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エプソムCとSS系

  • 2009年06月08日(月) 23時50分
 今週のエプソムC、登録28頭のうち、半数近い13頭がサンデーサイレンス系である。

 SS系が増えた今では珍しくないことだが、しかし一方でエプソムCはSS系が苦手とするレースでもある。

 あれ? 去年ワンツーじゃなかった? とお思いの方。確かに昨年は1着が父ステイゴールドのサンライズマックス、2着がマンハッタンカフェ産駒のヒカルオオゾラだった。

 しかし、SS産駒がはじめてエプソムCに出走した96年以降トータルで見ると、SS系の成績は[2-2-4-40]。勝率4.2%・連対率8.3%、回収率は単20%・複36%ときわめて「おいしくない馬券」になっている。人気になるレベルならそれなりに馬券に絡んではくるのだが、穴が出ないのだ。

 他の重賞と比べてどうなのかも見てみよう。SS系の馬が20出走している芝重賞の中で、連対率が最も低いのはスワンSで5.6%。そのスワンSにおける回収率は単60%・複44%。回収率はエプソムCが下回っている。

 反対に、複勝回収率が一番低いレースはというと、秋華賞で28%。その秋華賞の連対率は9.1%で、エプソムCを若干上回っている。

 こうして考えていくと、エプソムCは「SS系が苦手な重賞」でいずれかの指標のトップにくることはないのだが、総合的に見るとトップを争うものであると言えそうだ。

 SS系の成績が悪い重賞の中には「直仔は良かったのに後継種牡馬の仔が……」というものもあるが、エプソムCの場合は直仔に限っても連対率5.9%、複勝回収率40%だからそれにはあたらない。やはり系統丸ごと苦手と考えるしかない。

 ただ一方で、昨年ワンツーされてしまったのも事実である。しかも昨年は5頭しか出走馬がいなかったのにワンツーであった。全体の傾向と昨年の結果、その狭間でSS系が多い今年のエプソムCをどう予想するのか悩ましいところである。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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