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日本テレビ盃展望&東京記念回顧

  • 2012年09月25日(火) 18時00分
◆日本テレビ盃展望
(9月26日 船橋 サラ3歳以上 別定 JpnII 1800m)

 日本テレビ盃は平成10年統一G移行、今年実質第15回目を迎える。その優勝馬は大半が日本ダート史上有数の名馬と断言でき、改めて数頭並べてみれば、アブクマポーロ、アグネスデジタル、スターキングマン、シーキングザダイヤ、そしてフリオーソ、スマートファルコン。紛れが少なく、力がそのまま反映する“船橋1800m”らしい濃密な歴史を重ねてきた。

 実際例年レースレベルはきわめて高く、例えば超ハイペースを3〜4角フリオーソが捲り切り、それをボンネビルレコードが差した08年など、記者競馬観戦歴40年、JRA地方問わずベストレースと呼びたい感さえある(1分47秒8=レコード)。だから実質上は“GI”だ。

 ただ今年は…正直そう書かねばなるまい。牡馬フリオーソ、牝馬クラーベセクレタ、対JRAを思うと、現南関東この二枚看板しかいない現実。前者はまだ体調が整わず、後者はめざす目標が違っている(レディスフレリュード→JBCレディース)。出走リストをみて、薄々感づいていたことながら失望した。交流競走とはやはり、JRA対地方(南関東)、その図式があってこそ存在価値を持ってくる。

 例えばナイキアディライト。同馬はこのレース2勝、1つは南関同士(インフルエンザ禍)で意味が薄いが、04年4歳時はストロングブラッド、アンディオール、当時のJRA実力派をごく自然流の先行で完封した。今回地方側の期待と夢はGI馬マグニフィカ復活に絞られる。同型不在、単騎逃げなら、いよいよ正念場と考えたい。

(1)…堅い決着。過去9年(南関東同士の07年を除く)、1人気[5-3-0-1]、2人気[3-2-3-1]、3人気[1-3-4-1]。3連複馬券は、前6年すべて1番人気という驚くべき事実がある。

(2)…JRA対船橋。JRA=6勝、2着6回、3着5回と優勢だが、船橋=3勝、2着3回、3着4回もほめられていい。川崎、浦和は不振で、他地区地方馬も[0-0-0-38]と馬券の対象になっていない。

(3)…年齢広範。5歳=3勝、2着2回とリードだが、6歳=3勝、2着1回、4歳=2勝、2着2回もほとんど差がない。逃げ=4、先行=8、差し=5、追込=1。高速決着のケースが多く、スピード型有利。

※データ推奨馬
 ◎マグニフィカ…近況のイメージからは厳しいが、現実にGI優勝は今回メンバーで同馬だけ。円熟期を迎える(はず)の5歳牡馬で、管理する川島正行調教師はこのレース、通算3勝(交流移行)をあげている。開催前の雨が大きく味方しそうなスピード型。

 ☆      ☆

◎ランフォルセ 57横山典
○ソリタリーキング 57内田博
▲サイレントメロディ 56戸崎
△マグニフィカ 57的場文
△ダイショウジェット 56柴山

 ランフォルセに再び絶好の舞台が巡った。結果尻すぼみ(かしわ記念4着・帝王賞8着)に終わった今春だが、同馬の能力基準は3月船橋・ダイオライト記念とイメージする。当時重苦しい馬場をハイラップで飛ばしたフリオーソを自ら競り落とし、なおかつ追走ワンダーアキュートを突き放す強い内容。以後2戦凡走はGIの壁というより、自身力走の反動が出たうらみがあり、そう考えると今回3か月の充電は大きなプラスになるだろう。千七〜千八=7勝、昨夏函館レコードを樹立したほどのスピード能力。マグニフィカの逃げを想定すれば、その2番手で乗りやすい。

 ソリタリーキングは王者ヴァーミリアンの半弟。なるほど息の長い末脚は血統通りで、今春2連勝もオープン特別→GIIをいきなり連破だけに価値がある。内田博J起用。夏場全休(4か月ぶり)ながらむろん全力投球だ。サイレントメロディもソリタリーと同じJRA7勝。この2頭は前走・東海Sでも好勝負を演じており(首・3/4差)、どうにも比較が難しい。内田博VS戸崎圭太。ひとまずファンを呼べる、熱くさせるステージになったとはいえるだろう。

