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難解すぎるハンデ戦、マーメイドS

  • 2009年06月15日(月) 23時59分
 斤量条件が変わってレースの特徴ががらりと変わることはあるが、マーメイドSもそんなレースのひとつである。

 ハンデ戦化初年度の06年(京都施行)が9、3、11番人気の決着。07年は2、5、6番人気と大人しかったが、08年は12、10、5番人気と再び大波乱になった。

 ハンデ戦になった途端荒れだした……というと斤量差に注目したくなるが、よくよく考えるとそれだけの問題ではないようにも思えてくる。

 ひとつには、まず集まってくるメンバーそのものが違う。別定時代はGIホースや、GIで複数回2着しているような馬がけっこう出走しており、それらは好走することも多かった。一方で、創設初年度の1番人気馬サイレントハピネスなどはGI好走歴がなく、レースでも7着と敗れた。

「結局は馬の質」が正解だとすると、GI馬であるリトルアマポーラがここ3年の傾向を覆しても不思議ではない。

 単に斤量差では語れないと考えるもうひとつの理由は、「斤量差があるにしても、こりゃあねーだろ」という決着が多いことだ。

 06年11番人気3着のオリエントチャームはその次走が1000万条件5着だし、反対に昨年の勝ち馬トーホウシャインは1000万条件9着からの参戦。斤量が軽い方が有利には決まっているが、それだけを激走の根拠とするにはちょっと弱い。

 そもそも、ハンデ戦になってからまだ3回しか行われていないわけでもあり、そこに一定の傾向を見出すこと自体が間違っている可能性もある。そうまで考えだすと、どうにも考えがまとまらなくなってくる。

 最終的に結論を出してくれるのはオッズかもしれない。昨年はさすがに200万近い馬券になったが、3年前は9、3、11番人気決着のわりに3連単は30万円強。あまりに人気割れや波乱を期待する票が集まるようだと、その逆を、ということになってくる。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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