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東京盃展望&日本テレビ盃回顧

  • 2012年10月02日(火) 18時00分
◆東京盃展望
(10月3日 大井 サラ3歳以上 別定 JpnII 1200m)

 東京盃は、平成8年から交流GII移行。13年にGI・JBCスプリントが創設され、その初年をノボジャックが優勝した。父フレンチデピュティ、速さと強さ、両面を備えた大型馬で、同馬は続く本番JBCもブロードアピール以下に完勝。以後交流G(地方通算8勝)の申し子…というべき大活躍で一時代を築いている。

 それにしてもと思う。東京盃は、年を追うごとにその顔ぶれがグレードアップ、豪華絢爛になってきた。きらきらした馬が多い。きらきらした馬とはつまり“旬”ということだが、例えば今回のメンバー。JRAはセイクリムズン筆頭に大半が絶頂期といってよく、そこに笠松ラブミーチャン、園田オオエライジン、個性あふれる馬が挑戦する。地元の雄であるジーエスライカー、ブリーズフレイバーあたりに重い印が回らない。

 昨年も書いたこと。先週の日本テレビ盃は寂しかった。いやソリタリーキング、サイレントメロディ、十分強いレースをみせたし、マグニフィカの健闘も大きく光る。ただ前日前夜、さあ馬券を買おうと新聞をながめたとき、正直ワクワク感が沸いてこない。勝負圏に入る馬がごく数頭に限られ、そうなるとあとは馬券の買い方(種類の選択とか購入額)を考えるしかなくなってしまう。伸びない売り上げ。船橋競馬関係者の苦悩はいかに。日本競馬界全体の短距離志向(世界的すう勢か)ももちろんある。ただ少々偏りすぎだとはやはり思う。東京盃の隆盛と、日本テレビ盃の斜陽。つい先週のことだけに、この落差はなおさら厳しく感じてくる。

(1)…上位拮抗。1番人気[3-2-1-4]、2番人気[2-2-0-6]、3番人気[3-0-2-5]。大波乱はないものの、人気馬同士すんなりとも収まりにくい。昨年は、スーニ(4番人気)→ラブミーチャン(7番人気)。

(2)…JRA優勢。JRA=7勝、2着7回。そのワンツーが5度あり、絶対優位は動かない。次いで大井3勝、2着1回。20年フジノウェーブ(4人気)など、忘れたころに大駆けの傾向か。他は船橋、東海、2着が1度ずつ。

(3)…性齢広範。5歳=4勝、2着2回と優勢だが、6歳=2勝、2着2回、7歳=2勝、2着2回と、ほとんど差がない。牝馬はアインアイン優勝、メイショウバトラー、ラブミーチャン2着。3歳馬も17年アグネスジェダイが勝っている。

(4)…好位差し。逃げ=3、先行=3、差し=12、追込=2。差し馬優勢だが、4コーナー5〜6番手以内がやはり条件。ステップ別では、前走・クラスターC出走組のアベレージがいい。内田博幸騎手が2勝。

※データ推奨馬
 ◎タイセイレジェンド…前走・クラスターC圧勝、千二通算[2-1-1-0]。まだ伸びしろのある5歳馬で、手の合う内田博Jが騎乗する。好位から差す競馬も実証済み。GI馬を次々と輩出する父キングカメハメハにも勢いを感じる。

 ☆       ☆

◎ヤサカファイン 56有年
○セイクリムズン 57岩田
▲タイセイレジェンド 56内田博
△セレスハント 56福永
△ラブミーチャン 54濱口
△テイクアベット 56幸
△ジーエスライカー 56坂井
 ティアップワイルド 56石橋
 オオエライジン 56木村健
 ブリーズフレイバー 56繁田
 スターボード 56戸崎
 ゴールドキャヴィア 52御神本
 コウギョウダグラス 56柏木

 地元大井・ヤサカファインを狙った。ひいきと願望は確かに入るが、特に奇をてらったわけでもない。同馬は一昨年の東京盃2着。当時絶頂期にあったサマーウインドを鼻差まで追い詰め、千二1分10秒6(東京盃・歴代3位)をマークしている。

 スーニ、ミリオンディスク、さらにナイキマドリードに先着だから中身が濃い。以後ひと息順調に使えず、加えて昨春からおよそ1年の長期休養。しかし今季3戦目の前走・アフター5スター賞5着に、ようやく復活の手応えが感じられ、本来の能力、個性を考えると、今回まったく人気薄(おそらく)はむしろ不思議だ。大井千二7勝、いわゆる究極のスペシャリスト。少なくとも馬券的妙味は十分と思う。

