
▲小牧太騎手が“夢”を明かす(撮影:稲葉訓也)
先週は水木と勝ち星のなかった小牧騎手ですが、金曜日はまるでその鬱憤を晴らすかのように、騎乗機会3連勝でフィニッシュ。転入初戦を馬なりで圧勝したモズフラッシュなど、楽しみな馬との出会いもありました。
そんな先週の競馬を振り返りつつ、話題は“夢”の話へ──。来週に控えたワールドオールスタージョッキーズですが、来年の同舞台で「地方代表・小牧太」が実現する可能性やいかに!?
(取材・構成=不破由妃子)
馬なりのまま5馬身差の圧勝! 転入初戦モズフラッシュ「走りが全然違った」
──先週の金曜日は、4鞍に騎乗して7R、8R、10Rと騎乗機会3連勝! 爆発しましたね。
小牧 水曜、木曜とちょっと苦しんでいたけど、もともと金曜日に強い馬たちが控えているのはわかっていたから、勝ててよかったです。なかでも7Rのモズフラッシュは絶対に走ると思ってた。思った通り、走りが全然違ったね。
──モズフラッシュは中央からの転入初戦で、最後まで馬なりのまま、楽に5馬身も突き放して。
小牧 うん。もうね、能力検査の時点で、ほかの馬とは走りが全然違ったから。
──あの勝ちっぷりなら、連戦連勝もありそう。
小牧 そうやね。ただ、次が大変かもしれん。本来はテンから行く馬じゃないのに、あまりにもペースが遅くて行かせてしまったから。次から抑えるのが大変になる可能性はあるね。
──なるほど。逃げのリスクっていうやつですね。続く8Rのメイショウコホクも4馬身差の圧勝でした。この馬は中央→兵庫→中央と転籍をして、今回は4年ぶりの再転入初戦で。
小牧 強かったね。まぁだいぶ前とはいえ、姫路で3連勝した馬やから。しかも、圧勝に次ぐ圧勝でね。
──4歳の頃ですよね。大差勝ちもあった。
小牧 そうそう。ちょっと喉鳴りがある馬なので、今回は雨が降っていたのがよかったのかも。中央ではずっと障害を走っていて、加矢太も一度乗っているから、一応「どんな馬?」って聞いてみたんやけどね。そしたらやっぱり「喉が鳴る」って言ってたから。そのあたりは心配やけど、あの勝ちっぷりなら今後もまだチャンスはあるね。
──3連勝の最後はイザグリーンライト。手応え以上にしぶとく伸びた印象です。
小牧 あの馬はね、エージェントの北防さんが探してきてくれた馬なので、彼のファインプレーや。「チャンスあると思うよ。乗ってみたら?」ということやったんやけど、本当に強かったわ。
──最終日を3連勝で締めくくるなんて最高ですよね。さぞかし美味しいお酒が飲めたのでは?
小牧 いやいや、そんな元気は残ってない(苦笑)。先週は久しぶりに10Rで終わったんやけど、それでも夜の7時半やからね。疲れてすぐ寝てしまったわ。
──そうでしたか。そういえば、7月31日にデビューしたゴーゴーツヨシのお話を伺ってないなと思いまして。初戦は3着でしたね。
小牧 デビュー前にも話したけど、やっぱりね、ちょっと夏負けしてるから。(弟の)毅には「一度放牧に出したほうがいいよ」と伝えたので、たぶん出すんちゃうかな。力があったらいつでも勝てるからね。
──レースの内容も夏負けの影響を感じるようなものでしたか?
小牧 内容というより、レースが終わったあとにフラフラしてた。息遣いも悪かったし。走ってくるはずやから、今は大事にしたほうがいいわ。
まずは兵庫リーディングを獲って…
──では、最後にファンからの質問をひとつ。「今年のワールドオールスタージョッキーズの地方代表は船橋の本田騎手ですが、小牧さんが出場するにはどうしたらいいのでしょうか」。
小牧 まずは地元でリーディングジョッキーになって(原則として前年4月1日から本年3月31日までの地方競馬での勝利数順位が1位の騎手)、地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップに出場して優勝せなアカンねん。今年は5月に金沢で開催されて、そこで本田正重くんが優勝した。開催場は毎年替わるけど、確か3レース戦ってポイントを競うんちゃうかな。

▲今年の地方競馬代表は本田正重騎手(撮影:高橋正和)
──ということは、このまま順調に勝ち星を積み重ねれば、来年の地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップの出場権を得られると。
小牧 まぁそういうことになるけど、まずは兵庫でリーディングを獲らんことには。どんどん追い詰められてきているからね、なんとも言えんで。なんせ勝てる力のある馬は、みんな勝ち上がったからね。当然、クラスが上がれば厳しくなる馬もいるわけで。勝ち星のペースを落とさんようにするためには、どんどん新しい馬を見つけていかんと。いろいろ考えながら、エージェントの北防さんと作戦を練っているところです。
──今年は何としてでもリーディングを獲ってほしい! ワールドオールスタージョッキーズで地方代表として小牧さんが凱旋したら、めっちゃ盛り上がるだろうなぁ。楽しみになってきた(笑)。
小牧 なかなか現実的に難しいところがあるけど、僕にとっても夢のひとつなのは間違いない。それに、60歳で引退となると、残されたチャンスは今年だけやからね。まぁなんとか頑張ってみますわ。
(文中敬称略)