エンプレス杯(2月27日 川崎 サラ4歳上牝馬 別定 JpnII 2100m)
例によって過去10年間(97〜07年・02年休止)のデータをまとめる。1番人気[3-3-3-1]、2番人気[0-3-3-4]、3番人気[3-2-2-3]。1人気の信頼度が圧倒的に高く、馬券の対象から外れたのは一昨年、グラッブユアハート1件しかない。最高配当は、その06年、ローレルアンジュ→レマーズガール→レイナワルツ、馬単20890円、3連単387660円。おおむね堅い傾向で、交流Gに移行した95〜96年をホクトベガが連覇し、97〜98年、今度はファストフレンドが連覇している。
所属別は、JRA=6勝、2着9、船橋=4勝、2着1、他所属馬は連対の記録がない。ただし、波乱のパターンは、地方勢が健闘した年とはっきりしており、例えば03年ジーナフォンテン、05年プルザトリガーが優勝。2着は人気馬ながら好配当が出ている。他地区馬は06年レイナワルツ3着が最高で、トータル[0-0-1-11]と厳しい状況。逃げた馬=4、3、12、2、7、2、14、1、12、1着。本来砂の深いコースだけに、パワーを要求される良馬場だと先手の利が薄くなる。昨年はトーセンジョウオー→フサイチパンドラ、行った行ったで終わったが、1人気サウンドザビーチ以下の仕掛けが遅れ極端なスロー(1000通過64.3秒)になったため。まくれるタイプが総じて強い。
◎トキノミスオース
(54・坂井)
○ラピッドオレンジ
(55・内田博)
▲サヨウナラ
(55・岩田)
△アイスドール
(55・武豊)
△ニシノナースコール
(55・吉田豊)
△マキノチーフ
(55・繁田)
△オルビア
(54・戸崎)
クインオブクイン
(55・濱口)
チャームアスリープ
(56・的場文)
JRA優勢のデータはさておき、今年に限ると出走4頭、どれもひと息ピンとこない。確かに1月大井「TCK女王盃」を勝ったのはラピッドオレンジだが、当時内田博Jの絶妙な騎乗が大きく、展開上の目標もデアリングハートとはっきりしていた。そのデアリングは本来が芝志向、ダートでの能力は、ホワイトメロディー級とかなり差がある。鞍上・岩田康誠が魅力のサヨウナラも、現実にそこでラピッドオレンジに負け、1800m1分54秒4。末一手の不器用さも含め頼りない人気馬だろう。アイスドールはダート3勝ながら、オープン昇格の前走大敗(中山師走S・勝ち馬に2.0秒差)。現段階で絶対能力がつかめない。ニシノナースコールは、今回半年のブランクがあり補欠出走。ダート1戦3着のブライアンズタイム産駒でも、勝負気配の点が正直疑問だ。
トキノミスオースを狙う。JRA未勝利の転入だったが、初戦古馬B2下を楽勝、続く「ロジータ記念」も3コーナー手前から一気の捲り。そのまま余裕残しで独走している。2100m2分17秒5。3歳牝馬、良馬場条件で比較すればプリエミネンス(関東オークス・2分17秒3)あたりと遜色ない。前走大井「シンデレラ・マイル」も、同条件(1600m)スペシャリストといえるベルモントノーヴァに1/2馬身差なら、十分胸が張れるだろう。ケレン味なく先行してしぶとい二の脚。完歩の大きい走法で、記者個人のイメージはトーセンジョウオーにダブってくる。父オースは英ダービー馬。重厚で成長力豊かな血統でもある。
JRA勢の比較は、引き続き内田博Jが手綱をとるラピッドオレンジ上位としたが、ここまで左回りに良積がなく、クリアすべき課題も少なくない。地方勢の穴馬は、一昨年ロジータ記念を正攻法で勝ち切ったマキノチーフか。前走除外後をひと叩きしてここ照準。ファイター・繁田Jとのコンビにも魅力がある。オルビアは前走意外な凡退(1人気・6着)で、調子落ちの懸念が出てきた。クインオブクインは仮にうまく逃げてもスタミナ不安。三冠牝馬チャームアスリープは今回的場文Jを配したものの、稽古状態など全盛時に大きく遠い。