 セイクリムズンは今季重賞4連勝。それもスーニを直接対決で3度下し、新スプリント王を確定させた。いかにも円熟期という速さと強さ。同馬の場合ベスト千四、次走川崎・JBCが大目標と思えるが、今の勢いと安定性、ごく素直には最有力でいいだろう。セレスハント、タイセイレジェンドは今夏、北海道スプリント、クラスターCで1勝1敗。予想上▲タイセイは内田博Jの腕を加味したものだが、大井向きのタフさ、しぶとさとなるとセレス上位の印象もある。

 ラブミーチャン、テイクアベットの比較も同様に難しい。直前佐賀サマーCSは逃げたテイク圧勝だが、今回ジーエスライカーら新たな同型も加わり、完全燃焼の展開になるかどうか。大井実績があるティアップワイルド、園田の雄オオエライジン、3歳の成長株ゴールドキャヴィア…。しかし前述通りきらきらした馬が何とも多く、そこまで印が回らなかった。

◆日本テレビ盃回顧
(9月26日 船橋 サラ3歳以上 別定 JpnII 1800m重)

○(1)ソリタリーキング 1分51秒4
▲(2)サイレントメロディ 3/4
△(3)マグニフィカ 1.1/2
△(4)ダイショウジェット 1.1/2
◎(5)ランフォルセ 1/2
 ………………
(6)トーセンゴライアス
(7)ダブルウェッジ

単190円  馬複300円  馬単450円  3連複1840円  3連単4250円

 ソリタリーキングが完璧に差し切った。前を行くランフォルセ、マグニフィカをじっくり見据えた3番手。千通過60秒9、軽い馬場のGIとするとスローに近い流れを、まるでカカることなく終始スムーズ。直線あと1F、GOサインと同時に見事に弾けた。

「久しぶりに乗ったけれど(一昨年レパードS、3着以来)、今のこの馬の力があれば小細工なしで正攻法。イメージ通り動いてくれたし、いいレースができました」(内田博幸騎手)

 最後サイレントメロディに3/4馬身差。千八1分51秒4も数字上平凡ながら(昨年スマートファルコン=50秒6)、馬自身まだまだ手応えを残している。必要十分、今日のところはそんな感じか。帝王賞Vのゴルトブリッツ死亡は残念であり不幸だった。がしかし、近年のJRAダート界は層が厚い。中〜長距離の本格派が、ある意味絶好のタイミングで現われた。

 ソリタリーキングはこれで19戦8勝、重賞は前述・東海Sに続き2つ目の勝利。兄ヴァーミリアン、サカラート。言わずもがなダート王者の系統で、パドックで見た同馬はヴァーミリアンを少し小柄にした印象だった。さして威圧感はないものの、反面力まず気負わず周回を重ね、鞍上が跨ったところで瞬時に気合が乗ってくる。いうところの実戦派か。実際レースぶりもその通りで、道中ムダとか隙がいっさいない。

「心身とも成長している。スタートからゴールまで安心して見ていられた。馬自身が、自分の走りに何か自信を持ってきたように感じます」(石坂調教師)

 次走は11月5日川崎・JBCクラシック=二千百と明言された。違父兄(エルコンドルパサー)ヴァーミリアンは、そのJBCクラシック3連覇。しかし大井→園田→名古屋、川崎2勝は川崎記念だから、同じ石坂厩舎、一つ悲願でもあるのだろう。

 サイレントメロディ2着。スローにしては立ち遅れた感じの道中5番手。直線外から強烈に伸びたものの、結果時遅しの結果に終わった。切れ、瞬発力はソリタリーとほぼ互角。ただ2コーナー〜向正面、首を上げるシーンもあり、器用さ、競馬センスの点で今回勝ち馬に見劣った。

 マグニフィカ3着。ランフォルセの逃げを徹底マーク、直線いったん先頭に立つ見せ場があった。残念なのか、健闘なのか、言葉に迷う。

「よく走ったけれど、やはりJRA馬相手には切れ負けする…」。的場文Jのコメントも、満足感とため息、合い半ばだろうと推測する。それでもマグニフィカ自身復調、手応えをつかんだことは間違いなく、今後は統一Gの貴重な戦力として期待できる。

 ランフォルセは逃げて失速。ひと息入れて7キロ増、もともと好馬体も含め、充電完了と判断したが、結果ふがいない競馬だった。わからない。ただ記者的には、同馬は差して鋭さ全開のイメージがあり(昨夏函館マリーンS・千七レコードなど)、次走地方G参戦なら、ひと味違うレースを期待する。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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