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根拠はあるのか? この傾向

  • 2009年04月14日(火) 11時55分
 皐月賞のデータを色々とこねくり回していてひとつのことに気付いた。

 過去10年を振り返ってみると、社台ファームとノーザンファームで皐月賞との相性が全く違うのである。

 分かりやすく生産者別成績で見てみると、社台ファーム生産馬は[5-2-1-7]で回収率は単勝384%・複勝170%。回収率はダイワメジャーの影響が出ているが、昨年も中穴級でワンツーだったし、過去にはタイガーカフェの8番人気2着などもあった。

 一方、ノーザンファーム生産馬は[2-0-2-25]で回収率は単勝64%・複勝34%。ディープインパクトという最高傑作を出しているものの、あまり相性はよくない。

 集計期間内の生産頭数を勘案しても、ノーザンファームは皐月賞に至る過程で出走権を獲得する馬をたくさん出しており、一方で社台ファームは参戦が少なくても高い割合で好走馬を出しているという風にまとめることができるだろう。

 これが馬券上の意味を持つ傾向なのかどうかは分からないが、反対に全くの偶然ではないと思える。

 生産馬ベースで語るのはやや的外れだろうが、育成という観点から考えると牧場ごとにテイストの違いが出てきてもおかしくはない。実際にはノーザンファーム育成馬にはシックスセンス(追分ファーム生産、ノーザンファーム空港育成)などもいるので先述の差異は縮まるが、いずれにしても社台の育成とノーザンの育成で馬のタイプになんらかの違いが生じていると推測してみることは興味深い。ひょっとすると、対象を皐月賞に限らずさらに調べればNF早来とNF空港の違いまで浮かび上がってきてもおかしくはない。

 競馬ファンの中には社台グループをひとまとめに考えている人も多いようだが、社台とノーザンでは施設も違えば育成方針も違う。同じ牧場でも時期による差異があるくらいなわけで、すべてを均質と考えるよりはなんらかの違いを意識するほうが面白いだろう。皐月賞でいえば社台勢3頭が気になる、という話である。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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