戸塚記念(9月13日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SIII 2100m)
日本競馬界全体とすると、終息にまだまだ遠い今回インフルエンザ禍だが、南関東は8月17日、大井中止1日だけで何とか済んだ。いや済んだというより、戦々恐々、粛々と細心の注意を払い、必死の思いでやり過ごした、そんな感じか。8月20日からレース再開、船橋→浦和→川崎→大井と“予定通り”開催され、薄味の番組(ほぼ自場だけのメンバー)ながら、売上げなど思いのほか悪くなかった。しかし改めて現状をふり返ると、その爪跡はけっして小さくもないだろう。大井「アフター5スター賞」が中止され、船橋「日本テレビ盃」がダートGから外された(南関東馬限定で施行予定)。放牧先→厩舎の往来が制限されている以上、2歳戦の進行なども大きく遅れる懸念がある。ふってわいたような不運と不幸。元より体力のない地方競馬に、これでもかとばかり試練が襲う。
「戸塚記念」は、3歳有力馬、クラシック後の初戦になり、しかし年によって顔ぶれにレベル差があり傾向がつかみづらい。1番人気[4-1-1-4]、2番人気[0-2-3-5]、3番人気[3-0-1-6]。一見上位安定にみえるが、一昨年ブルーワレンダー(3番人気)→コスモメンツェル(11番人気)を筆頭に、過去10年、馬単4度まで万馬券という結果だった。人気馬の“質”が問われるレース、ポイントはそのあたりか。98年優勝アトミックサンダー、02年ジェネスアリダー、さらに昨年ビービートルネードと、東京ダービー好走馬がやはり強く、上昇馬より実績上位馬に信頼度が高い。所属別では、川崎=6勝、2着5、船橋=4勝、2着5と、2場独占のがっぷり四つ。牝馬は[0-3-2-15]。98年ホクトオーロラ(2着)以下、おおむね関東オークス好走実績があった。逃げた馬=9、6、6、13、10、1、3、3、1、5着。先手必勝はセオリーにならず、昨年ビービートルネードは、3コーナー一気のまくりで制している。
◎ロイヤルボス
(57・繁田)
○ジェイドロボス
(55・石崎駿)
▲タキオンスピリット
(54・戸崎)
△アルクール
(55・坂井)
△パルパディア
(55・町田)
△ミウラリチャード
(55・石崎隆)
△ロングウェーブ
(54・今野)
カネショウバナナ
(53・増田)
ブルームテキ
(55・内田博)
イチモンジ
(55・酒井)
ロイヤルボスの能力を信頼する。前走黒潮盃1番人気で4着だが、中間川崎→大井(小林)と転厩し10kg増。それより何よりスタートで致命的な不利があった。直線しぶとく追い上げて実力派らしい見せ場を作り、秋への展望は十分開けた。まさしく頂上決戦といえる東京ダービー3着。2000m2分05秒1(レースレコード)、アンパサンド、フリオーソにクビ、3/4差だから、同馬自身この時点で超A級を証明している。元より川崎出身でコース不安はなく、本質パワー型だけに距離2100も歓迎だろう。父アメリカンボス。奥手血統でもう一段グレードアップの期待がある。
ジェイドロボスも同じ父を持つ成長株。ノンタイトルの[3-3-5-4]ながら、ジャパンダートダービー8着、黒潮盃2着、一貫強敵相手に貴重なキャリアを積んできた。先行差し、流れに応じて動く自在性が頼もしい。タキオンスピリットはデビューから4戦全勝、父アグネスタキオンの新星だ。500kgを優に超す馬格を誇り、レースぶり、走法ともきわめて豪快。相手と距離、一気に上がったハードルだが、ことスケールからは善戦以上の期待がある。トライアル「芙蓉賞」1、2着、アルクール、ミウラリチャードも、勢いと距離適性で好勝負の可能性。さらに薄目なら、重賞挑戦で地力をつけたパルパディア、ウイングアロー産駒らしい末脚を持つロングウェーブ。