番)ながら抜群のダッシュ力。一気にインへ切れ込んでハナに立ち、終始悠々と一人旅。1000m通過63秒3、これ以上ないペースを作った。「今日は返し馬のときからいい感じ。ずっとリラックスして走れました」(左海騎手)。グッドストーンが並びかけた直線も手応え十分。あと1ハロン、GOサインとともにもう一度脚を伸ばした。ひとこと完勝。4コーナーからよーいドン、上がりだけの競馬だから、後ろが届く道理もない。
レース直後の第一印象は、「展開と馬場(前有利)で勝った――」。が、掲示された時計、さらに改めてビデオを見直し、どうやらそればかりではない…と見方が変わった。なるほど2番手グッドストーンが同厩(岡林厩舎)で、気持ち仕掛けが遅れている。しかしそれならサワライチバン、キングトルネード、あるいはアタゴハヤブサあたりが動いてもよく、負けた言い訳にはならないこと。そして何より全体の時計が速かった。1800m1分53秒1(昨年シーチャリオット=53秒5)。勝者の上がり37秒2は、ダート1800mで逃げ馬が使う脚とすると極限に近いだろう。結果論ではなく、このレースに関する限りサンキューウィンが文句なく強かった。
サンキューウィンは北海道1勝で転入、南関東5戦4勝。いわゆるシンデレラボーイそのままの歩みで、一戦ごとにみるみる馬が変わっている。目下3連勝は1000→1600→1800をクリアしたもの。「ムキになって走る面が心配」とは、レース前の岡林調教師のコメントだったが、事実この夜は主導権を握った時点で自らスムーズにピッチを緩め、スタミナを温存しながら走ってきた。少なくとも逃げ馬、快速馬としてはかなり完成されている。父スキャターザゴールドはカナダ2冠馬、ミスタープロスペクター直仔。JRAダート[4-5-3-1]、先日1600万を勝ちオープン入りしたトラストジュゲムが、ここまで代表産駒だった。
ともあれ今回の結果で主役確定、勢力図が固まったとも思わない。例えばトキノシャンハイは結果3着ながら上がり36秒6、驚異的な末脚を(あくまで数字上にせよ)を繰り出している。ダーレーの成長株バンクレイドも中身の濃いレースをみせ、以下、キングトルネード、カネショウアトラスなど、ゴール際の脚色だけとれば悪くなかった。6月7日「東京ダービー」。グッドストーン(石崎駿騎手)も自身のジリ脚を自覚しつつ、目いっぱいの積極策で臨むだろう。そしてデビューから4戦全勝、シャイニールックの存在――。現時点でサンキューウィンの“2冠”は40〜50%、いやもう少し低い気もする。言い換えれば今回までがトライアル。JDダービーを睨み、この戦いはにわかに面白くなってきた。