 地方馬、唯一脈があるマグニフィカは、やはり展開。前々走・京成盃グランドマイラーズ快勝で復活を示したが、続くサンタアニタT大敗で再び評価が揺らいでいる。「外め2〜3番手が理想。そういうポジションになれば…」と川島正行調教師。ただ記者私見では、今回目標になる逃げ馬(ペースメーカー的な)が存在しない。一気に主導権を取り切ってさあどうか。こんなとき的場文Jは、何かやってくれそうなムード(思い切り)があって食指が動く。現実に時計上、京成盃=1分38秒9、かしわ記念=ランフォルセ38秒6からは、まったく歯が立たないレベルでもない。少なくともJRA勢の一角崩し。3連勝馬券を面白くさせてほしいとは痛切に思う。

◆東京記念回顧
(9月19日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SII 2400m不良)

▲(1)スマートインパルス 2分35秒4
△(2)スターシップ 3/4
△(3)カキツバタロイヤル 1
◎(4)トーセンルーチェ 1.3/4
△(5)ボンネビルレコード 4
 ………………
 (6)マズルブラスト
 (7)ラストキング
△(12)ナムラブレット

○  ピサノエミレーツ 出走取消
   ロイヤルマコトクン 出走取消

 単1060円  馬複4160円  馬単10510円  3連複9720円  3連単84260円

 スマートインパルスが、好位キープから直線力強く差し切った。二千四百=2分35秒4、数字上は平凡としかいえないが(過去10年中8位)、その勝ちっぷり自体、いかにも同馬らしいしぶとさ、勝負根性が感じられた。3〜4コーナー、絶好の手応えで先頭に立ったマズルブラストを目標に、一歩一歩確かな伸び。ピュッという切れはないものの、反面いったん並んだ相手にけっして譲らないしたたかさ。

「長距離向きの感触は以前から持っていました。とにかく道中スムーズに…と。抜け出してからは自信が持てた。何かが(外から)くれば、必ずもう1度伸びてくれる」(御神本騎手)

 同騎手は昨暮れ勝島王冠、直前レースで落馬負傷、急きょ乗り替わった経緯がある(A・ムンロ騎乗で快勝)。勝利インタビュー、満足感と安堵が入り混じる笑顔にも説得力があった。

 スマートインパルスは南関東生え抜き(船橋デビュー)、牡5歳の芦毛馬。3歳時東海移籍などもあり出世は少し遅れたが、昨夏三坂盛雄厩舎から再生し、以後B3→B2→B1→A3とノンストップ。前述の勝島王冠=千八をカキツバタロイヤル、トーセンルーチェらを相手に制している。

 今季は8月サンタアニタTから始動(6着)。叩き2戦目で力通り、期待通りの結果を出した。

 スパイキュール×タマモクロスの血統背景。記者自身イメージは母の父タマモクロスで、同馬は天皇賞・春秋連覇、当時オグリキャップの好敵手でもあった。実績、レベルは正直比較にならないが、息の長い末脚と接戦に強いガッツというもの。個性を受け継いだ…とはやはり思う。

「デキのよさで内心期待していたが、今日はジョッキーがうまく乗った。馬自身も今後さまざま可能性を秘めています」(三坂盛雄調教師)

 次走は10月24日マイルグランプリ=大井千六が当面目標とコメントされた。

 スターシップ2着。中団からじわりと押し上げ前に迫る作戦はイメージ通りで、結局同馬の場合“鋭さ”がひと息足りない。地力確かなステイヤーだが、次へ展望となると適条件の少ない番組上、難しい感もある。

 3着カキツバタロイヤルはベテラン石崎隆J騎乗でソツのないレースぶり。8キロ増、同馬としては余裕を感じさせる馬体で、この結果は悪くない。距離、展開ともオールマイティ。こちらもマイルクランプリが照準と聞く。

 単勝1.4倍、記者自身も堅い中心と考えたトーセンルーチェ4着。道中イン5〜6番手、理想的な展開ながらすでに直線入口で脚がなかった。

「ずっとインにササッていたし、仕掛けてからの反応も悪かった」(張田騎手)

 もとより鉄砲駆けのタイプでもなく、ひとまず次走一変、JBCクラシックの期待をかけたい。記者私見では、パドックの馬体、気配など文句なかった。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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