トゥインクルレディー賞(9月19日 大井 サラ3歳以上牝馬 ハンデ SII 1600m)
ほぼ1か月に渡った馬インフルエンザ禍。南関東でも先週、入退厩(厩舎=放牧牧場)制限が解除され、どうやら平常、正常の状態に戻りつつある。理屈はともあれホッとすること。既報の通り、盛岡「ダービーグランプリ」、船橋「日本テレビ盃」は交流グレードから外されるが、「南部杯」、「東京盃」は例年同様、JBC(10月31日・大井)トライアルとして機能する見込み。何より最も危惧された“JBC中止”に追い込まれなかったことが不幸中の幸いだろう。これは、基本的に人災ではなく天災だから仕方ないと考える。このまま無事終息することを切に願う。
「トゥインクルレディー賞」、過去10年のデータを書く。1番人気[2-3-2-3]、2番人気[0-2-2-6]、3番人気[3-1-2-4〕。総体的に波乱ムードで、馬複平均配当3260円、同馬単7040円。それも一昨年コウエイソフィア(8番人気)、昨年アウスレーゼ(5番人気)、前者は逃げ切り、後者は追い込み、少なくともその時点ではあっと驚く大駆けだった。所属別では、大井6勝、船橋3勝、浦和1勝。地元大井が12連対を果たしており、牝馬戦らしくホーム有利の傾向がある。トップハンデは複数馬になることが多く、57kg以上に限定すると、2、3、2、2、12着。地力通りとみるか、勝ちづらいとみるか微妙なところ。特筆すべきは“リピーター”が強いことで、エフテーサッチ(97〜98年)、スイングバイ(00〜01年)、アートブライアン(03〜04年)、いずれも2年続けての連対だった。逃げた馬=1、1、7、1、2、11、12、2、1、13着。前述コウエイソフィアの例からも(戸崎J重賞初制覇)、先手必勝には注意したい。
◎ベルモントノーヴァ
(56.5・石崎駿)
○トーセンジョウオー
(58.5・内田博)
▲パフィオペディラム
(55.5・左海)
△チヨノドラゴン
(53・真島)
△カネショウメロディ
(53・坂井)
△グリーンベイ
(53・戸崎)
△ミライ
(54・今野)
シーホアン
(53・張田)
スズランメイク
(52・酒井)
実績上位はトーセンジョウオーで論を待たない。関東オークス、エンプレス杯、マリーンC(2勝)など交流Gすでに5勝。昨秋、川島正厩舎にトレード後、さらにスピード面が磨かれた印象で、4月マリーンCは1600m1分37秒3、楽々レースレコードを樹立した。ただ前2走、大井記念、帝王賞と牡馬路線で粉砕し、以後ひと息入れたステップ。本質的に左回り向きの感もある(大井未勝利)。トップハンデ58.5kg、目標になる展開。馬券上のテーマは“これを負かせる馬”と考えた。
ベルモントノーヴァを推す。トーセンジョウオーと同じ6歳だが、こちらは明らかに晩成型。今春しらさぎ賞で初タイトルをつかみ、続く川崎スパーキングレディーCもメイショウバトラーの4着。末脚勝負の個性派として強烈な存在感を持ってきた。前走牡馬相手のサンタアニタT・4着も、先行馬ペースをメンバー中最速の上がり37.4秒。石崎駿Jとのコンビ[4-1-0-4]。昨年このレース2着だから、リピーターが強いデータとも合致する。
パフィオペディラムは3歳時からの期待馬で、今季2連勝は文字通り本格化と受けとれる。折り合い面で進境、GOサインから弾けるような瞬発力。フサイチコンコルド×Sサイレンスの血筋からも、今後牝馬頂点に昇って不思議ない。金沢、東海などで12勝、南関転入後2、2着と地力をみせたチヨノドラゴン、絶好調のレース巧者カネショウメロディ、さらに浦和桜花賞馬ミライ、一発屋グリーンベイまで争覇圏。一見順当にみえる組み合わせだが、レースの歴史、伝統からは波乱の余地も残っている。