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改めて1000直について考える

  • 2009年07月13日(月) 23時59分
 今週アイビスサマーダッシュが行われるコース、新潟芝直線1000m。創設当初は「どんな競馬になるのか?」「どんな適性の馬が来るのか?」と話題になったものだが、年を経るにつれて皆あまり深く考えなくなったような気がする。外枠有利ということだけが浸透して、他のセオリーは普及していない。

 ということで今回、改めて「1000直」についてデータを調べた。2歳戦は馬の能力でケリがついてしまう度合いが高かろうと考えてそれを除き、3歳以上の馬によって争われた全レースを対象にしている。

 1000m戦ということでスタート一発で決まってしまうのではとか、他のコースと違いすぎて一般に把握されている力量差が結果に出ないのではとか、いわゆる「出たとこ勝負」的なイメージが1000直にはあるかもしれない。しかし調べてみると、意外にきちんと能力差は反映されるという印象だ。

 まず、1番人気馬の連対率が高く、複勝回収率も86%と全馬平均(77%)より高い。2〜4番人気も83、90、90%で、やはり平均より高い。人気馬がその人気に応えているということだ。

 クラスの昇降が絡んだケースを見ると、昇級馬は複勝回収率が62%。降級で1000直を使った馬は複勝回収率97%(単は186%)。勝率・連対率だけでなく回収率でも降級馬が圧倒しており、格の差がちゃんと結果に出ている。

 前走も1000直、今回も1000直というケースを見るとその傾向は顕著だ。前走下級条件の1000直を勝って昇級でまた1000直を使った馬は、[1-6-4-32]で回収率は単5%・複34%しかない。また1000直で10着以下からまた1000直を使った馬は[0-2-4-88]でいまだ未勝利、6〜9着から同コースを使った馬も回収率では単29%・複44%と低迷している。

 これを見る限り、意外と格重視の保守的な予想をしたほうがよいという結論になる。アイビスサマーダッシュは開幕週になったので「前走も1000直」というデータは使えないが、今後の同コースについては参考になるはずだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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