■東京大賞典(12月29日　大井　サラ3歳以上　定量　JpnI　大井2000m)

　有馬記念から中5日、土曜日は東京大賞典になった。ファン動員、売り上げ、主催者サイドにとってはむろん絶好のカレンダーで、実際、同パターンだった07年は、25億20万7900円(大賞典1レースのみ)、売り上げ新記録を達成している。ほとんどの方が年末年始休暇に入ること。有馬記念が12月23日で、そこから25日のペイデイ(給料日)が挟まること。馬券購買欲が高まって当然か。久々に大井競馬場に出かけライヴ観戦…そういうファンの方も多いと思う。

　ともあれその07年、レースの中身(結果)はどうだったか。改めてファイルをめくり、なんとも複雑な気分になった。ヴァーミリアン(単勝1.3倍)が中団から豪快に差し切り、4コーナー先頭のフリオーソ2着(4馬身差)、メイショウトウコンがさらに5馬身差の3着。馬単13→11は590円だから、その時点できわめて順当とふり返れる。

　記者“複雑な気分”と書いたのは、それから5年、今年もフリオーソが出走し、そして同馬以外の地方(南関東)馬は勝ち負けに関し、正直カヤの外と思えること。8歳フリオーソの強さ、逞しさ(とりわけ生命力のようなもの)はつくづく凄い。しかし反面地方側、全国区級がまったく育っていない事実がある。いつもの繰りごとになってしまう。

　交流ダートGの意味(少なくともファンの夢)とはいったい何か。JRA対地方、対決図式がなければ、そのうち誰もが興味を失う。来年こそ、再来年こそ…とはやはり思う。東京大賞典の歴史。フリオーソはもちろん、平成10年アブクマポーロ、16〜7年アジュディミツオー。JRA一線級を堂々と打ち負かした名馬の存在もあったのだから。

(1)…おおむね順当。1番人気[4-2-1-3]、2番人気[3-3-2-2]、3番人気[2-2-2-4]。大きな波乱はほとんどなく、1人気が敗れてもおおむね2〜3人気が補完する。昨年は1→3人気で、馬単290円。

(2)…JRA優位。JRA=8勝、2着8、3着10。そもそも地方馬で馬券の対象になった馬が、アジュディミツオー、フリオーソ(ともに船橋)、もう1頭コアレスハンター(大井)しか存在しない。JRA勢ワンツースリーが5度。

(3)…意外に新鋭。4歳が最も強く、過去10年3勝、2着3。6歳、5歳もそれぞれ3勝、2勝と悪くない。ただ3歳もイメージ以上の活躍で、ゴールドアリュール、アジュディミツオー優勝。前述フリオーソも07年2着だった。

(4)…先行型。逃げ=5、先行=6、差し=9、追込=1。“追込”に分類したブルーコンコルドも、四角では6番手までポジションを上げていた。驚異的な実績がある武豊J(5勝、2着2回)が今回不在。内田博J=3勝、2着1回に注目か。

※データ推奨馬
　◎ハタノヴァンクール…秋2戦不振だが、今春大井・ジャパンダートダービーは圧倒的な末脚で、少し時計がかかる地方G向きと判断できる。3歳の上昇力、万能型の父キングカメハメハ。今回一変があって不思議ない。四位Jアクシデントで内田博鞍上も、魅力的な材料では正直ある。

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◎ワンダーアキュート　57和田竜
○ローマンレジェンド　57岩田
▲フリオーソ　57戸崎
△ハタノヴァンクール　55内田博
△エスポワールシチー　57松岡
△トランセンド　57藤田
　ナムラタイタン　57太宰
　ボンネビルレコード　57的場文

　ワンダーアキュートが今年を締める。王者スマートファルコン引退から、古豪の復権、新鋭の台頭、さまざまドラマがあった12年だが、ごく客観的、総合的にみて同馬の強さが最も光った。昨年大賞典、ナハ差2着(3.5cmといわれる)は語り継がれる名勝負。二千2分01秒8の時計からも勝ちに等しい。その反動か以後少し足踏みしたが、充電後期待通りのパワーアップ。とりわけ直線独走(5馬身差)の川崎「JBC」は別次元を思わせた。ダートGフィナーレ、勝者にふさわしい逞しさとパワーがある。

　ローマンレジェンドは、戦歴通り次代ダート界を背負って立つ存在。まだ粗削りながらエンジンかかっての末脚は強烈で、前走ジャパンダートダービー4着も古馬相手に上がり36秒6だから傷にならない。半姉ミラクルレジェンド。大井ダートはむろん感触が合っている。

　▲フリオーソはラストラン。脚部不安を抱えながら難しい調整で、しかしここ目標は早くから明言され、実際最終追い切りも合格点の動きとみえた。来春から種牡馬転身。まず無事に…とはもちろん思うが、大井二千、絶好の舞台(帝王賞2勝)だけに、記者自身は馬券も含めエールを送る。エスポワールシチー、トランセンドは言わずもがな国際級のダート強豪。対フリオーソ、最後どんな結果が出るかにも興味が大きい。