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函館スプリントSが札幌に移って!?

  • 2009年06月29日(月) 23時59分
 今年の函館スプリントS、最大の特徴は「函館じゃない」ということである。

 函館と札幌では芝の質も違うし、好走が期待できる馬の血統も当然違ってくる……といった話にもっていきたいところだが、実は函館スプリントSはあまり血統の偏りがないレースなのである。

 札幌と函館の開催順が変わり「函館スプリントS」になってから昨年までに12回が行われたが、馬券に絡んだ馬が31頭(1頭で複数回絡んだケースもあるので)に対し、種牡馬の名前は26種類出てくる。系統別で見ても、それほど極端に強い系統はない。

 そこで、対象を古馬1000万条件より上全体に拡大し、99年以降のデータで見てみる。すると、勝利度数ではミスプロ系、回収率ではサンデーサイレンス系、ロベルト系あたりが良いという結果になる。

 同じ条件で札幌について調べてみると、ミスプロ系は勝利度数ではトップを維持しているのだが、連対率や回収率といった指標は若干パワーダウンしている。SS系は複回収率がよいが、単穴が出ない。ロベルト系は全体的にトーンダウン。

 ではどんな系統が良いのかというと……実は積極的に推せる系統がない。連対率・回収率と単回収率・複回収率、両面で優れているという系統がないのである。

 函館はうっすら傾向があったのに重賞では傾向なし。それが傾向も見えない札幌に替わると……「特におすすめはありません」としか言いようがない。

 ただ、さすがにこれでは原稿にならないので、おまけの小さい傾向を2つほど。

 先述した条件で検索すると、函館では差しての複穴がそこそこ出るのに対して、札幌ではあまり出ない。また、函館では馬体重の軽い馬が複穴をあけることがあって複回収率に反映されているが、札幌ではそれがない。そのかわり、札幌のスプリント戦は馬体重のスイートスポットがはっきりしており、460kg以上500kg未満、その中でも重い側の半分(480〜499kg)の成績が特によい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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