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巴賞組の傾向変化

  • 2009年07月20日(月) 23時50分
 函館記念といえば、前哨戦である巴賞の着順がアテにならないことで有名……だったが、最近はそうでもなくなっている。

 例えば昨年は巴賞・1着同着だったフィールドベアーが、函館記念で1番人気に推され2着をキープした。同馬あたりは昔の函館記念だと典型的な「危険な人気馬」になったはずであり、傾向の変化がうかがわれる。

 なぜ傾向が変化したのか……というのは難しい問題だが、それは解明できない。でも馬券の正解に近づく考え方を作ることはできる。

 たとえばそのひとつが、巴賞組そのものが強くなっているという仮説だ。

 過去10年の函館記念で馬券に絡んだ馬をおおざっぱに分類すると、「巴賞組」と「それ以外」でだいたい半数になる。

 99〜04年の間は「それ以外」が強い時期だった。01年だけは「それ以外」組が全滅だったのだが、その他の年ではワンツーが3回、うち2回は3着も「それ以外」組(ただし00年は巴賞組の出走なし)。残り2回では1着馬と3着馬を出している。

 ところが近4年では連対馬が06年2着のエアシェイディだけ。05〜07年は3着馬が「それ以外」組から出ていたが、08年にはついに馬券に絡む馬が3頭とも巴賞組ということになった。

 過去10年の出走数を見ると巴賞組が54頭、「それ以外」組が90頭でおよそ1:1.8なので、昔の巴賞組が弱かったことはある程度理屈に合っているのだが、反対にここ数年の強さはかなりのものということになる。

 ここ4年は巴賞組の出走数が6、7、6、7頭と安定しており、過去の6頭出走・7頭出走時と比較してもOP・重賞実績のある馬が増えている。巴賞組のメンバーが充実したことにより2走連続で好走するケースも出てきていると考えると、冒頭の傾向変化にも説明がつく。いずれにしても、巴賞組には注目したい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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