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JC組は単純に前走着順を重視

  • 2008年12月23日(火) 02時00分
 有馬記念の予想には、時代によって流行のようなものがある。

 例えば、大橋巨泉氏が提唱した世代比較論などは、昭和50年代からある程度の影響力を保ち続けている。

 もうひとつ、一時期流行したというか強く信じられていたのが、「有馬記念は余力の有無が勝敗を分ける」という考え方だ。

 特に、天皇賞・秋→JC→有馬記念というローテーションを辿った馬は有馬記念で余力がなくなり、危険な人気馬になりうるというイメージを持っている方は少なくないのではないかと思う。

 ではそれが正しいのかどうかだが、先に結論を言うと、どうも怪しいように思う。

 過去10年の有馬記念では前走JCから来た馬が[6-3-4-48]という成績を残しているが、連対した9頭のうち、8頭までがJC・3着以内の馬たちである(残り1頭は人気薄で激走したアメリカンボス)。

 JC勝ちから有馬記念で連を外したのはタップダンスシチーだけだが、同馬は天皇賞・秋には不出走。反対にゼンノロブロイ、テイエムオペラオー(00年)は秋GIを3連勝、スペシャルウィークは1→1→2着している。
 JC・2着組は[1-1-0-6]とけっこう取りこぼしているが、連対したハーツクライとメイショウドトウはともに秋GIを3つとも使った馬。2年連続JC・3着→有馬記念1着となったシンボリクリスエスは、両年とも天皇賞・秋にも出走(ともに1着)していた。

 結局、秋GIを一定以上のデキで3戦することは、今の時代ではそれほど難しくないテーマなのだと思う。

 それよりも単純に、JC組はアメリカンボスを除くと「前走3着以内かつ有馬記念で4番人気以内」からしか連対馬が出ていないことに注目したほうがよさそうだ。

 今年これを適用するとマツリダゴッホがナシになってしまうが、JC・2、3着馬が回避なので、そこはぎりぎりのサジ加減次第というところか。ただ、メイショウサムソンやアサクサキングスは完全にナシになってしまう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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