金盃(2月20日 大井 サラ4歳以上 別定 SII 2000m)
春を告げる金盃――。現在SIIに過ぎない同レースだが、その歴史は、ほぼ最古といえる51回。過去、ロッキータイガー、カウンテスアップ、チャンピオンスター、さらにアマゾンオペラ、コンサートボーイ、インテリパワー…。錚々たる名馬が底力を見せつけてきたシーンが浮かぶ。前年の「東京大賞典」出走馬が、再び選手権距離・大井2000mでぶつかり合う。交流グレード外ながら、記者自身、毎年かなり思い入れが強いレースではある。
さておき、過去10年のデータは波乱傾向。1番人気[2-1-0-7]、2番人気[3-3-1-3]、3番人気[2-1-0-7]。ひとまず“上位拮抗”とはいえても、1番人気の信頼度がきわめて低い。最高配当は、01年、インテリパワー→キャニオンロマンの、馬単8550円、03年、コアレスハンター→オンユアマーク→スピーディドゥの、3連単543,520円。結局その年、人気の盲点となっていた実力馬が大駆けを果たし、意外な高配当が飛び出している。ちなみに昨年は、ボンネビルレコード→コアレスハンターの決着で、馬単4620円。1番人気パーソナルラッシュが8着と凡退した。
所属別は、大井=5勝、2着9、船橋=2勝、2着1。他に、川崎、浦和、それぞれ1勝となっている。10年中9回まで大井所属馬が連対し、その内ワンツーが5度あった。少々うがった見方だが、これはある意味、大井関係者の金盃に対する“こだわり”が、結果に出ているかもしれない。牝馬は、昨年アウスレーゼが3着しただけの[0-0-1-13]。近年出走馬が少ないにせよ強調できない数字だろう。逃げた馬=6、2、3、5、2、1、9、5、4、7着。唯一逃げ切りは、03年コアレスハンターで、当時スローを押し出されるように先頭、そのまま地力で押し切っている。好位〜中団から差した馬に良積が多い。
◎ルースリンド
(56・内田博)
○レッドドラゴン
(54・坂井)
▲ロイヤルボス
(54・繁田)
△ナイキデラックス
(54・今野)
△ナイキアースワーク
(58・戸崎)
△アウスレーゼ
(55・真島)
△ベルモントストーム
(56・石崎駿)
シーサーハーン
(54・山田信)
ウエノマルクン
(57・鈴木啓)
データ、傾向ははともかく、今回ルースリンドは堅い中心馬と断言できる。昨季後半から本格的に交流G参入。JBCクラシック5着、浦和記念2着、東京大賞典4着、いずれもハイレベルの中、密度の濃い競馬をした。とりわけ前走大賞典は、鞍上が勝ち負けを意識した早めの仕掛けで、最後メイショウトウコンに1/2馬身差だから価値がある。JRA未勝利で船橋転入。以後[11-6-2-3]は、父エルコンドルパサーの成長力、同時に地方厩舎スタッフの優秀さを象徴する変身といえるだろう。大井2000mは、一昨年このレース2着を含め条件ベスト。1つタイトルを上積みして、春の交流G路線に弾みをつけたい。
相手をどう絞るか。世代レベルも加味するとレッドドラゴンに食指が動く。ひと息ふっ切れない近況だが、昨年アンパサンド完封のニューイヤーCなど潜在能力は十分で、昨秋「メトロポリタン賞」、チェレブラーレ以下を一気に呑み込んだ瞬発力も素晴らしかった。続く前2走はスローの展開負け。半信半疑の人気が予測され、その意味でも妙味とみる。次いで同世代ロイヤルボス。昨春東京ダービー3着はフリオーソ、アンパサンドに0.1秒差。およそ1年半勝ち星がないものの、前走川崎オープン2着など、自身リズムは戻っている。JRA4勝、川島正行厩舎に転じたナイキデラックスも、A2下2、1着で能力健在。3歳時ユニコーンS圧勝、ここから再起を図るナイキアースワーク、紅一点の切れ者アウスレーゼまで圏内か。