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JBCクラシック、スプリント、レディスクラシック回顧

  • 2012年11月09日(金) 18時00分
JBCクラシック、スプリント、レディスクラシック回顧

◆JBCクラシック(11月5日 川崎11R サラ3歳以上 定量 JpnI 2100m良)

△(1)ワンダーアキュート 2分12秒5
○(2)シビルウォー 5
▲(3)トランセンド 3
◎(4)ソリタリーキング 3
△(5)テスタマッタ 3/4
 …………………
△(7)アートサハラ
△(13)マグニフィカ

 単1050円  馬複2110円  馬単5410円  3連複1980円  3連単22970円

 ワンダーアキュートが驚くべき強さで圧勝した。いや、昨暮れ東京大賞典=大井二千、スマートファルコンと一騎打ち2着(鼻差)からは“驚く”結果でもないのだが、今春意外なスランプに陥り、およそ半年の放牧明け、正直半信半疑の状況だった。ただ今回現実に“5馬身差”のワンサイド。道中好位のインで脚をタメ、直線それこそ別次元の脚を使った。底力があること、本質的に中〜長距離型であること。二千百=2分12秒5、昨年ファルコンが樹立したレコード=10秒7はさておき、当時より低くみて1秒かかる馬場状態で、この時計はやはり別格というしかない。

「返し馬のときから状態のよさ(充電効果)が伝わってきたし、あとは自分がうまく乗れれば…」(和田竜二騎手)

 コメント通り、パドックなどイレ込み、発汗の様子もなく、いつになくリラックスした雰囲気が感じとれた。これからのローテは昨年同様、JCダート→東京大賞典

「装鞍所からコースまで、こんなに落ち着いていたのは初めて見た。この成長があればどこへ行っても…」(佐藤正師)

 再び大きな可能性が広がった。

 シビルウォー2着。後方から一気に捲りあげる戦法はコースを熟知した内田博Jならではと納得でき、自身ほぼ完全燃焼の内容だろう。この夜は相手が強かったとしか言葉がない。トランセンドは近走の印象通りひと息ダッシュが鈍くなった。逃げたマグニフィカは3コーナー手前早々と潰したものの、そこですでにおつりがなく、後続2頭にドッとこられた。同馬の場合、今後評価が難しい。ダート強者らしく再びパワーアップがあるか、あるいは緩やかな下降線に向かうのか。

 ソリタリーキングは道中4〜5番手、ポジション、仕掛けどころ(向正面過ぎ)も絶好といってよく、結果的に力負け。記者予想上は、血統イメージ(ヴァーミリアンの半弟)に溺れてしまった、決め込んでしまったことが、今思うと早計だった。テスタマッタは本質的にマイラーで、GI中〜長距離となると、折り合い、持久力に不安がある。アートサハラは現時点でスピード面に進境がみられない。マグニフィカもいったんトランセンドに並ばれてからは打つ手なし。何とも収穫の薄い競馬に終わった。

◆JBCスプリント(川崎10R サラ3歳以上 定量 JpnI 1400m良)

△(1)タイセイレジェンド 1分26秒6
◎(2)セイクリムズン 3
△(3)スーニ 2
 (4)セレスハント 1/2
△(5)ダイショウジェット 2
 ………………
△(6)オオエライジン
▲(7)ナイキマドリード
○(9)ラブミーチャン

単470円  馬複260円  馬単810円  3連複870円  3連単4900円

 タイセイレジェンドの勝因は、迷いのない徹底先行に尽きるだろう。36秒7〜48秒0、かなり強烈なラップを踏み、しかしいったん行き切ってしまえば、最後二の脚、三の脚を伸ばしてくる。

「クラスターC(盛岡千m・5馬身差圧勝)で、能力と個性はわかっていた。とにかくスタートに集中して、あとは馬がどう頑張ってくれるか…」(内田博J)

 ゴールと同時にガッツポーズが出たのは、ひとこと会心の騎乗ゆえと納得できる。川崎千四=1分26秒6レコード。雨で軽くなったにせよ、前述通りそこまでの高速馬場とも思えず、おそらくこの記録(時計)は、長く川崎競馬史上に残るだろう。同馬の場合、父キングカメハメハから“速さ”“爆発力”の部分を、ストレートに受け継いだタイプと判断する。

 セイクリムズンは、スタートの一瞬前にノメり、想定したポジションよりやや後ろの位置(6〜7番手)になった。それでもゴール寸前スーニを捕えた勝負強さは特筆もので、ごく客観的に“立派な2着”と断言できる。緩急自在、どっしり危なげないレースぶり。ダート短距離G、その主役を長く張れるイメージだろう。

 3着スーニは、秋〜冬に強いタイプか行きっぷりが一変した。本来じっくり構え末脚全開がベストだが、道中この反応が出てくればもうひと花も十分描ける。セレスハント、ダイショウジェットは、上位3頭が力通り走ってしまえばこんなものか。

 ラブミーチャンは2番手からジリ下がり。思い当たる不利もなく、この敗因は現時点で特定しづらい。好位から伸びを欠いたオオエライジン、追走で脚があがったナイキマドリード。能力的にはもう少し走っていいと思えるのだが。

◆JBCレディスクラシック(川崎11R サラ3歳以上牝馬 定量 1600m良)

○(1)ミラクルレジェンド 1分40秒7
◎(2)クラーベセクレタ 1.1/2
 (3)サクラサクラサクラ 3/4
 (4)プレシャスジェムズ 3/4
△(5)サトノジョリー 1.1/2
 ……………………
 △(6)エーシンクールディ
 ▲(8)クィーンズバーン
 △(9)アースサウンド

 単140円  馬複150円  馬複240円  3連複6680円  3連単16280円

 期待していた形の“一騎打ち”とはならなかった。ミラクルレジェンド完勝に対し、クラーベセクレタは最後胸をなでおろすような2着確保。そのせいかレース全体低調になってしまったうらみがあり、実際千六1分40秒7も軽い馬場にしては平凡だった(スパーキングLC・1分39秒3)。いずれにせよ千通過61秒8、スローに近い先行馬ペース。逃げたサクラサクラサクラがあわや2着という流れだから、勝者ミラクルにしても今回は完全燃焼にまで至っていない。

 とはいえミラクルレジェンドは記者個人的に好きな馬だ。切れ味があること、勝負強いこと。そのフットワークにゴム毬を思わす弾力があること。イメージはロジータに少しダブる。小柄でも走法自体は大跳びだから、やはり大井外コース、千八〜二千あたりがベストだろう。今後どんなローテーションを組んでくるか興味が大きい。仮に陣営が“牝馬枠”を飛び越す戦略なら、暮れの「東京大賞典」、さらに来季「帝王賞」再チャレンジもあると思う。そう考えると、今回勝利は小手調べでありダメ押しだった。

 クラーベセクレタは前走(レディスプレリュード大敗)より13キロ減ときっちり絞って出走した。ただ前半反応が鈍い感は依然残り、この夜も3〜4コーナーからおっつけ通し。2着確保は結果的に戸崎J、必至であり渾身の騎乗とみえた。能力レベルは高いものの、気性面にどこか危うさを抱えている。3着以下は展開と位置取り、さらにコース適性で結果が大きく変わりそうだ。中ではサトノジョリーにフレッシュな魅力がある。今春関東オークス2着ながら、今回は回避馬待ちで補欠出走。道中もまれる展開を終いしぶとく踏ん張った。同馬は本質的に中〜長距離が合いそうだ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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