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東京記念展望&オーバルスプリント回顧

  • 2012年09月18日(火) 18時00分
◆東京記念展望
(9月19日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SII 2400m)

東京記念は、昭和39年(東京オリンピックと同年秋)創設、今年第49回目を迎えるTCK伝統レース。距離2400m、春・大井記念=2600mと並ぶ、現在稀少な長距離重賞で、かつてロッキータイガー、チャンピオンスター、コンサートボーイ…今でいうGI級がステイヤーらしい“重厚な強さ”をみせてきた。

 しかし何度か書いたこと。近年ステイヤーは競馬界、その“主役”から“個性派”へと立場を移し、加えて南関東馬の戦力自体も地盤沈下が止まらない。現在、東京記念の価値とはいかに。昭和60年を思い出す。前述ロッキータイガーは、好敵手テツノカチドキと壮絶な叩き合い、ゴール際アタマ差制して次のステップへ進む権利を得た。

 次のステップとはジャパンC。その国際GIで、ロッキータイガーは皇帝シンボリルドルフを鋭く追い詰め、鞍上・桑島孝春とともに万雷の拍手を浴びている(1.3/4馬身差2着)。今は昔、“競馬時代劇”のようなお話かもしれない。ただそれでも…とはやはり思う。東京芝ジャパンCで好勝負はともかく、地方主導のJBCクラシック、その確かなトライアルにはなってほしい。昨年優勝テラザクラウドは本番5着。期待するのは、やはりもう一段上の結果だ。

(1)…上位拮抗。1番人気[4-2-0-4]、2番人気[0-3-2-5]、3番人気[5-0-2-3]。3番人気の強さは異色ともいえるが、ルースリンド、テラザクラウド…など、1番人気でも不思議なかった。

(2)…大井VS船橋。船橋=5勝、2着6回、大井=5勝、2着4回とまったく互角。ただし3着には川崎3頭が食い込んでいる。ワンツースリーは少なく、16年大井(優勝シャコーオープン)の1度だけ。

(3)…リピーター。確率は4勝、2着1回、3着1の4歳馬だが、8歳=2勝、7歳=1勝など、高齢馬が再びブレイクする傾向もある。ルースリンドは20〜22年、1着、1着、2着。経験がひとつモノをいう。

(4)…大井記念と連動。同年春「大井記念」優勝馬[2-1-1-2]、2着馬[2-2-0-1]。万全で臨む限りやはり強い。逃げ=1、先行=6、差し=9、追込=4。流れを見つつじっくり乗れる差し馬有利。

※データ推奨馬
 ◎ピサノエミレーツ…大井記念2着。当時大外から上がり39秒4、メンバー中最速の脚を使った。JRA4勝、盛岡1勝、すべて千七以上であげたステイヤー。7歳馬ながら父ブライアンズタイムなら、もう一段グレードアップが期待できる。大井中〜長距離にフィーリングが合う町田騎手。

 ☆       ☆

◎トーセンルーチェ 57張田
○ピサノエミレーツ 56町田
▲スマートインパルス 57御神本
△スターシップ 57石崎駿
△ナムラブレット 56和田
△カキツバタロイヤル 57石崎隆
△ボンネビルレコード 56的場文
 マズルブラスト 57戸崎
 ラストキング 56早田功
 
 トーセンルーチェを信頼する。今春「金盃」→「大井記念」とタイトル2つ。さらに「ダイオライト記念」2着、「帝王賞」6着と、全国レベルにもメドをつけた。半兄フリオーソ。絶対能力の高さはもちろん、父が変わったぶん(ブライアンズタイム→マリエンバード)、パワーとスタミナ、ひと味違う個性を持ち、とりわけ前々走大井記念=2600mなど、道中出入りの激しい展開を中団インで泰然と動かず、まさしく威風堂々の差し切りだった。

 円熟のテクニシャン、同馬と抜群に呼吸が合う張田J。いずれにせよ今後青写真は、JBCクラシック→東京大賞典とはっきりしている。どう乗ってどう勝つか。この相手で別定57キロもきわめて有利だ。

 ピサノエミレーツ本線。JRA5勝、実績は◎ルーチェ以上といってよく、現実に大井記念2着は上がり39秒4、メンバー中最速の脚を使った。前走盛岡遠征「せきれいS」快勝も、軽い相手にせよ勢いの表われ。再びルーチェ目標の展開で乗りやすい。スマートインパルスは距離万能。

