▲須貝調教師(右)からの相談に柴田善臣騎手(中)が回答 (撮影:下野雄規)
JRAが誇る最年長ジョッキーで、日本騎手クラブの“相談役”を務める柴田善臣騎手。ファンからも競馬関係者からも信頼の厚い善臣騎手が“相談役”として、皆様のお悩みや質問に、自らの体験談を織り交ぜながら答えていくリレーコラムです。
前回、競馬学校第一期生の同期である須貝尚介調教師が登場し、貴重な思い出を披露してくださりつつ、共に56歳という年齢から健康相談を頂戴しました。
トップトレーナーとして活躍する須貝調教師なだけに、体を酷使する毎日。そんな須貝調教師の健康を常々心配していた相談役が、大切な同期に送りたいメッセージとは…?
(取材・構成=東京スポーツ・藤井真俊)
ジャスタウェイの騎乗依頼「メチャクチャうれしかった」
──初回は須貝先生からの相談です。やはり騎手過程の頃の思い出を語られていましたね。
相談役 懐かしいなぁ。もう何年前? 40年以上か。
──須貝先生によると、善臣さんは「乗馬経験もあって、競馬学校時代から抜けていた」とか?
相談役 それは違う(笑)。ウチの実家は牧場だったけど、馬に乗ったことはなかったの。触ったり手入れをしたことはあったけどね。だから乗馬はおろか鞍の着け方すら知らなかった。でも須貝だったり、石橋(守)や上籠(勝仁)は経験者だったから本当にうまかったよ。俺はそういうみんなに追いつこうと必死だったんだ。
──意外です。自分も善臣さんは競馬学校時代からエリートだったのだと思っていました。
相談役 まぁ競馬の世界に入った以上は他の人に負けたくない一心で色々と覚えて頑張ったけどさ。でも確か「模範生徒」みたいな今でいう「アイルランド大使特別賞」は山田(和広)が選ばれたんじゃなかったかな。あれは技術だけじゃなく勉強もできないといけなかったから俺は無理だった(笑)
──須貝先生との思い出は?
相談役 須貝も言ってたけどやっぱりジャスタウェイの安田記念だね。(福永)祐一が騎乗停止になったことで、自分が久々にコンビを組ませてもらうことになってさ。確か休みの日にバーベキューをしていたら電話がかかってきたんだよ。「いいね〜! すごい馬を回してくれたな〜」ってメチャクチャうれしかったことを覚えている。
レースは前日からの雨の影響でドロドロの馬場。随分と走りづらそうにしていたけど、それでも最後まで諦めずに走る精神力の強さに感動した。まさに一流馬だったね。
▲ジャスタウェイの最後まで諦めずに走る精神力の強さに感動 (撮影:遠沢好子)
──それにしても競馬学校の同期コンビでGIを勝つなんてすごいことですよね。
相談役 本当だよね。お互いがジョッキーだった頃には想像もつかなかった。それにしても彼は調教師としての才能があったんだなぁ。ジャスタウェイに限らずたくさんいい馬を走らせてるじゃない。一生懸命に頑張ってるんだろうし、オーナーとのコミュニケーションも上手なんだろうな。
思い起こせば確かに人と話すのが上手だったイメージはある。相手に対して気を遣えるというのかな。逆に俺はそういうのは全然ダメだから尊敬しますよ(笑)
性格は丸くなっても、体が丸くなるのはあまり良くない
──というところで、そろそろ須貝先生からの相談です。ズバリ健康相談のようですね。
相談役 そこだよな〜。さっきの話にも通じるけど、調教師になるとたくさんの人づきあいがあって、色んな人と食事をしたりお酒を飲んだりするわけじゃない?
たぶんそういう影響だと思うんだけど、須貝は調教師になったら急に丸くなったよな。性格が丸くなるのはいいことだけど、体が丸くなるのは