羽田盃(4月23日 大井 サラ3歳 定量56kg SI 1800m)
毎年書いていることだが、南関東牡馬クラシックは、基本的に“堅め”で流れる。羽田盃(1800m)→東京ダービー(2000m)→ジャパンダートダービー(2000m)、すべて大井コース、春3か月のうちに行われるのだから、当然といえば当然だろう。その時点で、能力+完成度が抜けていれば“2冠”はそう難しくない。過去10年、オリオンザサンクス、トーシンブリザード、ナイキアディライト、シーチャリオット4頭までが難なく達成。中でもオリオンザサンクス、トーシンブリザードは、GIジャパンダートダービーも制し“3冠”に輝いている。
前10年の基本データ。1番人気[5-1-1-3]、2番人気[3-4-0-3]、3番人気[0-1-2-7]。1〜2人気馬に圧倒的な強みがあり、純然たる波乱といえば、04年、トキノコジロー→キョウエイプライド、馬単51480円(最高配当)の一例だけか。結局その世代は、以後アジュディミツオーの独壇場で、仮に同馬が順調なデビューなら、あっさり3冠だったと振り返れる。所属別は、船橋=5勝、2着4、大井=4勝、2着4、川崎=1勝、2着2。ただ、近年の船橋、川崎好成績は大半転入馬によるもので、傾向というより巡り合わせというべきか。逃げた馬=12、1、1、2、13、1、15、2、1、10着。大井1800mは先手の利がやはり大きく、強い馬が自らレースを作れば、紛れはまず出てこない。
余談を少し。道営No.1で南関東転入、期待通り京浜盃を圧勝したディラクエは、春の主役として大きく抜け出た。思い出すこと。90年、アウトランセイコーに記憶が及ぶ。同馬は道営デビュー3勝の後、広瀬龍夫(浦和)厩舎へ転入。全日本2歳優駿2着(当時は地方競馬交流)、明けて京浜盃、羽田盃、東京ダービーと、圧倒的な末脚で勝ち進んだ。佐藤隆(故人)→高橋三郎→佐々木竹見と乗り継ぎ、ことダート中〜長距離では素晴らしい強さがあった。雄大な黒鹿毛(520kg台)、しかし手脚がすっきりと長く、何とも見映えのする馬だった。父ハイセイコーの代表産駒。南関2冠達成の後、案外成長はなかったが(秋に挑戦した「オールカマー=中山芝」を大敗)、粗削りでワイルドなレースぶり。イメージはディラクエとダブってくる。
◎ディラクエ
(56・今野)
○コラボスフィーダ
(56・左海)
▲ロイヤルマコトクン
(56・御神本)
△ゲンキチホマレ
(56・町田)
△ディアヤマト
(56・坂井)
△ホウザン
(56・戸崎)
ニックバニヤン
(56・的場文)
エバーブライト
(56・田中)
ミサトアンバード
(56・石崎隆)
ディラクエに唯一死角があるとすれば、それは“燃えすぎる気性”になるだろう。昨年夏旭川、思わぬ大敗を喫したブリーダーズゴールドジュニアC。力関係からは負けようがない相手に、しかし自身向正面過ぎで強烈に引っ掛かり、直線バッタリ止まっている。ただ、前走京浜盃を見る限り精神面の成長は明らかで、大井コースへのフィーリングもきわめて良好。何より、新コンビ・今野Jとの呼吸が絶妙だった。フサイチコンコルド×ホワイトマズルの血統背景、オーナー・吉田照哉氏が裏書きする完璧な社台ブランド。逆う根拠、理由が正直出ない。歴代トーシンブリザード、シーチャリオット級に匹敵する勝ち方ができるかどうか。記者自身は“三冠”まで可能とみている。
こと馬券は、馬単、3連単がふさわしい。こだわってコラボスフィーダ。評価が分かれる京浜盃4着だが、4コーナー手前ほぼいっぱいにみえた手応え、そこから後続に先着を許していない。現状ジリ脚は否めないものの、反面距離延長でプラスもある。ロイヤルマコトクンは、その京浜盃で好位から伸びる新境地をみせた。血統、馬体からはアジュディミツオーを踏襲してほしい存在でもある。このタイプはおそらく御神本Jに鞍が合う。個人的にヒイキとするゲンキチホマレは、ニューイヤーC圧勝から一頓挫あり(ソエ)、今回東京ダービーへ向け試走になるか。ディアヤマトは、体型、レースぶりから本質マイラーとみて割り引いた。実績上位ホウザンも前走大敗からは半信半疑。ディラクエを頭に、コラボスフィーダ、ロイヤルマコトクン=2、3着の、3連単を本線に買う。