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追込馬の過剰人気に注意

  • 2003年02月10日(月) 18時30分
 いつもなら東のメイン・ダイヤモンドSを予想するところだが、今週は馬券的な面白さで勝る西のメイン・きさらぎ賞を予想してみたい。

 「分からないときは前から買え」
 競馬教室などで馬券の買い方について説明する機会があったとき、私がよく口にする自家製の競馬格言である。

 TARGET Frontierなどのソフトを使ってデータを閲覧・分析しているファンの方は既に御存知と思うが、脚質別成績というものを取った場合、ほとんどのコースにおいて、逃げ馬(プロフィールとしての脚質ではなく、実際にレースで逃げた馬)の単複回収率というのはたいていプラスになるものであり、連対率・回収率とも逃げ馬>先行馬>差し馬>追込馬となるものである。

 このうち、逃げ馬と先行馬の立場が逆転することはたまにあるが、先行馬と差し馬の立場が逆転することはまず無い。

 差しや追込は、単にペースについていけない馬までカテゴライズされてしまうという不利があるため連対率も回収率も低くなってしまうわけだが、しかし、それだけが理由ではない。逃げ・先行馬がほとんどのケースで80%を超える回収率をマークし(しかも100%を超えることも普通にある)、トータルの控除率が一定に保たれている以上、差し・追込タイプの馬券が基本的に低い期待値になっていることは明らかなのだ。

  そこできさらぎ賞。マッキーマックスが人気だろうが、同馬の前走は、典型的な「豪快に追い込んで連対すると強く見える」というやつで、その次のレースというのは過剰人気になりやすく、結果としての勝ち負けは別としてオッズ的には損な選択肢になるはずである。

 しかもきさらぎ賞は人気サイドの馬でも「差し遅れ」がよくあるレース。ならば、勝ってなぜか人気が下がる立場のサイレントディールの方が前で競馬できるぶん、馬券的には魅力がある。シンザン記念組以外から探すにしても、ネオユニヴァースのように、すっと好位につけるセンスのある馬を重視したい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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