「あまり動かんように、ブレんように」と心がけている

──先週の『太論』で「ギアを上げていく」とおっしゃっていた通り、7月30日からの3日間で計6勝。言葉通りの結果となりましたね。

小牧　うん。いい馬が揃ってくれたおかげやね。6勝中4勝は自分が攻め馬をしている馬やから、余計にうれしくて。初日の3勝は、全部自分で調教している馬やわ。

──それにしても、初日のメインを勝ったエイシンテムジンはすごい馬ですねぇ。2023年の10月に園田に移籍して、ここまで17戦。13勝2着3回3着1回ですから。

小牧　そうやねん。強いよ、あの馬は。今はちょっと夏負けしてるんやけど、上のクラスにいっても頑張ってくれるんちゃうかな。まぁ僕もね、この暑い中、よう頑張ってますわ。我ながらそう思う(笑)。馬場では40℃を超えているからね。もはや暑いというより、日差しが痛いっていう感覚やもん。痛いくらいに暑い、ホンマに。

──小牧さん、ちゃんと日焼け止め塗ってますか？ シミができちゃいますよ。

小牧　塗ってないよ(笑)。これまで一度も塗ったことない。だから、今さらシミなんて気にしたところで手遅れや(笑)。そういえば、日曜日に高知(黒潮菊花賞に騎乗)に行ったでしょ？ 1泊して月曜日の午後の飛行機で帰ってきたんやけど、その前に健康ランドみたいなお風呂に寄ってね。日が照っているところでついつい横になってしまって。

──お風呂ということは、もしかして裸のまま？

小牧　そう(笑)。たぶん30分くらいだと思うけど、そのまま眠ってしまった…。

──小牧さんが昼寝するなんて珍しい！

小牧　よっぽど疲れてたんやね。案の定、顔と体の前面が真っ赤になってしまった。腰だけタオルを掛けていたから、そこだけおもしろいくらい真っ白やわ(笑)。

──油断しましたねぇ。さて、リケアマキアートで挑んだ黒潮菊花賞は7着。やっぱり距離が長かった感じですか？

小牧　いや、馬が故障しましたわ。スタートしてからトモを捻ったりしたのか…。はっきりしたことはわからないんやけど、道中はえらい外に逃げていて。おかしいなぁとは思ったんやけど、いつも通り一生懸命走っていたから、そのときはまさか故障しているとは思わんかった。でも、ゴール板を過ぎて止めてみたら、左のトモを付かなかったわ。とにかく一生懸命に走る馬やから、痛くても頑張ってしまったんやね。

──そうでしたか。その後のリケアマキアートの様子は？

小牧　いや、まだ詳しくは聞いてない。軽い故障ならいいんやけど。心配です。

──何度も高知まで乗りに行っている馬ですもんね。その後の報告を待ちたいところです。勝ったのは、園田所属の5番人気ラピドフィオーレ。まさかジュゲムーンを6馬身もちぎるとは…。ジュゲムーンは単勝1.2倍の完全なる1強だっただけに、赤岡(修次)騎手の心中は察するに余りあります。

小牧　そうやね。しかも、勝った馬はもともと赤岡が乗っていた馬やし。でもね、あの日はいつもの高知の馬場じゃなかったんやわ。高知は8月の1カ月は休みになるからその影響なのかもしれんけど、とにかく馬場が軽かった。高知独特のいつもの深い馬場やったら、また違った結果になったかもしれんなぁと思うほど、あの日は軽い馬場やったね。

──では最後にファンからの質問をひとつ。「小牧さん、いつも応援しています！ 中央競馬は見ていますか？ 外から見て、改めて上手いなぁと思うジョッキーがいれば教えてください」。

小牧　ルメールは上手いなぁと思うし、あとはやっぱり豊くんやね。豊くんの騎乗を見て、ああいうフォームがやっぱりカッコいいなぁと思いながら、今でも手本にしているから。地方の馬は追わなアカンから、なかなか豊くんのようにスマートには乗れんけど、それでもあんまり動かんように、ブレんようにと思って乗ってるよ。


──小牧さんの目標は、やっぱり“武豊”なんですね。

小牧　そうやね。若手では、高杉(吏麒騎手)がよう勝ってるやん。


──勝ってますねぇ。すでに41勝を挙げて、全国リーディング15位ですから。

小牧　僕ね、高杉のおじいちゃんと友達やからね。

──そうなんですか!?

小牧　うん。服部厩舎の助手をやってはったから。もう定年したけど、今もトレセンで働いてるよ。その娘さん、高杉のお母さんもむっちゃ友達やで。

──ということは、高杉騎手も昔からの知り合い？

小牧　いや、高杉本人には会ったことがないねん(笑)。ただ、友達の孫であり息子やから気にして見てるよ。藤岡健一厩舎の所属やからね、佑介や康太にいろいろ教えてもらったんやろうな。