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格と適性、どっちが優先?

  • 2009年04月27日(月) 23時49分
 天皇賞春は3200mという距離だけに、ステイヤー文化の色濃かった昭和の競馬を懐かしめる面がある。

 しかし、いまの時代に「筋金入りのステイヤー」という概念がどれだけ残っているかは微妙なところでもある。選手権距離のGIを勝つような馬が、格で押し切ることのほうが多いのではないか。

 そこで今回はこんな調査をしてみた。

 2400〜2500mのGIを勝った馬(天皇賞春に出走するより前・後いずれで勝った場合も含む)が天皇賞春でどのような成績を収めていたかという調査である。

 いきなり結論を言うと、平成以降全体で[9-6-1-12]。回収率は単150%・複98%となっている。

 内訳を見るとやはり人気サイドでの好走が多く、馬券に絡んだケースはすべて4番人気以内。5番人気以下をカットすると[9-6-1-4]で、さらにこれを過去10年に絞ると馬券に絡めなかったのは04年のネオユニヴァース(2番人気10着)しかいない。

 もちろん、この検索条件には問題がある。「今後2400〜2500mのGIを勝つ馬」という、現時点では分かりようのない条件が含まれているからだ。

 それでも一定の推測はできる。まずひとつめに、既に当該距離のGIを勝っている馬については話が確かなわけであり、そして今回登録馬中に該当するのはスクリーンヒーローしかいない。

 ふたつめに、将来2400〜2500mを勝つというだけでなく「今回4番人気」という条件も加わるわけで、人気から対象馬は限られる。また、その条件もクリアして実際に馬券に絡んだのは過去3頭のみで、先述した16頭の中で比率は低い。

 つまり、今回の理屈でいうと4番人気以内になることを前提にスクリーンヒーローが有利ということになる。自分で書いていてあまり自信がないが、これが当たるようだと、ステイヤーというカテゴリがかつてほど確固としたものでなくなっていることが証明されるとも言える。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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