 好調時は自在に動いて勝負強く、今回御神本J=8戦6勝のコンビにも、改めて注目できる。スターシップもJRA実績(中〜長距離6勝)、転入後「オールスターC=川崎2100」快勝からは好勝負だが、経験の浅い大井コース(1戦5着)、もとよりジリ脚のイメージがあり、一枚割り引いた評価とした。

 実戦向きのしぶとさでナムラブレットが穴。古豪ボンネビルレコード、マズルブラストは、いざ馬券となると今さら…の感があり、それなら一昨年このレース3着カキツバタロイヤル。大ベテラン、かつて重賞請負人といわれた石崎隆之Jの手綱にも興味が大きい。

◆オーバルスプリント回顧
(9月13日 浦和 サラ3歳以上 別定 交流重賞 1400m良)

△(1)アースサウンド 1分28秒0
△(2)トーセンアレス ハナ
▲(3)デュアルスウォード クビ
○(4)ダイショウジェット 2.1/2
△(5)スエズ
 …………………
 (6)ケイアイライジン
◎(7)ピエールタイガー
△(10)トーセンピングス

単400円  馬複2760円  馬単4750円  3連複4170円  3連単21750円

 アースサウンドが激戦を競り勝った。抜群のスタート。しかしすぐ内枠のピエールタイガーが押して譲らない先行態勢、そこで鞍上はあえて競らず、絶妙の呼吸で馬をなだめた。1〜2コーナーから向正面、終始スムーズな外め2番手。今日の勝因は結果的に好騎乗が大きいだろう。35秒3〜48秒0、重い馬場としては厳しいペース。全体にゆとりのなかった(特に精神面で)ピエールは直線入り口で脚を失くし、代わってごく自然流に先頭を奪取できた。

「状態のよさはパドックで乗ったときから感じていたし、もともと頭のいい馬で初コースも苦にしない。道中2番手も描いた通り」(後藤浩騎手)。同騎手は5月に落馬負傷(NHKマイルC)で戦列離脱、9月8日カムバックしたばかりだけに嬉しさひとしお。勝利インタヴュー、安堵と高揚感が入り混じる、アスリートらしい笑顔が印象的だった。

 アースサウンドは、父イエスイッツトゥルー(ラジャハバ産駒・米BCジュベナイル優勝)の5歳牝馬。JRA千ニ〜千三5勝、一昨年川崎GI「全日本2歳優駿」、ラブミーチャンの3着がある。もとよりスピードは一級品。ただ筆者イメージは、追って味がない早熟タイプ…で、今回△(予想)に落としてしまった。認識不足、見込み違い。逆にいえば同馬は久々の後藤J騎乗(およそ2年ぶり)。ひとつ新境地をみせたとも考えられる。

 もっとも、勝ち時計=1分28秒0は重い馬場にしてもほめられず(同日C1ハネムーンゴシップ=29秒0)、レース自体低レベルに終わったうらみは否めない。「年齢的なものかピュッと行く感じは薄れたが、反面終い我慢がきくようになってきた。今後は千四〜千六を視野に入れて考えます」(和田正道調教師)。となると、11月5日川崎JBCレディースが目標か。千六で相手強化。アース自身にさらなるパワーアップがあるかどうかだ。

 2着トーセンアレス。今回転入初戦、千四も忙しいと思えたが、エンジンかかって大外からの伸びは底力を感じさせた。今後どういうローテになるか。JRA戦歴(千八〜二千百・5勝)からは「浦和記念=千九」あたりにイメージが沸いてくる。3着デュアルスウォードも、直線狭いインを縫うように伸びて存在感を示した。こちらは典型的な短距離の切れ者。父デュランダル、4歳の若さからも良化しだいで金星、大駆けがあるだろう。

 4着ダイショウジェットは4か月ぶり。向正面から外めを追い上げ昨年覇者らしい見せ場は作ったものの、そこで終了。今回はいかにもステップが辛かった。期待したピエールタイガー7着。思い切った徹底先行は納得だが、道中首を上げ加減のフォームで終始リズムの悪い競馬にみえた。前述通り勝ちタイムなどきわめて平凡。好位からジリ貧のトーセンピングスも含め、この2頭は能力だけ走れていない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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